06 普段の教室
翌週、まだ新しい髪型に挑戦する勇気の無かった汐音はいつも通りの髪型で登校していた。
大きな心変わりがない限り、汐音が新しい髪型で登校する事はないだろう。
5月半ばということもあり、比較的涼しい気候だが、世の高校生にとっては暑いと感じ始める季節だ。
前の席の晴も暑そうにシャツの腕を捲った姿でノートを取っている。
「みんな〜、暑いからって授業は集中しなきゃダメだよ〜」
教壇からは担任の香坂先生のゆる〜い声が聞こえてくる。
何だかその声でその声で余計に眠たくなってくる気がするが…。
「テスト前なんだから気を引き締めてね〜、赤点取らないようにね〜」
「「「…⁉︎」」」
クラス全体から驚きが伝わってくる。
1ヶ月後にテストがあるのを思い出した人が殆どなのだろう。
汐音は少しづつ勉強をテスト始めていたが、去年までと同じように直前に勉強すれば良い気がするのも何となく頷ける。
この高校は赤点になると、補修が多いらしい。
そんな説明を受けた気がする。
授業が終わり、
「汐音、お前テスト勉強始めてる?」
「んー、まぁぼちぼち?」
「なぁ、今度一緒に勉強しない?専門教科が全然わかんなくてヤバいんだけど…」
「まぁ、教えられるか分からないけど一人で勉強するより捗りそうだから良いよ」
「マジか、助かるー。今週末からで良い?」
「良いよ」
工業高校ならではの科目である専門科目もテストがあり、国語や数学といった普通教科よりも成績に反映されやすいらしい。
因みに、汐音達は電気科なので、電気関係の科目が3つほどある。
暗記の苦手な汐音は膨大な公式の数に、頭を悩ませているが、それは時間を掛けるしかないのだろう。
「場所なんだけどうちでも良い?」
何やら企んでいそうな顔の晴が聞いてくる。
「良いけど…お前何企んでる?」
「んー、秘密ー。あっ、因みにうち来る時は髪セットしてこいよ。服装もこの前買ったやつにする事。」
「分かったけど、何で?」
晴の指示の意図が分からずに困惑する。
「まぁ、良いから良いから。」
何やら企んで居そうなのは明白だから晴はこうなってしまっては一向に教えてくれないのをこの一月半でよく学んだ汐音は大人しく引き下がる。
「うちの場所はもう大丈夫だよな?今週の土曜日、9時くらいにうちに来てくれ。」
「分かった。」
そんなこんなで今週末の晴の家にお邪魔する事になった。




