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東京戦争 ~the end of world~  作者: 紅月雪夜
8/13

~叫喚と非情と~ phase8

自衛隊、航空基地。スクランブルがかかり、騒然としていた。



「何機飛ばすの!」



「全機だ!」



「心神全機?」



「心神だけじゃない、朱雀も全機飛ばすんだよ!それ以外もスタンバイの指示が出てる!」



「おいおい、全機ってのはこの基地の戦闘機全部ってことか!?」



心神しんしん。2000年代前半から研究が進められていた国産ステルス戦闘機だ。現役の心神は4世代目。特化型として朱雀、玄武等のバリエーションがある。



「この基地だけじゃない、全自衛隊にスクランブルがかかってる!大蛇おろち八咫烏やたがらす金鵄きんしは展開済みだ!国内も陸自が展開を始めてる!」



全自衛隊にスクランブル。自衛隊創設以来の出来事だろうな。ということはあいつの根回しが効いたか。



「俺の機体も出れるんだよな?」



「お前さんの機体はまだだ」



整備士長が事も無げに答える。



「まだ?俺の朱雀が後回しなのかよ?」



スクランブルがかかってるのに?他の奴らは続々と飛び出していって、防空任務に…出ていなかった。基地上空で待機している。



「お前さんの機体は朱雀じゃない。龍神で出てもらう。それで時間喰ってたんだ。ほれ、頼むぜ航空部隊長?」



ヘルメットを投げて寄越す。ハンガーの奥から見慣れた朱雀よりかなり大型の戦闘機が引っ張り出されてきた。



龍神。心神系列とは違う、最新鋭の大型戦闘機。最高速、航続距離、戦闘能力、全てにおいてこいつに勝てる機体は無い。もちろん相応の腕を要求される。ひとつ間違えればコックピットで圧死だ。



そして龍神の後ろから別の機体が引っ張り出される。麒麟だ。



麒麟も心神や龍神とは別系統の機体で、龍神の僚機。単機任務をこなせるだけの能力もある。龍神、麒麟の真価は別のところにあるが。



「あれを飛ばすのは山村、水崎か」



「よろしくお願いします!」



後ろから声を掛けられる。山村少佐と水崎少佐だった。



「上空で待機してるのは俺ら待ちか。待たせちゃ悪いよなぁ?」



振り向いて2人に言う。



「お供します!島谷中佐!」



「付いて来れたらな!」



龍神に向かって歩き出す。それぞれが機体のコックピットに収まる。



各システムチェック

通信システムオンライン

火器管制システムオンライン

戦闘指揮管制システムオンライン

各部油温、油圧OK


全システムオールグリーン


ECUを平時から戦闘領域に切り替え


龍神のエンジン音が高まる。まるで、早く出せと急かしているかのようだ。



まだだ。もう少し待ってろ。



“島谷機、山村機、水崎機、滑走路発進位置まで出てください”



指示通りに発進位置まで機体を出す。上空の心神、朱雀達が唸り声を上げる。



戦闘システムオンライン


全システムオンライン



これで龍神は目覚めた。あとは飛ぶだけ。



“島谷航空部隊長、離陸願います。山村、水崎各機も続いてください。空の加護があらんことを”



「了解。雷鳴隊、出るぞ!」



スロットルを最大まで叩き込む。龍神が咆哮を上げる。麒麟も咆哮を上げているはずだ。凄まじい力でシートに押さえ付けられる。



次の瞬間には、空へ舞い上がっていた。









基地上空で旋回しながら送られてくる情報を整理する。



大蛇を中心とした空母艦隊は硫黄島周辺に展開済み。 関東沖には八咫烏と金鵄。ん?海自は全戦力を展開する気か。陸自も展開が早い。



うちの情報はっと。ああ、八咫烏と金鵄が出てるんだから天照あまてらすが出ないわけがないか。横田から離陸済み。すでに行動を開始。全戦力を展開中。展開が終わるのはもう少しかかるな。



天照あまてらす。日本神話に出てくる神の名を冠した航空戦闘指揮機。大型のレドームを背負っている。昔は大型旅客機にレドームを付けたものが有ったらしいが天照は専用設計だ。レーダーの有効範囲は単機で日本領土をカバーする。



八咫烏やたがらす金鵄きんし。こちらも日本神話に出てくる鳥の名だ。海自の誇る大型戦闘艦で長射程から近接防御まで何でもこなす。昔のイージス艦の発展したものと考えればいいだろうか?



「龍神より天照、攻撃目標は敵航空部隊でいいのか?」



“天照より龍神、敵航空部隊の殲滅命令を今、受諾したところだ。各指令部に青龍発進の指示を送信。増援の形になるな“



「龍神より天照、我々攻撃部隊の総隊長は?」



ここで急にオペレーターの声が変わった。



“天照より龍神、お前以外に誰がいる。全航空戦闘部隊各機へ。これより航空戦闘部隊総隊長は島谷中佐だ。指示を乞え。以上!”



やってくれる。最後のは天照の指揮官だ。仕方ない、やるか。



「龍神より各機、相手が相手だ。容赦するな。全機ポイントAを通過後、モニターの形に散開。青龍が増援に入るがあちらも増援が来る。どうも大型の新造艦のようだ。航空部隊も多数侵攻を開始している」



天照等から送られてくる情報を各機と共有する。



「あちらの数はこっちの4倍。時間を喰うとさらに膨れ上がる。残弾に気を付けろ。全機行動開始!」



その瞬間、全ての戦闘機が戦場へと消えていった。








「攻撃部隊各機へ。高速で接近するもの多数。ミサイルと思われる。3発が先行。総数は50。注意してください」



こちらの200機に対してミサイル50発?よほど高性能なのか、効果範囲が広いのか、舐められているのか。



「ミサイル群、増速!4グループに散開、先行する3発はこちらへ向かってきます!着弾は2分後!」



「対空防御。全装備を展開。各艦に通達。本艦はこれより浮上、攻撃体制へ移行。全艦戦闘配置へ。本国へ戦闘開始シグナルを送れ」



最新鋭の侵攻殲滅艦、Unitedユナイテッドの装備も能力も伊達ではない。だがあの第7、第11艦隊が墜ちた。それもドミンゲスが指揮をしていて。用心はし過ぎることはない。



仇はとってやる、ドミンゲス。



「浮上!」



「了解、浮上します!」



オペレーターが応え、艦が音もなく海上から離れ始める。それに呼応するように艦隊陣形が変わる。



「浮上及び全装備の展開を完了!ミサイルきます!」



「あいつらを驚かせてやる」



だが、驚いたのは彼らの方だった。








「龍神より天照、接敵。戦闘開始」



やはり空中戦艦か。それも空母ではなく侵攻殲滅艦。あれが旗艦と見ていいな。



「各機へ。旗艦と思われる侵攻殲滅艦を確認」



とんでもない対空砲火。ミサイルだと思っていたか。あちらのレーダーにはその程度の大きさにしか写らないだろう。速度も戦闘機の速度ではない。あちらの常識では。



そして地獄絵図が描き始まる。


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