21 遊園地④
並ぶ事なくすんなりと観覧車に乗ることが出来た。
茉莉「眺めすごーい」
霧雨「綺麗」
汐音「遠くまでよく見える」
晴「曇ってなくて良かった」
頂上に着いてみれば噂通り、遠くまで綺麗に見える。
茉莉「ねえねえ、あそこに大きい湖が見えるよ」
汐音「この辺り湖多いからね」
晴「湖でバーベキューなんか最高だよな」
霧雨「お兄、昔からバーベキュー好きだよね」
晴「良いじゃねーかよ」
霧雨「駄目なんて言ってないもーん」
観覧車に乗っている約15分、上りの時は段々と景色が見えるようになってきて楽しいが、下りは逆に暇になってしまう。
外を眺めていても良いが、景色が見えなくなる寂しさが勝ってしまう。
そんな汐音の空気を察したかのように
茉莉「大丈夫?」
と声が掛かる。
寂しさを紛らわすかの様に「大丈夫だよ」と笑って見せても見透かされた様に「そう。なら良かった」と微笑みが返ってくる。
並びで座っている茉莉は汐音にもたれかかるかの様に距離を詰めてくる。
彼女なりの気遣いなのだろうが、茉莉が近づいた瞬間に汐音の"寂しさ"は嘘だったかの様に吹っ飛んでいった。
いつから付けるようになったのだろうか。ふわっとシトラスの香りが鼻腔をくすぐる。
近づかれたことで意識しないように、自分に気が付いていないと暗示をかけていた茉莉の化粧にも気が付いてしまう。
勉強会の日、アーケードで会った時から実はうっすらと気が付いていた茉莉の変化に戸惑ってしまう。
これ以上、女性としての茉莉に気が付いてしまえば自分でも"好き"の気持ちが止まらなくなってしまう事がよく分かっていたから。
このまま暴走しないように心に鍵を掛けていたから。
しかし、今まで気が付いていないと自分を騙していた、茉莉の、幼馴染の変化に汐音は気が付いてしまった。
汐音はこの時、茉莉に告白する決心を決めた。




