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あれから一週間、理事長室の生活にも慣れていた。
ついでに理事長の席のすわり心地も慣れたあたしは、露木さんが持ってきた書類を見ていた。
「新しい部活の運動場?」と書かれた書類を見て、首を傾げていた。
「基本的には、承認さえすればいいんですよ」露木さんが持ってきた書類にハンコを押すだけだけ。
そんな適当な仕事をするのが嫌いなあたしは、内容を吟味した。
「こんなに運動場いる?」
「なんで俺に聞くんだよ?」
「そばにいるから」
目の前のソファーに座っている北小路に、質問を振ってみた。
相変わらず金髪に戻した北小路が、目つき悪くあたしを見てきた。
こっちもだいぶ慣れたけど。
「ラクロス部の練習場……後はプールも」
「予算通しているから、いいだろ」
「随分と投げやりね。北小路も参加したんでしょ、この時の会議」
「ああ、もうほぼ決まっているわけだ。お前の仕事のメインはハンコ押しだけだ」
「保留しとくわ。すごくお金がかかるし、後で父さんに聞くしかないわね」
あたしは書類をテーブルに置いた。露木さんは深くため息をついた。
「その割には、必要とされないいじめ対策をするんだな。
まさに職権乱用だな、ブス理事長様は」
「なによ、そんなことないわ!」
北小路のイヤミにもだいぶ慣れたあたしだけど、顔は不機嫌になるわ。
「でも、ちゃんといじめ対策はできているじゃない。最近は南条君もいじめられなくなったし。
やっぱり親に言うのが一番ね、こういう問題って。問題一つ解決すると……」
「ねずみ講のごとく、次から次へと出てくる」
「そうそう、次から次へと……何言っているのよ!違うじゃない」
あやうく北小路に、乗せられるところだった。
「まあ、空き時間見つけてはいつも南条を探しに行っているからな。
『メアドゲット』とか~騒いじゃって。馬鹿じゃねえか」
「南条君、なんかかわいいんだもん」彼の顔を思い出して、目尻を下げるあたし。
「本当に職権乱用だろ。それよりそろそろ時間だろ」あたしは時計を見ると八時五分前だ。
仕事の勤務時間は夜八時までって、規則で決まっていたんだったわ。
「あっ、そうね。後は明日ってことで」
あたしは、いそいそと帰り支度を始めた。露木さんの資料をソファーに座る北小路に手渡す。
「あとはよろしく」
帰り支度を五分で終えたあたしは、最後に自分の名前が入ったプレートを反対にして理事長室を出た。




