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「スメラギの国」 朱川湊人
これは猫好きな人は読まないほうがいいのかもしれません。
いえ、猫が出てくる猫の物語なのですが、結構きつい酷い描写があったりするので心苦しいというかつらい……。
でもラストまで読めばそれも救われる話ではあります。
それでもこの本の最終的な感想は面白かった、のひと言です。
志郎が新居のアパート前で出会ったのは美しい白猫スメラギ。
不思議な白猫とその周囲にいる猫たち。
始めは猫たちと仲良く共存していた志郎だけれど、ある事件を境に次々と志郎の周りでおかしなことが起き出します。
このなかに出てくるチョコという猫が可愛いんですよね。
そのチョコの起こす奇跡もまたいいんです。
ジンゴローもいとおしい。
中盤は残酷で目を背けたくなったりしましたが、終盤は目が離せず、ラストの真実では涙しそうになりました。
すべて中盤の苦しくつらい戦いはこのラストのためにあったのかと。
人と猫の戦いと生命への愛を描いたすごい作品でした。




