第2話 謎の男の実力
主人公無双な回。
少女の危機を救った謎の黒ローブの男。
男の登場により辺りはピンと張り詰めた緊張感に包まれている。
しかし男はいまだに夢の中。
聞こえてくるのは男の寝息と少女を襲った男のうめき声。
(なんなのこの男・・・何でこの状況で寝ていられるの!?)
辺りには他に誰もいないので状況から察するに黒ローブの男お陰で自分が助かったのは分かるが男の緊張感のなさに素直に感謝できないできでいる。
「くそ~・・・なんだこいつは!!」
一番大柄な男はやっと痛みが引いてきたのか少し涙目で黒ローブの男を睨む。
「ちょっ、ちょっとあんた起きなさい!殺されちゃうわよ!!」
少女は一応自分の命の恩人が殺されるのは忍びないので黒ローブの男を肩を揺すって起こそうとした。
「んぁ・・・誰だよ~、2日はおこさないでっていったのに・・・」
男はだるそうにゆっくりと起き上がった。
その時ローブのフードが取れて始めて男の顔が見えた。
青年くらいの男だろう。髪の色は黒。瞳も髪と同様に黒だがその目は眠くて仕方がないのか半目でおそらく男の容姿はいいと言えるのだろうが寝癖でボサボサの髪と全身から出るだるそうなオーラがそれを台無しにしている。
「ん~・・・、おはよう?」
黒ローブ男を警戒していた男達はそのマイペースな男の対応に肩透かしをくらう。
「あんたこの状況でよくそんなこと言えるわね!頭腐ってんじゃないの!?」
「んあ・・・誰だお前?そして何この状況?」
男は眠気眼であたりを見て少女に問う。
「盗賊に囲まれてんの!!危機的状況ってこと分かった!?」
少女は男のあまりの緊張感のなさにイライラして男の首を閉めながら怒鳴った。
「ぐぇ~、く、くるしいから。わかったから!く、くび絞まってるから。はなしてくれ~・・・。」
男の顔は見る見るうちに青に染まっていき少女に懇願する。
「分かったならいいわ。」
少女は男の答えに満足し男の首から手を離した。
「ふぃ~、死ぬかと思った~・・・。」
男は首を撫でながらそう言い安堵している。
「いつまで漫才やってやがる!?」
盗賊の頭がそう言うと呆然と少女達のやり取りを見ていた盗賊達はハッとなり少女達へと武器を構える。
「あら?待っていてくれたの?そのまま逃がしてくれたらよかったのに・・・。」
少女は心底残念といった表情を浮かべながらそう言う。
「ふんっ!減らず口を・・・ってそこのお前!何こそこそ逃げ出そうとしてやがる!?」
少女と盗賊の頭が会話をしているその隙に黒ローブの男はほふく全身でこの場から逃げようとしていた。
「いやぁ~。俺は関係なさそうだしお邪魔かなぁ~と・・・。」
黒ローブの男は立ち上がり頭をかきながら面倒そうな顔して言った。
「ちょっとあんた!こんな可愛い美少女を一人残して逃げる気!?あんたそれでも男!?」
「自分で美少女って(笑)」
「ぶっ飛ばすぞゴルァ!!」
「すいませんてした。」
少女のドスのきいた一言に男は最速の土下座をする。
「安心しなクソガキ・・・てめぇはぜってぇ逃がさねぇからな!見ろこのコブ!!てめぇが上から落ちてきたせいで俺の頭がいかれちまうところだったじゃねえか!!というかなんでてめぇは平気そうなんだよ!?」
盗賊の頭は頭を押さえながら黒ローブの男に怒鳴る。
「えっ?まじ!?道理で木の上で寝ていたのにいつの間にか地面で寝てたのかぁ・・・。」
男はなるほど納得したという顔して頷いた。
「そうじゃないだろ!?・・・もういい!!その男もクソガキと一緒に殺してやりな!」
盗賊の頭の号令と共に少女と男へ襲い掛かる。
「っく!」
少女は瞬時に短剣を構え応戦するが先程とは違い盗賊達に油断はなく連携して少女へと襲い掛かる。
少女は防御に手一杯で攻撃に転じる事ができないでいる。
(やばい・・・このままじゃ負ける!?)
少女が必死に剣を捌いていると後ろから気の抜けるような声が聞こえてくる。
「がんばれ~、負けるな~。」
男は木の影に隠れながら少女を応援していた。
「うっさいわよ!あんたも少しは手伝いなさい!!盗賊さんたちあの木の後ろにもいるわよ!」
少女は内心男を戦力として数えていないが少しでも盗賊の注意を反らしたかったので男が後ろにいることをアピールした。
「てめぇらはそっちの男を殺れ!こいつは俺が殺る!」
盗賊の頭の命令を聞いて盗賊達は男の方へ向かって走り出す。
「めんどいな~。俺は頭脳労働派なんだけどな・・・。」
男は体を前へと傾けなにかを呟きながら右足で地面を思いっきり蹴る。
「ドンッ!」
少女と盗賊の頭は音がした方を見て驚き声を重ねた。
「「は?」」
そこには一人残らず倒れ伏した盗賊達。男はその中心に悠然と立っている。
「な、何が起こったの!?あんたがやったの!?」
「そだよ~。あ~めんどかった。」
男は変わらずだる気な顔で少女に返す。
「嘘でしょ・・・。」
少女は今だに信じられない様子だ。
「てめぇ・・・なにもんだ?」
「俺?俺はカシム・アーガルト。よろしく~。」
盗賊の頭は驚愕した表情の後に納得がいった様子の顔をした。
「そうか・・・、てめぇがあの・・・。」
盗賊の頭は真剣な顔でそう呟きカシムへと大剣を構える。
「カシム・アーガルトって・・・まさか!?」
少女が考え事をしている間に盗賊の頭はカシムへと走り出す。
「死ねぇぇ!!」
盗賊の頭はカシムへと大剣を思いっきり振り下ろす。
カシムはそれを後ろに跳ぶことでかわした。
大剣は空を切り「ドゴッ」と鈍い音がした。
振り下ろされた大剣は地面へ当たり地面は割れていた。
「おお~、おっさんすげぇ力だな~。」
カシムは余裕な表情で盗賊の頭に話し掛ける。
「ちっ!本物かどうかはわからねぇがあいつらを倒したってのは本当みてぇだな。」
「だからそう言ったでしょ?おっさん疑り深いなぁ。」
「ふんっ!そんなことはどうでもいい・・・。部下たちもやられちまった以上なんの手土産もなくこのまま引き下がるわけにはいかねぇ・・・。クソガキを殺せなきゃ俺が依頼主に殺されちまう。その為にまず・・・てめぇを殺す!そんだけだ!!」
盗賊の頭は大剣をを振り上げ再びカシムへと振り下ろす。
「いくら地面を割っちまうような力があっても・・・・・・触れられない速さには勝てないよな?」
カシムが言ったその瞬間・・・。
カシムは消えた。
盗賊の頭に見えたのは黒い影。
その影はカシムの残像。
残像はカシムが通りすぎた場所へまるで道筋のように続いていく。
「この辺りでは珍しい黒い髪に黒い瞳・・・真っ黒なローブに身を包んだ青年くらいの男。そしてあの戦いっぷり・・・。間違いない!あいつがあの・・・」
少女が最後の言葉を紡ごうとしたその時・・・カシムはすでに盗賊の背後にいた。
「・・・やっぱりてめぇは本物の・・・・・・ごふっ!」
盗賊が呟いた時にはすでに盗賊の頭の腹に風穴が空いていた。
そして盗賊の頭が倒れていく最中少女と頭は最後の言葉を紡ぐ。
「「黒の閃光」」
主人公の強さは現在上の下くらいです。
主人公は割りと苦戦していく予定です。
ちなみに盗賊の頭の強さは下の上くらいです。




