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桃香理事長日誌  作者: 葉月 優奈
一話:新米の|理事長《ディレクター》
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あれから一週間、理事長室の生活にも慣れていた。

ついでに理事長の席のすわり心地も慣れたあたしは、露木さんが持ってきた書類を見ていた。


「新しい部活の運動場?」と書かれた書類を見て、首を傾げていた。

「基本的には、承認さえすればいいんですよ」露木さんが持ってきた書類にハンコを押すだけだけ。

そんな適当な仕事をするのが嫌いなあたしは、内容を吟味した。


「こんなに運動場いる?」

「なんで俺に聞くんだよ?」

「そばにいるから」

目の前のソファーに座っている北小路に、質問を振ってみた。

相変わらず金髪に戻した北小路が、目つき悪くあたしを見てきた。

こっちもだいぶ慣れたけど。


「ラクロス部の練習場……後はプールも」

「予算通しているから、いいだろ」

「随分と投げやりね。北小路も参加したんでしょ、この時の会議」

「ああ、もうほぼ決まっているわけだ。お前の仕事のメインはハンコ押しだけだ」

「保留しとくわ。すごくお金がかかるし、後で父さんに聞くしかないわね」

あたしは書類をテーブルに置いた。露木さんは深くため息をついた。


「その割には、必要とされないいじめ対策をするんだな。

まさに職権乱用だな、ブス理事長様は」

「なによ、そんなことないわ!」

北小路のイヤミにもだいぶ慣れたあたしだけど、顔は不機嫌になるわ。


「でも、ちゃんといじめ対策はできているじゃない。最近は南条君もいじめられなくなったし。

やっぱり親に言うのが一番ね、こういう問題って。問題一つ解決すると……」

「ねずみ講のごとく、次から次へと出てくる」

「そうそう、次から次へと……何言っているのよ!違うじゃない」

あやうく北小路に、乗せられるところだった。


「まあ、空き時間見つけてはいつも南条を探しに行っているからな。

『メアドゲット』とか~騒いじゃって。馬鹿じゃねえか」

「南条君、なんかかわいいんだもん」彼の顔を思い出して、目尻を下げるあたし。

「本当に職権乱用だろ。それよりそろそろ時間だろ」あたしは時計を見ると八時五分前だ。

仕事の勤務時間は夜八時までって、規則で決まっていたんだったわ。


「あっ、そうね。後は明日ってことで」

あたしは、いそいそと帰り支度を始めた。露木さんの資料をソファーに座る北小路に手渡す。

「あとはよろしく」

帰り支度を五分で終えたあたしは、最後に自分の名前が入ったプレートを反対にして理事長室を出た。


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