世界を越えたらまた神が……
俺は光の中で微睡んでいた。しかし微睡んでいただけ頭はもうスピードで動いていた。異世界に行ったら何しよう?魔法使い?剣士?国を造って王様になる?とかいろいろ。ネガティブなこともだけど、あっチート貰ってない。とか魔法て使えるの?とか、とか、とか‼
そしてどのくらいたっただろうか。何かに引っ張られている感覚が。来たか。召喚だな‼俺は眼を閉じて待った。引っ張られている感覚が消えるのを。消えたとき俺は異世界に召喚されるのだ‼引っ張られている感覚が消えた。さぁ‼異世界よその姿を見せろ‼
俺は眼を開けた。開けた先には、
「おっ‼やっと来たか」 「え?英雄君来ましたか~?」
見知らぬ二人の男女だった。
「えーと…誰?」
「「神だ」です~」
「はぁ~ 神神詐欺ですか? お引き取りを」
「いやいや‼本物だからね」
「お金はありません お引き取りを」
「いや、だからね」
「お引き取りを」
「話を聞けーえッ!」
「じゃ。話せ」
「あれ!あっさり掌返された‼」
「ユーで馴れた。で、あんたらは何」
「馴れた……あぁ、うん。私達はこの世界の神だ」
「この世界?」
「そうだ。君の生まれた世界ではない異なる世界。それが私達の世界【アムスフィア】だ。異世界の英雄杉崎慎吾君」
「はぁ~。まぁよろしく」
「あぁよろしく」「よろしく~」
「さて、慎吾君ここに来てもらったのは、君に加護を与えるためだよ」
「加護すか?」
「そう、加護だ。神の加護、簡単に言うと……チートだ」
「チートキターーーーー‼」
「フフフッ、そこまで喜んで貰えて嬉しいよ。さて君には私達二人の加護を与える」ガタッ!「そうだわ、お客様にはお茶を出さないと‼」
「「…………」」
タッタッタッタ‼
一人がなんかお茶を取りに行った。男の方はそれを無視、俺も無視しよう。
「どんな加護すか?」
「私からは【武神の加護】を、彼女からは【魔神の加護を】与える」
「えっ!お茶汲みの人神なんですか?」
「あぁ、そうは見えないけど立派な神だよ。魔法を司っている……威厳が無いのが傷だけど」
「ふーん、でどんな力をくれんの?」
「【武神の加護】は、ありとあらゆる武器をある程度扱えるように、さらに身体強化もつく、とてもお得です。【魔神の加護】は文字通り全ての魔法を使える可能性がある。可能性だけだよ?最初から使えたらチート過ぎるからね」
「【武神の加護】はわかったけど、可能性てどうすれば増える訳?」
「簡単さ、可能性なんだから。知ればいい魔法の知識を、魔法の理を、知れば知るほど使えるようになるよ」
「知れば知るほどね~。わかった」
「うん。すぐに飲み込めることは良いことだ」
と、男と加護の話をしていたら。女の方が帰ってきた。手にはお盆、その上にティーカップとポット。彼女は俺、自分の分をおいた。…彼のは無い。しばらく無言が続いた。鳴る音は彼女が紅茶を一気に飲む音だけ。……………気まずい‼
「アー、クラン?私の紅茶は何処かな?」
「えっ!マクスも紅茶欲しかったの‼言ってよー。準備してないわ」
「「………」」
「…自分で淹れてくるよ」
「いってらっしゃい~」
なんと言うか仲が悪いのか良いのかわからん二人だな。それにしても、この紅茶美味しいな。と紅茶を飲んでいると彼女【クラン】がこちらを見ていた。じっ!と。じぃー!と、じぃーーーーーっ!と見られてる。俺はちらっと視線を向ける。
「おいしい?」
「あぁ、旨いよ」
「そう?良かったわ」
「はぁ」
「フフッ、貴方があの世界の英雄で良かったわ」
「何が良かったんですか?」
「フフッ!だって彼女とっても嬉しそうだったんですもの」
「ユーですか?」
「えぇ。彼女の世界の初英雄ですもの」
「何で?」
「彼女の世界だけが英雄が居なかったからよ。彼女はとても肩身が狭い思いをしていたからね」
「そーゆーもんすか」
「そーゆーもんよ」
「話は済んだかな?」
「えぇ、とてもいい子よ。加護も与えたしね」
「えっ!いつの間に」
「さっきのまによ」
「さて、慎吾君。今から異世界にに降りてもらうよ。降りた先には必要な物を用意したからね」
「わかりました」
「うん。それではいい旅を」「いってらっしゃい、英雄君」
「いってきまーす」
そう言うと俺の回りが光った。俺は眼を閉じた。
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眼を開けた時、周りは森だった。足元にはリュックがあった。さてまずは自分を知らなければ。
異世界最初の行為は身体調査から始まった。