表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

プロローグ トン

 処女作&初投稿

 お見苦しい点が多々あるかと思いますが、ご容赦ください。


 なお、この作品の主人公は高レベルで希少なクラス(職業)のキャラクターですが、主人公は準廃人クラスで彼以上のプレイヤーも多数いますし、あくまで希少なクラスで突出した強さをもっているわけではありません。

 いわゆる主人公無双ものではないので、あらかじめご了承ください。

 孔子の教えの中に、トンという想像上の獣が出てくるという。


 獣偏に(むさぼ)ると書いて、トンと読む。

 その名のとおり、貪欲な獣である。

 とにかく何でも喰らう。


 草木や獣だけではなく、人間やその人間が作ったものまで喰らう。歴史や詩歌などの書や舞曲といった文化、金銀財宝などの富まで、ありとあらゆるものを喰らうのだ。

 しかも、それには充足するということがない。

 すべてを食い尽くしてもまだ飽き足らないトンは、海を飲み干し、大地まで食い尽し、太陽までも喰らう。


 自分以外のものすべてを喰らい尽くしても、トンはまだまだ飽き足らない。

ついには、トンは自らも喰らってしまう。


 そして、何もなくなってしまう。


 無である。


 過ぎた欲望は、周囲ばかりか自らも破滅させてしまうという教えだ。


 しかし、仮に誰かが、トンにそのことを教えたならば、トンは貪り喰らうことをやめただろうか?

 いや、そんなことはないだろう。

 トンは、貪り喰らうからこそトンなのだ。自らの欲望を抑えることができたトンは、トンではなくなる。


 それはトンにとっての死だ。


 たとえ自らが破滅の道をたどっていると知っていても、その道を歩み続けるからこそ、トンはトンでありえるのだ。

 そして、私もまたトンなのだろう。

 これから私が行おうとしていることは、私のみならず多くの人を破滅させることだろう。しかし、それがわかっていても私はこの胸のうちから湧き上がる渇望を抑えることができない。たとえ何百人の犠牲者が出ようとも、その中に私が含まれることがあろうとも、私はこの渇望を満たさずにはいられない。


 私は、トンなのだから……。

 太陽を食べ、最後に自分も食べてしまい自滅する怪物の話をどこかで聞いた記憶があり、いろいろ調べたのですが「蒼天航路」の冒頭に書かれているものしか見つからず、原文は不明です。

孔子廟の壁に描かれている怪物がトン(一説では麒麟)らしく、その怪物の周りに巻物や笛やひょうたんが描かれているそうです。

そこで巻物を文化の象徴、笛を音曲(娯楽)の象徴、ひょうたんを富の象徴という独自の解釈を加えてあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ