22 遊園地⑤
観覧車を降りてお化け屋敷へと向かう。
お化け屋敷は、茉莉が強がったがばかりに行かざるを得なくなった。
霧雨「じゃあ、私はお兄と行くから茉莉ちゃん達先に行ってて良いよ」
汐音「茉莉、大丈夫?今なら引き返せるけど」
茉莉「大丈夫だし。もう昔とは違うし」
汐音「あんまり強がらなくても…」
茉莉「強がりじゃ無いもん」
汐音「分かったよ」
────────────────
お化け屋敷の奥へと向かっていくほどに段々と暗くなってくる。
自分で強がりでは無いと言った手前、茉莉は今更怖いとは言い出せないのだろう。
汐音の後ろで小さくなっているのが分かる。
汐音「あー、茉莉。俺が怖いからさ、手、繋いでくれない?」
茉莉「まったくもー。汐音ったら仕方ないなぁ」
そう言って手を繋ぐ。
汐音の腕にすがりつくかの様に握られた茉莉の手はひどく冷たく、小刻みに震えていた。
やはり怖かったのだろう。
奥に進むにつれ、雰囲気が増してくる。
自分たちの足音さえも反響して大きく聞こえる。
時折「ゔぁ〜」と、お化けの音が響いてくる。
繋いだ手が時間が経過するにつれ段々と離すまいと茉莉が抱きつく形になってくる。
汐音的には、上腕部に押し当てられている茉莉の双丘の方に意識が向いていて、お化け屋敷どころでは無くなってきていた。
汐音が指摘しようか迷ってきた頃、
ドーン
大きな音と共にこのお化け屋敷の目玉である、天井からお化けが落下してくる仕掛けが作動した。
茉莉「キャーー」
汐音「茉莉⁉︎」
急に茉莉がしゃがみ込む。
大粒の涙を流しながら茉莉が
茉莉「グスッ…ちからが…ヒック…入らなくなっちゃった…ヒック」
汐音「大丈夫?立てそう」
茉莉は両手で顔を隠しながら首を横に振る。
汐音「ずっとここにいるわけにも行かないし…。おんぶするから背中乗れる?」
茉莉「…コクッ」
首を縦に振った茉莉を確認した汐音は、茉莉の前にしゃがみ込む。
首に両手を回した事を確認した汐音は体勢を立て直してから立ち上がる。
茉莉の両腿に腕を回して茉莉の身体を持ち上げる。
流石の汐音もここまで弱っている茉莉を見たら背中や腕の感触に意識を持っていかれるほど悠長な考えは持ち合わせていない。
次の途中退出口まであと少しだろう。
お化け屋敷の狭い通路を進みながら汐音は退出口を探す。
やっとの思いで発見して、扉をくぐる。
暫く進むと、出口直前に休憩用の椅子が用意されていていた。
背中の茉莉を見れば、まだ一人で歩ける状態では無さそうだ。
汐音は暫く休憩してから出ることにした。




