悲劇の死神
人間は怖い。
今回はまじでよく死にます。
俺は悪くない。
しかし
結果、悪役は俺になる。
俺はよく「なぜだよっ!」と考える。
そしていつもある一つの結論にたどり着く。
この世の中は、この人間達は
〜間違っている〜
俺は学校で悪い意味での有名人だ。俺は悪くないのだが、なぜかそうなってしまった。
俺の名前は彩也というのだが、その名前で呼ぶ人間は先生達だけだ。
他の奴らは俺のことを「死神」と呼ぶ。
なぜ、そうなってしまったのか、それを話すのには時間がかかるのだがせっかくなので聞いてもらおうじゃないか。
小学3年の頃、俺には最高の友達がいた。毎日毎日一緒にサッカーや秘密基地を作ったりして遊んでいた。
だがその友達は死んだ。俺と遊んだ後の帰り道で車に轢かれて死んだのだ。俺は泣いた。あの時が今までで一番泣いたのではないのだろうか、と思うほど泣いた。
俺はその交通事故の現場にはいなかったのだ。だというのにのにも関わらずその友達の親は俺のせいだと主張してきた。冤罪だった。
その時は相手の親が感情的になりすぎたということで大事には至らなかったものの、俺の心には深い傷をつけていった。
時は進んで3年後、小学6年生の頃の話である。俺にはある好きな女の子がいた。紅葉が散る季節、彼女は病気で入院をしていたのだ。
俺は毎日のように彼女に会いにいった。雨の強い日でも台風の時でも、親に内緒で学校帰りに病院に寄って彼女と話していった。
そんなことが3ヶ月続いていたある日、彼女は一通の俺への手紙を残して自ら病室の窓を飛び降りて自殺した。
悲しい、悔しい、そんな言葉では表せないくらい辛かった。
彼女が残した一通の手紙にはこのようなことが書かれていた。
「毎日毎日必ず会いに来てくれてありがとう。嬉しかったよ。
本当はちゃんとバイバイしたかったんだ。でも、ごめんね。耐えきれなかったの。毎日毎日楽しそうに会いに来てくれる彩也くんにもうすぐ死んでしまうだなんて言えなかったの。
そんな重大なことを伝えられない罪悪感に、私は耐えられなかったの。本当にごめんね、あと今までありがとうね。」
と書かれていた。
この手紙を読んだ相手の母親は、「今まで優しくしてくれてありがとう」と言ってくれた。しかし相手の父親はそんなことはなかった。
「どうしてくれるのかね?うちの娘をあんたが死に追い詰めたんだよ?」という厳しい言葉を俺にぶつけた。
そして唯一の味方だと思っていたうちの親は、俺の味方にはつかなかった。内緒で病院に行っていたっていうのがバレたからだろう。そして俺の親は、その騒動の全ての責任は俺にあると決めつけたのだ。
結局、その騒動は俺の知らないところで収まっていた。結果どうなったのかは今でもわからないまんまだ。
だがこの二つの騒動で俺の人生で大きく変わってしまったのだ。
俺に「死神」というあだ名をつけられたことだ。俺が良かれと思ってやっていたことが全部その人の死に繋がっているから、小学6年生の冬休み前から俺は「死神」と呼ばれるようになった。
俺は一度だけ親に勧められてお祓いを受けさせられたことがあった。
この時に、「俺はもう大人なんて全員信じない」と決めたのだった。
またまた時は進んで中学生の頃。俺は綺麗にハブられた。部活にも入れなかった。誰もかれもが俺に蔑むような目線を送ってくるような状況だった。
親も俺に対してはご飯とお金と住処だけを与えるただの人間というような態度をとってきた。はっきり言ってもう頼れる人間なんて、誰一人としていなかった。
中学3年の卒業式、俺と全く接点すらなかった男子がゲームセンターに行って、そしてそいつが行方不明になった。(彼の死体が川辺に遺棄されていたというのえお知ったのは俺が高校生になってから聞いた話だ。)
その事件、犯人は結局捕まったのだが何故か俺の住んでいる地域では俺が悪いみたいなムードが漂っていた。
おまけに俺の噂のせいで妹までもいじめられてしまったらしいのだ。
~おかしい~
ずっとそう思い続けていた。
時はさらにさらに進んで高校1年、俺は親と一緒に住んでいた家を出させられて一人暮らしをしていた。
理由はただ一つ。「近くに俺いると親達や妹がいつ死んでしまうかわからない、そんな悪寒がする。」だった。
実際にそんな事を直接言われた事はないが、親たちがちょうどその事を話しているのを聞いてしまったのだ。
しかし一人暮らしにしていいこともあるにはあった。俺は中学校の時の同級生が誰一人いない学校を選んだのだ。
この高校では俺が「死神」だということがバレてないのだ。小学校の頃、同じ小学校だったやつも居るには居たが、俺に気づいていない様子だった。
ただ中学の時の同級生が誰もいない学校でも、「死神」という存在を知っている人が多いはずだ。
なぜなら俺は地域で有名な「死神」だからだ。最近の世の中なんてインターネットですべてつながってしまっている。地域から離れたって「死神」の名を知っている者がいるかもしれない。なのでこの高校でも心を許して過ごす事は出来なかった。
でも友達はできた。部活にも入れた。そこに関してはとても嬉しかった。
そんな高1の5月、俺の母親が死んだ。心不全で倒れたかなんかだった。その時には既に全く親なんかに興味がなくなっていた。逆に俺の敵だと思っていた。
そんな母親の死、矛先は俺だった。
親達が自ら俺を追い出したのにもかかわらず、なぜか俺が悪者扱いされた。
実際に何かを言われるわけではない、だが本当に何も言われないのだ。葬式の時に死んだのが俺の親なんだから親戚に人達は俺に「大丈夫?」などの一言二言あってもいいと思うのだが、全く声をかけられない。送られるのは冷たい目線だけ。近寄ってくる人間は基本的に葬式場のスタッフだけだった。
俺はなんだか存在が透明人間になったような気分だった。気が狂いそうだった。
そんな時、俺が他人の会話をのぞき聞きしていると「仕方がない」というフレーズが聞こえてきた。
実際に話しているのは死因が心不全だったから死んでしまったのは仕方がないという会話だったのかもしれないが、当時の俺には俺が家族にいたから死んでしまったんだ、仕方がないね、と言われているように感じてしまっていた。
当時の俺の思考はネガティヴな方向にしか進まなかった。
その日から俺はまるで別人になったかと思わせられるほど生きようと思う力を失った。
母親の死から生活が思いっきり変わってしまった。親二人の共働きのおかげで俺が一人暮らしできていたのだが、母親が死んでしまったため収入が三分の一ほど減ってしまった。そのため俺は週に何度もバイトを入れなければならなくなった。なんだかああやってずっと「お前が悪い」と言われ続けていると錯覚なのかな?なんだか俺という存在に罪悪感が出てきてしまった。
今日から葬式のために休んでいた学校へ。母親の死で俺のことを思い出してまた「死神」と呼ばれたりしたら嫌だな…と思いながら学校へ登校した。しかし高校ではいつもと同じ風景が繰り出されていた。友達も話しかけてくれるし、なんだか平和でホッとした。
しかし平和だったのは夏休み一ヶ月前までだった。
うちの妹が誘拐され、そして殺されてしまったのだ。
そして毎度のようにそれに対して怒りを持った人も矛先は犯人ではなく、言うまでもなく俺だった。もうあんまりだと思った。
そして学校のやつにも俺が「死神」だと言うことがついにバレた。もう終わったと思った。
そろそろ自殺が近いかなと自分で思ってしまうほど精神的に参っていた。
しかしこの高校で作った部活の友達は僕のことを毛嫌いせずに話しかけてくれた。本当にそれだけが頼りだったし、本当に嬉しかった。
俺は妹の葬式に行きたかった。でも父親から「来ないでくれ」と言われたため俺は行けなかった。
「俺は関係ないのにっ!」
理不尽にもほどがあると思った。本当に死にたくなった。おかしい。訳わかんない。
この運の悪さはもう諦めるべきなのか、諦めて死ぬべきなのか、死ねば皆安心して生きられるから死ぬのが正解なのか、などとネガティブな思考を永遠と巡らせていた。
とにかく、辛かった。
一学期最終日、俺に一番仲良くしてくれていた部活の友達が死んでしまったというニュースが入ってきた。これも俺が全く関係ないことだった。ベランダに腰掛けていたらバランスを崩して落ちてしまい、首の骨が折れて死んだらしかった。
この友達の親は俺に目も向けなかったが、学校の奴らは違かった。「俺の近くにいたからそうなったんだ」とかいうことを平気でほざいてやがった。そして他にも影響が出た。
俺と話してくれていた部活の友達は全く話さなくなった。いや、話さなくなったのではなく正確には避けるようになったに近い。
いずれか部活の友達との友情もなくなってしまうと覚悟していたが、いざそうなってみると案外辛かった。
俺はもうこれでおしまいにしようと思った。
俺は放課後、クラスに残って遺書を書いていた。
「俺がいない方が皆が安心して過ごせるかもしれません。ただ俺は絶対に何も悪くないです。でも運が悪すぎました。一人の命で何人もが幸せになるのなら俺はそれを選びます。」
などの事を三十分ほどかけて書きおえた。
自分でもとても満足できるものを書けた気がした。
しかし俺が一旦クラスを出てトイレに行って覚悟を決めていた間にその遺書はビリビリに破かれていた。破いた張本人は俺とは全くと言ってもいいほど接点のない女子だった。見た目はものすごく可愛らしいのだが今の顔はとても女子とは思えない表情をしていた。「鬼」まさにそれだった。俺に怒りが沸々と湧いてきた。しかし彼女は俺の怒りの目線にビクともせず話し始めた。
「あんたがそうやって死んでさ、何が変わるの」
落ち着いている様子だったが、言葉づかいはとても荒かった。
「は?俺が死ねば皆幸せなんじゃないのか?」
この言葉は本心から出たものだった。実際そう思っていたのだから。
「は?はこっちのセリフだよ。みんながみんなあんたのことを嫌ってるわけじゃないってことを覚えておけ。」
彼女は吐き捨てるように俺に告げた。
「いやでも実際俺は「死神」って呼ばれてそれでm…」
「そうやってやってる奴らはバカなんだよ。気づかねーの?あんたの事を心配してるやつだっているんだぞ?そいつらの気持ちを踏みにじんなよ」
言葉を遮られた。彼女は怖かった。
「そんな奴は絶対にいn…」
「ばーか、ここにいるんじゃここに。…恥っずかしいこと言わせんなバカ」
でも、彼女はめちゃめちゃ性格も可愛らしくてそして、優しかった。
「っ…」
俺は思わず動揺をしてしまった。彼女は俺のことを救ってくれた気がした。
そして今の短い会話で彼女のことが好きになってしまったかもしれない。あまりにも優しくて可愛くて、そして何よりカッコよかった。
「なあ、」
俺はいつの間にかに彼女に話しかけていた。
彼女はさっきとは全く違う口調と声質で
「ん?」
と腑抜けた声を出した。
「あの…ら、ラインをさ…も、もらっても…いい?」
なんだか怯えているような感じで言ってしまった。本心ではまだビビっているのかもしれない。
「どうしたの…?今さっき初めて話した人間に…」
彼女はとてもキョトンとしておりとても可愛らしかった。
そして、そんなこんなありラインの交換に成功。俺の人生を救ってくれた人。
彼女への一番最初に送ったラインは感謝の意を込めて「よろしく」ではなく「ありがとう」と送った。
もうこの時には死にたいだなんていう感情はどこにもなかった。
そう、この時には。
夏休み、俺は部活に行けなくなった。精神的に辛いものがあった。そのためほとんどの日にはバイトを入れた。逃げかもしれないけど、実際にバイトは重要だったからタイミング的にはちょうどよかったのかもしれない。
俺は彼女にラインで結構話したりしていた。なんだかんだで彼女も俺に積極的に話しかけてくれた。俺はなんだか心の拠り所ができたようで嬉しかった。安心できた。心が安らいだ。
本来の彼女の口調はとても穏やかだが、キレると性格が変わるらしいのだ。俺が見るからに本質は同じでしたけどね。でも彼女は自分を曝け出すように話してくれた。俺もそれにつられて今までの過去を包み隠さず全部話した。すると彼女は「辛い時は頼ってくださいね?」と返してくれた。本当に嬉しかった。
俺は彼女のことが本当に好きになってしまったらしかった。一度だけ小学生の時に恋をしたが、それと同じくらいの心のドキドキ具合だった。
ある日俺は彼女を買い物に誘ってみた。行き場は田舎の聖地イオン…、ではなくちょっと遠く離れたところにある結構大っきめのショッピングモールだ。建物はアウトドア感…というか開放感ある感じで店は、服屋が多いのだが一つ一つの店にハワイアン・女性向けカジュアル・男性向けナチュラルなどといったテーマがあるものが多い。もちろん定番のG・A・Pなどもある。服屋以外にもタグホイヤー正規店や洒落乙なものがおいてある雑貨屋、あとは食料とかを売っているような、初めて女子と二人で出かける男子が選んだ場所としては結構妥当なところを選べたと自負している場所だ。
また、それの横には遊園地があったりする。困ったらそこで遊ぼうなどと考えていた。
とにかく俺は浮かれていた。
そんな時だった。
俺は彼女と待ち合わせをしているある駅に立っていた。
しかし彼女は約束の時間に来なかった。性格的に約束を破るような女子ではなかったから、恐ろしく怖かった。何か悪寒を感じた。
三十分が経った。
来ない。「まさか…死んだとか…?いや…ま、まさかな…、そ、そんなわけないよな…。」
この時からもう気が滅入ってきていた。
一時間が経った。
「嘘だ、嘘だろ?」
ラインの既読すらつかない。嫌だ、怖い。
一時間半が経過した。
俺はインターネットニュースを徘徊していると、あるニュースが目に飛び込んできた。速報と書かれたものだった。見出しは、
「高一女子行方不明、誘拐か」
だった。
しかもその事件の発生場所は待ち合わせ場所の近所だった。
その事件の被害者は未成年だったため匿名だったから彼女かどうかは分からなかったが、俺は今までにないほど「死にたい」と願っていた。
以前、妹が誘拐で亡くなっていたからだろうか、誘拐と聞くと死がまず連想された。
「また、いなくなった。また、俺の周りから消えていった…」
死んだと確定していないのに関わらず俺はそう思い込んでいた。
俺は放心状態になった。
俺はいつの間にか勝手に歩き出していた。
改札を通り、俺たちが乗るはずだった電車が止まったプラットホームについた。
そのプラットホームには
「電車が通過します。」
のアナウンスが流れていた。
俺はそんなことを耳にしながら歩いていた。そしてその次の瞬間、
俺は宙に舞った。
私は今さっきまで彩也くんとの待ち合わせの為に駅へ向かっていたのだが、私と同じクラスの男子に捕まった。俗に言う誘拐ってやつだ。
なぜ私たちが駅に行くことを知ってたのかは知らないが、完璧に待ち伏せされていた。
彼らの目的は私を利用して彼を自殺まで持っていき、法的に問題ない殺し方をしようと言うものだった。そうする理由はただ一つ。自分たちが安心できるように、それだけだろう。
彼の今までの噂はすべてインターネット上に公開されてしまっていた。たぶん彼らはそれらと同じような手口を使って彼を精神的に追い詰めたのだ。
私は別に拘束とかをされたわけではないのだが、ある建物の中に監禁されていた。彼は今頃どうしているだろう、などと考えていると遺書を書いていた時の彼を思い出した。私はあの時コッソリとのぞいていたのである。
彼はとても悲しそうな顔をしていた。今もそうなっていると思うと、罪悪感が湧いてきた。
もしこれで彩也くんが死んでしまったら、私は彩也くんを殺したも同然になってしまう。
彼らの中の一人が私に話しかけてきた。
「お前も「死神」が死ねば、安心して生活が出来るって思わないか?」
私は彼の遺書を破った時よりも激しい怒りを覚えた。
「そんなことはない!」と否定しようとした。すると彼らの仲間と思える人物が建物の中に入ってきた。走ってきたのであろう、とても息苦しそうだった。
そして彼は言った。
「「死神」が、自殺したぞ…」
彼らは喜んでいた。
「くっそう!、なんでなんだよ!」
人が死んで喜んでいる奴らを許せなかった。
私は涙をこぼした。悲しみ、後悔、苛立ちの三つの意が混ざった涙だった。
私はこの時に思った。
"ナチスドイツはユダヤ人に冤罪をかけて支持を得た。当時のドイツ人はユダヤ人という共通の敵を立てて、現実から目を逸らした。当時のドイツ人はユダヤ人が死んでいって嬉しかったかどうかは置いといて、安心感や優越感などに浸っていただろう。しかし少し考えればわかることだ、ユダヤ人がゲルマン民族を汚すなんてことはまずありえないということだ。ユダヤ人が無罪なのも明確だろう。それなのにも関わらずナチスドイツは全くの無罪のユダヤ人を虐殺していった。
今、それと同じような事が現代でも起きてしまった。全く無罪の彩也くんは地域の人達や学校の人達に標的にされ、そしてその人達は彩也くんを使っていろんな人が死んでいく現実から目を逸らしていた。彼は紛れも無い無罪だ。しかし彩也くんが死んで安心感を得ている奴らがいる。
つまり何が言いたいかと言うと、
WW2の時のドイツの行動は人間の本性そのもので、
結局人間なんて所詮そんなもん。
人間は世にも残酷な生き物だ。
と言う事だ"
どうですか?よく死んだでしょう?
書いてるこっちが鬱になりそうでした…
このプロット、不採用にすりゃよかった…
感想や意見を聞いて次の作品に活かしたいので
是非是非よろしくお願いします!
誤字脱字があったらすみません。
日本語がおかしかった場合もよろしくお願いしますw
作者、これ鬱すぎて読み直してないのでw