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3 私達名付けします!

誰にも見つからないダンジョン空間の中、彼女たちは動き出していた。


【ではワリー様のご計画を進めるにあたって必要となってくるのがモンスターです。】

「んー?計画になかったよねー?」


先ほど話した計画を始めるのに、一番最初から計画にないことを勧めるダンジョンコアに対して疑問を感じる少女。

モンスターを召喚するにも魔素がかかるため避けようと思っていた彼女からすると、その提案に首をかしげるのは当たり前だった。


【計画ではワリー様が土魔法を覚えてそれを使って進めるようでしたが、魔法を使うのにも魔素を少量使うのです。すべて魔法を使ってやるよりも魔素を少なく済ませられ、問題を解決することができるモンスターがいます。】

「魔法にも魔素がかかるのかー……。魔素ってすべてに必要なんだねー。で、その格安モンスターってどんなのー?」

【ではまず、ダンジョン管理を開いてください。】

「はーいー“ダンジョン管理”ほいっとー。」


急な計画変更にもすぐに対応し、慣れた様子でダンジョン管理の板を呼び出した少女。

特に深く考えないからこそ、早く適応できているのかもしれない。


【その状態でモンスターカタログと唱えてください。】

「“モンスターカタログ”っとー!おっなんか違う板が出たー!」


ダンジョン管理の隣に同じような魔素でできた半透明の板が現れた。

そこにはモンスターの名称とその隣に数字が書いてあった。


「これが召喚できるモンスターなんだねー。隣の数字はー?」

【モンスターを召喚する際に使用する必要魔素数です。】

「へーあっこれスライドできるんだー何ページもあるんだねー。探すの大変そうー。」

【モンスターカタログを表示している状態でしたら、欲しいモンスターの条件を願うとその条件にあてはまるものだけ表示できます。】

「検索機能もついてるんだー。すごーい。」


さっそくやってみよーっとつぶやいた少女は、目を閉じて自分の計画に必要な条件を願った。

目を開いた少女の前の板には一種類のモンスターの名前があった。


「おー。スライムかー。」

【はい。どんなものでも消化し、必要魔素数も一体につき1とかなり少ないモンスターです。】

「確かに計画にピッタリー。ご飯が何でもいいっていうのもいいねー。じゃあ召喚しようと思うけどーどうやんのー?」

【カタログが出ている状態ならば、想像し呼べばいいだけです。】

「呼ぶだけかー。ちょっとカッコつけちゃおうかなー。」


初めての召喚にワクワクしている様子の少女だった。

まるで普通の子供が新しい玩具にスイッチを入れるときの表情に似ていた。

魔法がない世界に生まれた少女にとっては、召喚というファンタジー的な行動に興奮しているのかもしれない。


「初めてのしもべースライムよー我が呼びかけに答えよー!」


間延びした適当に考えられためちゃくちゃな呼びかけだったが、モンスターカタログはそれに答えたようだ。

少女の足元が発光したかと思うと、水色のゼリーようなものがそこにはいた。


「おぉっ!これがスライムー?」

【はい。最下級のモンスターで、子供でも武器さえあれば倒されてしまう弱いモンスターですが、ワリー様の計画にはもってこいのモンスターです。】

「そうだねー。でもこんな小さいの一匹で平気かなー?」


最下級モンスターだけあって、スライムのサイズは少女の頭よりも一回りほど小さかった。

計画ではたくさんのものを消化してもらわなくてはいけないが、このサイズではそれが可能か少女は不安になった。


【計画の量を消化するにはあと4体ほど召喚すると効率が良いと思われます。】

「なるほどー数でカバーするんだねー。じゃあ召喚しちゃおー!四体のしもべースライムたちよー我が呼びかけに答えよー!」


2回目のせいかさっきよりも適当になった呼びかけだったが、それでもモンスターカタログは反応した。

地面が発光し、同じようなスライムが4体新たに現れ、この場に5体のスライムがいた。


「おーみんなプルプルだねー。見分けがつかないやー。」

【スライムですからね。】

「じゃあー、一番最初に生まれた子だけはわかるようにお名前を上げよー。」

【スライムに名前ですか?】

「うんー記念にー。」


少女は軽い調子で名前をつけようとしているが、名前を持っているダンジョンモンスターというのは強者がほとんどである。

強いから生き残り、人間から名前を付けられたり、魔王の家臣に気に入られ名前をもらったりするのが通常の名前を持ったモンスターである。

最下級の最弱モンスターであるスライムに名前がつくなど前代未聞だった。


「スライムだからー……イム助にしよー。イム助ーお返事できるかなー?」


前代未聞のモンスターが誕生したが、そんなこと少女が知るはずもない。

ニコニコしながらスライムの名前を呼んでいた。

ネーミングセンスも狂っているようだったが。

呼ばれた最初に召喚されたスライムは呼ばれて嬉しそうに身を震わせていたので、その名前でよかったようだ。


「ちゃんとお返事したー!意外とお利口さんだねー。」

【はい。スライムにこのような知能があるとは思いませんでした。】

「プルプル」

「イム助は賢いんだねー。いい子いい子ー。」


楽しそうにスライムの頭を撫でる少女とキラキラ光るダンジョンコア。

狂ったダンジョンは新たな住人が増え、狂ったまま進んでいく。


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