1話
王国歴957年...勇者が魔王を討伐してから100年の時が流れ、徐々にだが世に平穏が訪れていっている中での物語である。
シャターズ大陸にある王都ラプールから、商業都市ディラに向かう街道の途中に最近になって出来たと思われるダンジョン。
ここでのダンジョンとは大きく分けて2つ。
1つ目は自然発生したもので、魔力濃度が異常に高くなると出来るのだが、ダンジョンを成長させる魔力が無くなると、そこでダンジョンの大きさが決まり攻略難易度もS~Fランクとなる。
2つ目は意図的に作られたもので、代表的なものを上げるのなら魔術師やリッチ、ドラゴンといったものが作ったダンジョンだろう。
さて、街道の途中に出来たダンジョンはというと、発見した冒険者のというより、ギルドの発表で張り出された紙に自然発生し、比較的浅い段階で成長魔力が尽きたFランクという初級者向けのダンジョンだったということ。
そんなダンジョンだった為に、中級以上の冒険者は攻略に挑むことはあまりなく、腕試しや自身の技量を高める為に駆け出しの初級冒険者が挑むことが多くなっていた。
そんな初級ダンジョンに挑もうとしている1人の小柄な女冒険者が、入口の前で腕を組んで立ち、ニヤケながら独り言を呟いている。
「フッフッフ...ついにこの時が来たのね。」
見た目14歳位の美少女なのだが、独り言とニヤケ顔、ついには興奮したのか肩まで震わしているので、傍から見ると危ない人にしか見えない。
ただ、それは周囲に人がいたらのはなしで、実際には彼女1人なのでそんな目で
見ている人はいないのだが、これからの展開が不安だ。
少女の名前は、ファディア・ミランコート。
銀色で短めに切り揃えられた髪、まだ幼さを残した顔立ちだが、将来が楽しみではある顔立ちをしている。
ファディアは、トレジャージャケットにハーフパンツといった服装で、腰にはダガーが2本と小さいポーチを装備し、背中には小さめのリュックを背負っている。
格好だけ見れば盗賊に見えなくもない、ただ盗賊ではなく、ファディアは新人のトレジャーハンターになる。
ここで、盗賊とトレジャーハンターの違いについて説明しよう。
まずは盗賊、盗賊ギルドに所属し、罠の探知や解除、鍵開けなど、パーティーを組んでダンジョンに挑む上で重要な職業である。
次にトレジャーハンターなのだが、盗賊の説明とほぼ一緒で、違いは1人での活動をメインにし、ダンジョンの発見や探検、宝探しなどを主にする少し特殊な職業なのである。
では、なぜ彼女がこの発見されたダンジョンに1人で挑もうとしているのかというと、盗賊ギルドから約1年間で、実績と実力、経験を発見されたダンジョンで付けなければならないと言われた為である。
盗賊になっていれば、パーティーを組んでそれらを徐々に付けていけばいいだけだったのだが、トレジャーハンターという特殊な職業の為、1人での攻略がメインになる。その為に、1人で約1年の間、発見されたダンジョンで実績と実力、経験を付けなければならなかった。
もちろんパーティーを組んでダンジョンに挑み、集団戦の実力と経験も付けなければならなかったのだが、その考えにたどり着くのは、まだ先のことである。
「ここから、このダンジョンから私のハンター生活が始まるんだわ。」
そう言いながら小柄な女冒険者はダンジョンに入って行くのだった。
読んで下さってありがとうございます。
これから頑張って投稿するのでよろしくお願いします。