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ラオル3 僕にできること

 すっかり陽が傾き、日中よりも更に暗さを増した森の中を歩いていた僕は、ふいに足を止めて振り返った。


 少し離れただけなのに、ミリーナさんの住む屋敷は既に鬱蒼と生い茂る木々に隠れてしまい、屋根も煙突すらも見えない。


 ミリーナさんは今、どうしているんだろう。


 この深い森の中で、ずっとひとりで暮らしている彼女のことを思うと、胸が痛む。

 ただの女の子なのに魔女と呼ばれてこんな場所に閉じ込められた上、今ではただ生きることでさえ困難がつきまとう。


 そして彼女は自ら死を選んだ。


 どれだけ苦しんだのだろう。どれだけ悲しんだんだろう。


 僕がいくら考えたところで、そんなのわかるはずもない。


 それくらいひどい目にあったというのに、目覚めた彼女は僕の怪我に気づくなり、すぐさま手当てをしてくれた。


 薬師として責任感が強いだけじゃない、優しい人なんだ。


 そんな彼女に、これ以上辛い思いはしてほしくなかった。

 けれどそれ以上に生きていてほしかった。


 彼女が死ぬ必要なんてない。

 彼女が生きて幸せになることを妨げる権利なんて、誰にもない。


 僕はミリーナさんのいる方角を見つめながら、自分にできることはなんなのかを考えていた。


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