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「天地明察」 冲方丁
暦、というものは気がつけば当たり前のように私たちの生活のなかにあり、私たちは毎日過ぎていく時間をそこに見出だしています。
これはそんな暦に人生をかけた一人の男の物語。
主人公の渋川春海は御城碁という将軍様の前で碁を打つ人物。
すでにその時点で相当に頭のいい人物だということがわかります。しかし面白いのが、この人碁打ちの職につきながら、碁を打つことに飽きちゃってます。
それよりも彼の興味は算術。
とにかく算術を解くことに情熱をかけております。
そんな春海が心惹かれたのは一瞥即解の士。
関という人物は、春海にとって長きにわたり大きな存在となることになるのでした。
とにかく暦にかけた男たちの生き様がかっこいい!
遥か遠い天体の動きを計り、たくさんの労力と時間をかけて暦ができてきたのだと、単なる日にちを記してあるものだと思っていたものが特別なものだと感じられる、そういう物語でした。




