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「さくら」 西 加奈子
サクラという犬のいるとある家族の物語。
昔うちにも犬がいました。猫も飼っていたときがあります。
やはりそのときは、彼らは家族の一員で、いるのが当たり前の、かけがえのない存在だったように思います。
この作品は、そんな犬がいた長谷川家という家族の繁栄と転落と再生を描いています。
この長谷川家の人達というのがまた、両親はラブラブ、兄はイケメンの人気もの、妹もちょっと変わり者だけど美人でケンカが強い。そして主人公薫もそれなりに持てていてそつなく人生を歩む、というような人達。
正直中盤までは、そんな今で言うリア充みたいな人達の話が続き、ちょっと退屈で、読むのが苦痛に感じていたりしました。
しかしやはりそこはあの「サラバ！」の西さん。後半は急転直下の展開で、それまで築き上げていた輝かしい家族の転落する姿に目が離せなくなりました。
そして崩壊した家族を再び蘇らせてくれたのはサクラ。
動物は言葉をしゃべらなくても、大切な存在であることを思いました。
