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世界の英雄が異世界に旅立つようです  作者: 朝倉 翔
第一章 張り切って行きましょう‼
6/30

剣より拳の方が強かった件について

俺は鑑定眼の有能さと剣のナマクラさとで何ともやるせない気持ちになる事約五分、剣なんて買えるし‼とポジティブに考えることにした。さて、異世界に来てからもうお昼過ぎ約五時間は経過した頃、お腹が鳴り出した。当然である。まさかシャトルランが無限出来るとわかると三時間ぐらい走りっぱなしだったから、途中で全力疾走とかもしてたし。せっかくなので弁当を食べるとしよう。


選んだのはクラン作【男なら肉を食え‼以下略】を食べることにした。俺は蓋を開ける前に合掌。そしてオープン‼

中身は肉、肉、肉のオンパレードだった。視るだけだ胸焼けするくらい肉を使っている。グルメレポーターが食べると『まさに、肉の宝石箱や~‼』と言うくらい入っている。確かに肥るな。


俺は恐る恐る箸で肉を挟み口に放り込む。次の瞬間‼俺の中の肉の概念が消え失せた。まるで、消えるようになくなる肉。溢れ出た肉汁は喉を通るとアッサリした風味。しかし、肉本来の食べごたえは損なわれない。一分、五分と時間が発つにつれ減っていく肉の山。しかしまだまだ腹に入る。これはまさに…


「肉の宝石箱や~~‼」


………はっ!危ない、意識が飛ぶところだった…。きずけば大量にあった肉の山は綺麗になくなっていた。くっ!さすが神が作った弁当だ、なんて恐ろしい‼俺は今、幸せを噛み締めている。我が生涯に一片の悔い無し‼


完‼



まだ終わらんけどな。なんてバカをやっていると、何か聴こえた。それは動物の唸り声。何か明確な目的があるのか真っ直ぐにこちらに向かってくる。俺は来る方を見つめた。いつでも攻撃できるように剣を構えた。そして、ついに木を倒しながら現れた。


最初に目に入ったのはフサフサしているが固そうな赤い毛の塊。次に太く長い爪を持つ腕。最後は見上げるほど高い位置にある顔だった。一言で言うと熊だった。デカイ熊が目の前に。俺が固まっていると熊は鼻をヒクヒクさせながら臭いをかいだ、そして俺を見た。


熊は俺を見付けると、口を大きく開け吠えた。空気が振動し、心臓にビリビリ響いた。熊は躊躇いもなく右腕を振り上げて降ろす。普通なら死ぬだろう。熊の腕は木登りや穴堀ができる。つまり自分の体重を支える事が出来るくらい発達している、かすっただけでもかなりダメージを負うだろう。そう、普通なら。


俺は、迫り来る腕をしっかり捉えていた。熊の攻撃をバックステップでかわす。そして全貌が明らかになった熊に鑑定眼を使う。


『レッドベアー亜種・・・熊のような魔物。通常の熊より獰猛であり、腕と牙で攻撃してくる。そして赤い毛皮は硬く頑丈である亜種なので通常種よりも強力である。目印は牙である。』


と出た。攻撃方法は腕と牙だそうだ。つまり二本ある腕を封じれば後は攻撃範囲が狭い牙だけになる、そう考えた俺はレッドベアーに接近した。接近してきた俺にレッドベアーは右腕で攻撃してきた。しかしその攻撃が見えている俺には防御するのも回避するのも簡単だった。しかし俺は、どちらもせずに、攻撃に出た。


狙うは、剣を使い腕を切る。そう、カウンターだ。俺は右腕攻撃を回避、そして、狙いも角度も力も完璧な攻撃を打つ。加護があるにしても実戦では最高の一撃だった。当たれば確実に腕を落とす。しかし、俺はあることを忘れていた。それは剣がナマクラであると言うことを。


バキッ‼ 「なッ!」


熊の腕を狙った攻撃は剣が折れたことにより失敗に終わった。

俺は焦った。たったひとつの武器である剣が折れたことに、頭が真っ白にしかしレッドベアーの攻撃は二発を打ってきた。俺はそれを紙一重で回避。しかしレッドベアーの攻撃は止まらない。左、右と振るい続ける。たまに牙で攻撃してくる。それを俺はバックステップや腰を捻るなどで回避し続けた。俺は考えた。この熊に勝つにはどうすればいいかを考えて考えて浮かんだ結論はいたってシンプルだった。


『もう、素手でよくね?』


これに尽きる、つーかこれしか浮かばん。しかし更なる問題が『何処を攻撃するんだ?』と言うこと。レッドベアーの毛皮は硬くて頑丈であると観察眼が教えてくれた。しかしふと、思い出す。熊は嗅覚がとても鋭いと。なので、鼻には神経が大量にあると。レッドベアーを見る。鼻は毛に覆われていない。狙うは鼻そう決定ずけた。


それから待った。奴が牙で攻撃するのを。しかし奴は野生の勘なのかなかなか牙で攻撃しない。腹がたった俺は、柄だけ残った剣を奴の顔目掛け投げつけた。奴に当たっても微々たるダメージしかない、よくて怯むだけ。しかし石がお星さまになる速度で放たれた柄は真っ直ぐに飛び、レッドベアーを穿った。一瞬レッドベアーの動きが止まる。その隙に俺はレッドベアーに接近した。そして奴の顔目掛けジャンプした。そして放つ奴を倒す一撃を。


ドゴッ!


放ったのは、【シャイニング・ウィザード】別名閃光魔術。片膝立ちした相手の脚などを踏み台にして仕掛ける、飛び膝蹴りの一種である。しかし立ち幅跳びで五メートル飛ぶ俺は踏み台なして使える。接近による速度と脚の力、膝の硬さによる攻撃はレッドベアーの鼻を攻撃するには十分過ぎた。


レッドベアーは鼻が潰れて動けない。華麗に着地した俺はレッドベアーに止めを刺す。レッドベアーの頭に放つ踵落とし。放たれた踵落としはレッドベアーの頭から鈍い音を鳴らしてヒットした。


踵落としが決まったレッドベアーはその場に崩れた。今回の戦いは俺に軍配が上がった。うん、拳は剣より強し。と初の戦いでアドレナリンが出た頭で考えていると。また音がした。次は背後からである。俺は素早く振り向き、戦闘体勢。さあ次は何が出ると、心を踊らせていると。あらわられたのは、


「ここですか‼」


とかけ声と共に現れた、剣を持つ少女であった。

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