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02 入学式2

駅を出ると先ほどまでの曇天が嘘のように、蒼く澄み切った空が顔をのぞかせていた。

茉莉は友人を家まで迎えに行くために、少し遠回りをするらしい。

俺は一抹(いちまつ)の寂しさを覚えながら、小さくなっていく茉莉の背中を見送りつつ、学校へと歩みを進めた。


時間が経つにつれて汐音と同じ鐵紺色(てつこんいろ)の制服を身に(まと)った生徒と、茉莉と同じネイビーの制服を身に纏った生徒が増えていった。

汐音と茉莉は違う高校に入学するのだが、どうやら高校同士が隣に並んでいるらしい。不思議な縁もあるものだ。


学校に着いた汐音は案内をしている大人(おそらく先生だろう)の指示に従って体育館へ向かった。


入り口から入ると体育館独特の匂いがツンと鼻をさした。受付をして自分の席に向かうと、まだ隣の席の人は来ていない様だった。


特にすることもなく手持ち無沙汰な俺は、湧き上がってくる欠伸(あくび)を噛み殺しながら周囲を見回した。

辺りには、中学校での知り合いなのか仲が良さそうに話している人、俺と同じくキョロキョロと辺りには見回している人など様々な人がいた。

遠くに見知った顔も(いく)つかあるが、人付き合いの好きではない俺は顔と名前を知っているだけで話したことは殆どない。


入学式が始まるまでどう時間を潰そうかと考えていると、


「おはよう」


と、初めて聞く声で話しかけられた。

声の主を見上げれば、整った顔立ちの(さなが)ら陽キャとでもいう様な雰囲気を纏った生徒がこちらを見ながら挨拶をしてきた。


「……お、おはよう」


陽キャという生物に免疫のない俺は少しどもりながらもそう返す。


「入学式から緊張するなよ〜。俺は莱表晴(とりいはる)、今日からよろしくな」

「…水原汐音です。よろしく」

「同級生だしそんなに(かしこ)まるなよ」

「うん…」


慣れない陽キャに困惑していると、


「それでは時間になりましたので入学式を始めたいと思います。」


よく通る声で入会式の開会が宣言された。


〜〜〜


(つつが)なく入学式が終わってこれから過ごす教室に案内された。


これからの高校生活に不安を(つの)らせていると、


「はいみんな〜席についてねー」


アニメの様なセリフと共に、幼い容姿をしたスーツ姿の女性が入ってきた。


「今日からこのクラスの担任の香坂(こうさか)衣織(いおり)だよー。よろしくね〜

じゃあ、話したいことはいっぱいあるけど、今日はもう学校終わりだから配布物だけ配って今日は終わりね〜。3時間も入学式お疲れ様〜」


この地域は入学式が長い代わりに、初日はすぐに終わるらしい。


そういえば、母親が「茉莉の学校も同じくらいの時間に終わるから一緒にランチに行く」と言っていたような…。


学校にいるよりは楽しいかもしれない…。

初日からそんなことを考えている汐音だった。


〜〜〜


早くも学校が終わって放課後、登校時より汐音の足取りが軽かったのは言うまでもない。

学校の門まで行くと両親が並んで待っていた。



「茉莉ちゃん家は友達と話してから来るから少し遅れるって。先にお店に入って席を取っておきましょうか。」


待ち合わせのお店は学校から駅に行くまでの間、少し大通りから外れた小道の途中にあった。


古民家風の小洒落たパスタ屋だった。

扉を開けると、パスタの湯気から立ち上る小麦粉の良い香りが充満していた。

鼻腔をくすぐる香りで幸福感に満たされていると、店員がこちらにやってきた。

他人との関わりをあまり好まない汐音が一歩下がったのは言うまでもない。


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