05 晴の家
服屋で新しい服に着替えた汐音は晴と共にファストフード店で昼ごはんを食べた。
普通に美味しかった。
昼ごはんを食べた汐音達は春の家に向かった。
閑静な住宅街の中にあった。
一般的な一軒家というには庭が広く、家も大きい気がするが晴が普通の一軒家だと言っているからそういう事にしておこう。
「ただいま〜」
「お邪魔します。」
「いらっしゃい、汐音君。晴から話は聞いているわ。」
晴の母親が出迎えてくれた。
「母さん、汐音と部屋に行ってるから」
「はーい」
晴の部屋は、きちんと整理されていた。
「じゃあ、そこ座ってて」と三面鏡の前の椅子をさされる。
「早速だけど髪セットしてみようぜ」
今日は、一ヶ月半ほど前の約束を、晴が覚えてたらしく誘ってもらった次第だった。
「頼む」
「任せとけって」
汐音は晴にされるがままで髪をセットしてもらった。
「よし、出来たぞ。会心の出来だ。」
目の前の鏡を見てみれば、普段とは別人が写っていた。
普段の前髪に隠れた目が出ており、新しい服も相まって今風の若者に大変身していた。
「やっぱ汐音はちゃんとセットしてたらイケメンじゃん。」
「そうか。ありがとう。」
「これで市田さんのこと、落とせるな。」
「…別にそんなんじゃねーよ」
「まぁまぁ、そんなこと言うなって、バレバレだから。」
「第一、お前、茉莉と俺が一緒にいるとこ見たの入学式の後の時だけだろ」
「あんだけ、チラチラ市田さんのこと見てたら流石に分かるって」
「……」
「その沈黙が肯定してるようなもんなんだよなぁ」
「うるせー」
「じゃあ、今回は強情な汐音クンの為に違うって事にしておきましょうかね〜」
「そーしておいてくれ」
まさか晴に気づかれているとは…。
その時、部屋の扉が開き、
「お兄、ゲーム貸して」
「霧雨、ノックくらいしろって」
「まぁ、そんな硬い事言わずにさぁ〜。あれ?汐音君じゃん。お兄、人来るなら一言言ってよね〜。」
「霧雨が聞いてなかっただけだろ〜、人のせいにすんなって」
「しょうがない、ゲームで許してやろう。」
「今から汐音と使うから無理。」
「じゃあ、私も混ぜてよ。汐音君いいでしょ?」
「まぁ、僕は良いよ」
「汐音、女子と話すからって緊張しすぎだぞ、一人称が僕になってる。」
「うるせー、しょうがないだろ」
こそっと指摘してくる感じ、晴はいいやつなんだろう。
汐音は改めてそう思った。
因みにこの後のゲームでは2対1でも汐音の圧勝だった。
「ゲーム好きなだけあるだろ」
と自慢された晴が悔しそうに何かを呟いていたが内容までは聞き取れなかった。




