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07 まさかの遭遇

週末、先週晴に選んでもらった服を着て、晴の家に向かっていた。

今日は特段と暑い気がする。

玄関を開けた瞬間に外へ出る気が無くなる程には暑い。

普段寒がりな汐音も今日は珍しく腕捲り(うでまくり)をして歩いていた。

今朝もニュースキャスターが観測史上始めての暑さだと言っていた気がする。

こんなにも暑くなるならバスを使えば良かった。と、今更後悔しても遅い。

折角(せっかく)歩いているのだからと、商店街に寄って手土産を買っていく事にした。


ショーウィンドウを見れば、まだ見慣れない自分が映っている。

よく見なければ自分でも誰だか分からない。

普段の汐音を知っている人が見れば、誰も汐音と気がつかないだろう。

そう思うほどには良い方向に見た目が変化しているのを再認識する。


適当にお菓子を買い込んだ汐音が再度、晴の家に向かおうとすると、


「汐音?」


背後からよく知った声がかけられた。

振り向けばそこには、普段はこれでもかと存在を放っている元気溌剌(げんきはつらつ)な少女が、今日は透き通るように真っ白な、ワンピース姿でそこに立っていた。


「…茉莉?」


普段と違う、どこか儚げな印象だ。

商店街のガラスからの散乱光(さんらんこう)(あい)まって、まるでそこだけが空想の中から飛び出してきたような印象を受ける。

普段と違う印象の幼馴染、ましてや好きな子が目の前に急に現れたとなれば汐音の脳はが止まったかのように目の前の光景に(ほう)けてしまう。

そんな汐音に茉莉が、


「汐音が外出るなんて珍しいじゃん!どっか行くの?」

「…」

「汐音?」

「…あぁ、友達の家に」

「なんかボーッとしてたけど大丈夫?暑さでやられた?」

「大丈夫大丈夫」


まさか、「見惚(みと)れてました」などどは言えない汐音がどうにか誤魔化す。


「雰囲気が違ったから一瞬誰か分からなかったよ」

「逆に良く分かったね。さっき自分でも一瞬誰か分からなかったのに。」

「まあね!伊達に誰かさんの幼馴染やってませんから」

そう言ってドヤッとしてる茉莉が、普段通りで安心する。


「…茉莉もワンピース着てるの珍しいじゃん。ワンピースも似合ってるよ。やっぱり暑いから?」

「ふふっ、ありがと。流石に今日は暑すぎるよ。外出るのも勇気いったもん」

「分かるなぁ、俺も約束なかったら絶対外に出なかったもん」

「汐音が友達と約束なんて珍しい。あっ、だから今日異常気象(・・・・)なんだなぁ〜」

「そんなわけないだろ、茉莉がワンピース着てるからじゃないの〜?」

「違います〜、暑いからワンピース着てるだけですぅ〜」


普段通りの会話をしながら二人は歩いていく。

同じ方向に向かっている事に何も違和感を(いだ)かないまま…。

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