「億男」 川村元気
「世界から猫が消えたなら」の作者第2作。
お金がある当たり前の世界に暮らしている私たちに、問いを投げかけてくるような作品でした。
宝くじで三億円を当てた一男。大金を手にした彼が知るお金と幸せの真実とは。
大金持ちとなった九十九と一男がその答えを探していきます。
もし三億円当たったら、きっと嬉しい。だってそのお金があれば、借金は返せるし、欲しいものは買える。旅行にだって行けるし、老後も安心。
だけど、この本は本当にそれが幸せなのかという問いを投げかけてきます。
漠然と、私たちはお金があったほうが幸せだと感じていますが、本当に大金を手にしたとき、そのお金によって心が操られてしまうかもしれない。
以前は幸せだと思えたことが幸せだと感じられなくなるかもしれない。
お金はないよりももちろんあったほうがいいに決まっています。
だけど、そのお金に私たちは操られているのかもしれないと、そんなことを考えさせられました。
「人生に必要なのもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ」
チャップリンは言っています。
お金に対する価値観を、改めさせられた作品でした。
面白かったです。




