プロローグ
ーーー眩しい。
窓から差し込んで来た光で目が覚めた。
まだ寝ておこうか、そう考えたときに一階から声がする。
「カイン、おきなさーい。」
「もう起きてるよ。」
声に答えてのそのそと布団から出る。部屋から出て一階に降りるともう朝食の準備ができていた。
両親が席についたことを確認して、
「今日は早いんだね」
と聞いてみる。理由は分かってはいたが。
「前から言ってたでしょ、今日からお父さんと少しの間街に出か
けるのよ。何日か家を開けるけど何か困ったことがあれば村長さ
んに助けてもらうのよ。」
想定通りの答えが返ってきた。
父が家を空けることはそう珍しいことではない。月に一度程度の割合で街に出て村で採れた物を売りにいく。割といつものことだ。今回は母も一緒に行くそうだが大した問題でもないだろう。何せここは村だ、困ったことがあれば村総出で支えてくれる。
両親もそのことをよくわかっているため安心して街に行けるわけだが。
いろんなことを考えている内にどうやらもう家を出るらしい。
「それじゃあ行ってくるわね。」
「いってらっしゃい。」
何気無い日常。欲しいと思わなくてもいつも近くにあったもの。
そんな今まであった日常はこの日を境に俺の近くからいなくなった。