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9 私達確認します!

変わったモンスターを召喚したダンジョンに、気を取り直したマスターの声が響く。


「よーし!次のモンスターを探すぞー!」

【その前に少々確認したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?】

「うー?コアさんなにー?」

【スライム増えてませんか?】


実は6日感で分裂しすぎたスライムたちは彼女の周りに全員いることが難しくなったため、散らばってダンジョンを拡張したり、装飾を追加したりしていたのだ。

しかし敬愛なるダンジョンマスターの泣き声を聞きつけ、現在はダンジョンのあちこちからコア部屋へと集まっていた。

コア部屋に入る入口は様々な(・・・)スライムたちで埋め尽くされている。


「あーいっぱいいるから彫刻してもらったりー、もっと広くしてもらったりしてたんだー。私の周りにいる子達はーイム助が選んだしんえいたいってやつなんだってー。」

【どれぐらいいるのでしょうか?】

「えーとー50までは数えてたんだけどー。イム助わかるー?」

「プルルッ!」

「168匹だってー。」

【すごい数ですね……。よく見るとクレイスライム以外の進化をしているものもいます。】

「おーすごいねー!スライムっていっぱい増えていろんな感じに進化できるんだねー。」


近くにいたスライムたちの頭を撫で回すダンジョンマスターはのんびりと彼らを褒めた。

確かにスライムは進化しやすく、魔素の多くこもったダンジョンの土は進化を促進したことだろう。

しかしダンジョンの土は固く、何でも食べられるスライムであっても短時間で大量に食すことは難しい。

今回は彼女がツルハシで掘った柔らかいダンジョンの土だったため、簡単に消化し進化分裂を繰り返すことができたのだ。

通常では6日間で30倍以上にまで数を増やすことは不可能であることを断言する。


「どんなのに進化したのかーコアさんわかるー?」

【一体一体目の前に持ってきていただければわかりますが、それよりもワリー様が“スキル:ダンジョン管理”を使って“モンスター管理”を出したほうが早いかと。】

「へー。じゃあ“ダンジョン管理”ーで“モンスター管理”ー」


進められたようにスキルを使った少女の前には、モンスターの名前とその横に数字が書かれた半透明な板が出てきた。



シャドーラット 10

クレイスライム 54

ストーンスライム 48

マッドスライム 31

アシッドスライム 17

スチールスライム 8

コパースライム 9

ガイアスライム 1




「こんなに種類いたんだー。横の数字はモンスターの数かなー?」

【そうですね。このような限られた環境でよくここまでの種類が増えましたね。】

「うー?たぶんだけどースライムちゃん達の好みに合わせてご飯あげてたからだと思うよー。」

【好みの食事ですか?】

「うんー。イム助は何でもよく食べたけどー中にはキラキラのあの偽物石?しか食べない子とか柔らかいとこしか食べない子とかいろいろいたよー。」

【そのようなスライムに個体差があったのですね。】


ふわふわとしたダンジョンマスターの答えにダンジョンコアは考え込むような声を出した。

どうやら見分けもつかないスライム達ではあるが、食事の好みのような個体に差があるようだ。

通常ではありえない弱者であるスライムが、自分に合った因子を持った食事を選ぶことができたという環境によってこの状況は生まれたらしい。


【あとなんでも食べるイム助さんは一匹しかいないガイアスライムのようです。】

「おーイム助は特別なのかー!」

【はい。個体数が少ないため情報も少ないのですが、土魔法を使いこなすスライムとのデータがあります。

「イム助は魔法使いかー!かっこいいねー!!」

「プルルッ!」


親愛なる主に褒められて嬉しそうに体を震わせるイム助だった。

とても微笑ましい状況だったが、人間から見たらとても恐ろしい場面でもある。

ガイアスライムは土魔法を使いこなし、大地とともに生きるスライムと言われている。

人間の方に伝わっている情報によると、大地に触れている限りいくら攻撃しても周囲の大地からエネルギーを吸い取り回復してしまうという特性を持つ。

しかも倒したとしても周りの土地のエネルギーを吸い取ってしまうので、残るのは不毛の大地という二次災害まで引き起こす災害級のスライムである。

幸いにも気性は穏やかなモンスターなので手出ししなければ問題はないが、普通のクレイスライムと間違えて攻撃し、強力な土魔法で殺されるか、不毛の大地を作ってしまう事件が数件報告されていた。


「えーとー薄い茶色の子がクレイスライムでーストーンスライムがー濃い灰色の子ねー。えっとー数的にこの赤茶色がコパースライムで焦げ茶色がマッドスライムかなー。うすい灰色がスチールスライムだとするとアシッドスライムはどの子かなー?」

「プルッ!」


自分達が呼ばれたと感じたのか変わった色をしたスライムの一団が体を震わせた。

光のあたり加減で色が変わるような虹色のような、まるで油のような色をしているスライムだった。


「おー君達かー。虹色のキラキラばっかり食べてた子達だねー。」

【アシッドスライムは消化液が強力で、金属の剣や鎧も溶かすことができます。】

「じゃあ侵入者の身ぐるみはがすのに役立つねー。がんばってねー。」

「プルップルッ!!」


主に応援されて力強く体を震わせるスライム達。

アシッドスライム以外の者たちまで主の期待に応えんと体を震わせた。


最高潮にあがる士気。力はないが凶悪なモンスター達。

芸術品のようなダンジョン。イカれたダンジョンマスター。

ここはもうすでに人類にとって危険な場所と化していた。


活動報告にお詫び書いてあります

作者はワリーちゃん並にバカでした……

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