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18 私達侵入されます!

彼女が横になってから、数時間たっただろうか。

眠りについていた少女の意識が浮かび上がり、魔素で出来た肉体へ戻り安定していく。

何度も経験した感覚に慣れている少女だったが、意識を失う前との感覚の違いに疑問の声をあげる。


「んー?柔らかいー?」


そう。

彼女が寝ていたのはダンジョンの岩の床のだったはずである。

硬い地面でお世辞にも眠りやすい場所というわけではなかった。

そのはずなのに、今彼女の背中は柔らかい何かに包まれているのだ。


不思議に思った彼女は目を開き、自分の下を覗き込む。

すると寝ぼけてぼんやりとした瞳が、キラキラと輝き始める。


「おー何これー?スライムベッドー?」

「プルッ!プルル?」

「イム助たちがやってくれたんだー。ありがとー。寝心地ー?とっても良かったよー。体がバキバキ言わないしー」

「プルルッ!」


とても誇らしげに震えているスライム達の上から、少女は軽やかに降りた。

そしてキラキラと輝くダンジョンコアに目覚めの挨拶として声をかける。


「おはよー、寝てる間なんかあったー?」

【おはようございます。ワリー様。特に報告するようなことは起きておりま!】


規則正しく輝きを放っていたダンジョンコアの輝きが急に止まった。

いつもとは違う光り方に、少女は不思議そうに首を傾げた。


「コアさんどうしたのー?」

【報告いたします。現在ダンジョン内の魔素の数値が異常上昇しています】

「えっーそれってもしかしてー……?」


コアの発した言葉を聞いて、猫のような彼女の目が大きく見開いた。



【侵入者です。しかも魔素の上昇スピードから推測するに人間です】



ダンジョンコアの言葉に少女はもちろん、先ほどまでベッドとして固まっていたスライム達も驚きを隠せなかった。

ここはダンジョン。人が侵入し、そして人を殺す場所である。

いつかは来ると思ってはいたが、こんなに早く来るとは思っていなかったのだ。


「シロップちゃんのお友達かなー?」

【いえ。あの虫が報告し、貴族どもが利権のにおいをかぎづけ、愚考と内輪もめを繰り返し、行動が決まるまでには、まだまだ時間がかかるはずです】

「コアさんくわしーねー。シロップちゃんに聞いたのー?」

【いいえ。国が絡んでる組織というものは基本的に動きが遅いものなのです】

「ほー」


コアの無駄に詳しい説明を聞いても、少女は不思議そうな顔を変えなかった。


「それでー結局誰なのー?こんなお山まで登ってきたんでしょー」


そう。

このダンジョンに入ってきた人間の正体がまだわかっていないからである。

ダンジョンの入り口があるのは何もない岩山の中腹にあり、一般人が見つけることすら困難なところなのだ。

その入り口を見つけ、なおかつ邪教徒のアジトのような入口をくぐる猛者が何人いるというのだろうか。


【ダンジョン資産委員会でないとするならば、冒険者のほうでしょう】

「ぼーけんしゃー?あーあのダンジョンコア絶対壊すぜー!派のひとたち?」

【はい。あの羽虫は冒険者側に情報が行くのには時間がかかると言っていましたが、もしかしたら情報が漏れていた可能性があります】

「それでーシロップちゃんたちよりも早く来て、コアさんぶっ壊しにきたのー?」

【恐らく。何も知らない狩人が迷い込んだと考えるよりも可能性は高いかと】


緊張感のある会話の中、一つの黒い影がダンジョンコアのある部屋と駆け込んでいく。


「チュッ!!」

「あーネズミさーん!侵入者の話ー?」

「チュウ!」


駆け込んできた黒いネズミは、主からの言葉に大きくうなずいた。


報告の内容はこうだった。

入ってきたのは男性3名、女性1名の人間であること。

全員武装しており、金属鎧を着た体の大きな盾持ち男性、片手剣を持っている若い男性、周り警戒してる短剣と弓を持った男性、杖を持ちローブを着た女性。

報奨金がどうとか、ギルドランクが上がるだとか浮かれた調子で会話しながら入ってきたとのことだ。


その報告を聞いて少女は、少し顔をゆがませた。いつもの笑顔には少々のあきれが混ざっていた。


「おー……なんかーありきたりというかーテンプレ的というかだねー。おしえてくれてありがとー」

「チュッ」

【しかしこれで、一般人ではなくダンジョン攻略を目指す冒険者のパーティであることがわかりました。いかがなさいますか?】


輝きながらダンジョンコアはダンジョンマスターである少女に尋ねる。

初めての殺意を持って向かってくる敵との対面である。

楽しそうにダンジョンを運営していく元人間(・・・)である彼女がどのように動くのか。

ダンジョンコアとしては不安材料の一つであったのであろう。


しかし少女はその不安を吹き飛ばすように笑った。


「えー敵だって確定したんでしょー?」


その笑顔は大輪の花のように鮮やかで、何も知らない子供のように無邪気で、そして断罪する天使のように残酷だった。


「みーんな、殺しちゃわなきゃダメでしょー」


少女のその言葉を聞いて、ダンジョンコアの光が安定していく。


【かしこまりました。では前に話した通りの動きをモンスターたちにご命じくださいませ】

「わかったー!楽しみだなー死体はみんなで山分けだからねー!」


無邪気に人を殺すための指示をモンスターたちに出していく少女。


狂気的な無邪気な笑顔によってダンジョンが動き始める。

冬眠しておりました

ここ最近の急激な気温上昇にやっと目が覚めた次第です

……寒いとパソコンの前で文字打つのが辛いんです!

許してください!!

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