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東京戦争 ~the end of world~  作者: 紅月雪夜
9/13

~この世と地獄と~ phase9

「なっ!大型戦闘機だと!」



あり得ない!こんなでかい物をレーダーがミサイル程度の大きさにしか認識出来ないなど!最新鋭の空中戦艦だぞ!そもそもあの速度でパイロットが無事なはずが…そうか!無人機なら問題ない。



それならやりようがある!



そう思った直後。



“こちらは日本国航空自衛隊。武装解除及び投降せよ。抵抗は無意味だ。これは最初で最後の警告だ。武装解除及び投降せよ。こちらは日本国航空自衛隊、龍神。パイロットは島谷中佐”



「通信システムがハッキングされています…発信源は間違いなくあの戦闘機です。生命反応も確認されました…」



オペレーターが信じられない、といった声で報告する。



無人機ではなく、たった50機でUnitedを含む全艦と航空部隊を制圧すると、制圧出来ると宣言した訳か。



舐めるなっ!



「全艦に通達!最大戦速で東京港へ進撃せよ!」



ゴウンッ!



全艦が機関を最大まで回し始めた。それに伴い侵攻速度が上がり始める。



これでこちらの意思は伝わっただろう。我々合衆国に敗北など、ない!



“そうか。残念だ。あんた方の魂が導かれんことを”



戦闘機が雷光に包まれる。



ズズンッ!



陣形の先頭にいた重巡洋艦が吹き飛んだ。見る間に沈んでいく。



「い、1番艦轟沈!」



「馬鹿な…何をした…」



そうか。第7、第11艦隊をやったのはこいつらか!



「なんとしても墜とせ!」



航空部隊が敵の後続部隊と交戦に入る。たった50機、精鋭200機の敵ではない。



そこで予期しない事が起きた。レーダーから部隊反応が次々に消え始めたのだ。敵機は消えていない。レーダーの故障ではない。まさか…



「航空部隊が…」



“なんなんだこいつらは!誰かフォローを!”



“後ろに付かれ…うわああああ!”



“誰か!誰かあぁぁぁ!”



“ちくしょう、ジムが墜とされた!”



“神よ、神よ!うわああぁぁ!”



無線からは航空部隊の悲鳴が垂れ流しになっていた。炎をあげ、爆散し、墜ちていくのは味方ばかり。信じられない光景が広がっていた。



「そんな…」



オペレーターが呆然と呟く。こちらのミサイルや対空砲火を易々と避け、味方を墜とし、こちらへ攻撃を仕掛けてくる。まるで悪夢だ。



“United、進路をそのまま動くな”



いくつかの閃光が後方から通り抜けた。さらに戦闘機が通り過ぎる。



「識別信号を確認!強襲殲滅艦カリフォルニアです!」



「来てくれたか!」



増援だ。殲滅艦が2隻、負ける理由はない。



ズズンッ!



「2番艦轟沈!」



くそっ、敵の勢いが落ちない。



「カリフォルニア、こちらと陣形を組み直せ!アローヘッドで…」



その時だった。一筋の閃光がUnitedをかすめ、カリフォルニアを貫いた。さらに閃光が煌めき、カリフォルニアに随伴していた戦艦すべてに突き刺さる。



「緊急回避っ!」



船体が傾き、沈む。



閃光は全ての艦艇に等しく突き刺さった。



閃光と衝撃と轟音。やかましい警告音。怒号と悲鳴。沈んでいく随伴艦群。救難信号すら出せないカリフォルニア艦隊。次々と墜とされていく航空部隊。



くそっ、船体の半分を持っていかれた。もうまともに制御は出来ない。高度も維持出来ず下がっている。



ここまでか。



まさかこんなに技術力に差があるとは。個々の戦力も差がありすぎた。



「被害状況の報告を」



静かに指示を出す。喚いて事態が好転する訳ではない。何が出来て何が出来ないのか。状況を把握しなければ指示を出すことも出来ない。



「第1、第2エンジンを消失!第3エンジンは出力20%まで低下、尚も低下中!第4エンジンは停止!」



「第1から第6、第8サブエンジンは消失もしくは停止!第7、第9、第10サブエンジンは出力40%で稼働!現状最大出力ですがいつ停止するか分かりません!」



機関関係はほぼ全滅。生きているのが不思議なくらいだ。



「左舷ブロックの多数で火災発生!第4、第5、第6ブロックは手が付けられません!」



「左舷第6ブロックまでパージ。3分後、第7、第8、第9ブロックを緊急閉鎖」



轟音が響き、衝撃が艦橋まで伝わってきた。攻撃によるものではなさそうだ。



「第10サブエンジンが爆発!今の衝撃でパージ及び緊急閉鎖不能!」



マイクを手に取りスイッチを入れて全艦内放送にする。もっともスピーカーが生きているかどうか。



『艦長より緊急命令。総員退艦せよ。繰り返す、総員速やかに退艦せよ』



最期まで抵抗し艦と共に沈むことはある意味美徳かもしれない。だがそれで終わりだ。生きていれば反撃のチャンスがあるかもしれない。



「副長。退艦及び退艦後の指揮を執れ。お前たちも早く退艦しろ」



「艦長はどうされるのですか?」



「私はこの艦の責任者だ。降りるのは最後に決まっているだろう?」




だが、退艦命令が履行されることはなかった。



Unitedに閃光が突き刺さる。装甲を蒸発させ、艦を貫き、後方へと抜ける。



Unitedは爆散し、その炎は全乗組員の命を飲み込み焼き尽くす。

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