「サラバ!」 西 加奈子 ※
すごい小説です!
本当にすばらしい!!
こんなベタな言葉しか表現できないのがもどかしいですが、読んで損はないです。
西加奈子さん、すごいです。
上下巻合わせて700ページを超える大作にも関わらず、すいすいと読めてしまいます。
主人公の圷歩は、イランで生まれます。
父親の仕事の関係で、その後日本に戻るも、今度はエジプトに住むことに。
そこで出会った運命の人。ヤコブ。
人種も言葉も違う二人は、しかしそんなものよりも深いなにかで繋がり、固い友情で結ばれます。
「サラバ!」
二人の間でだけ通じる言葉。この言葉はその後の歩とも深く関わることになります。
歩は再び日本で暮らすことになるのですが、その家族がまためちゃくちゃです。
両親は離婚するのですが、奔放な母親に振り回され、強烈な闇を抱えた姉のことで悩む日々。
しかし、歩は容姿に恵まれ、要領よく人生を歩んでいきます。
そんななかで出会う友人たちも強烈なインパクトを残す人ばかり。
そして、彼らの孤独や生き方にわけもわからず涙がこぼれました。
順調な人生を歩んできたかと思われた歩でしたが、やがて彼にも転機が訪れます。
その転落の仕方もものすごく、卑屈になっていく歩に目が離せません。
人生で大切なものとはなにか。
信じるものとはなんなのか。
いろいろなメッセージがこの小説には込められています。
最後もページをめくるたびに涙がこみ上げ、読み終えたときはただただ感動。
すごいです!
こんな小説が書ける西加奈子先生を尊敬します。
胸に刻みつけられた作品でした。