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「私は存在が空気」 中田永一
ちょっと不思議な超能力を持つ人たちの短編集。
テレポーテーション、存在を消す能力、発火能力にテレキネシスなどといった不思議な能力をもつ人たちがでてきますが、ドンパチする話ではなく、普通の日常をメインに据えた話が多かったと思います。
なかでも好きだったのは、「少年ジャンパー」。
不細工な顔面のせいで引きこもりになっていた少年は転移の能力を手に入れたことで、ひょんなことから一人の少女と知り合いになります。少年の能力を知った彼女は少年を移動手段として便利に使うわけですが、嫌味がなくて好感が持てました。
個人的に登場人物のなまりが可愛くて良かったです。
他にも表題作の「私は存在が空気」は存在感というものを操れるというアイディアが面白いなと思いました。
「サイキック人生」も結構好きな感じ。
派手さはそんなにないけれど、それぞれの話が前向きに終わっていて、読後感は良かったです。