17 事前準備③
「ねぇ汐音、一個ちょうだい?」
汐音か箸でたこ焼きを掴んだ瞬間に向かいの席から茉莉の声がかかる。
「まだ一個もたべてないんですが…」
「大丈夫。知ってるよ。あーん」
そう言って口を開けて茉莉が待っている。
「分かったって、ちょっと待って。冷ますから先に自分の食べてて。」
「はーい」
先に届いていた茉莉のオムライスはちょうど良い具合に冷めている頃合いだろう。
美味しそうに頬張る茉莉を見ながら少しずつたこ焼きを冷ましていく。
茉莉の苦手なかつお節をよけながら。
「茉莉、はい」
そう言って、舟皿を茉莉の方に差し出す。
茉莉は再び口を開けて待っている。
「いや、食えよ」
「箸ないからスプーンだと落としそうかなと思って」
「…分かったよ」
箸を持って舟皿からたこ焼きを一つ、つかみ上げる。
口を開けた茉莉の方へと、たこ焼きを持った腕を伸ばすと、チラリと妖艶な舌が……
煩悩を振り払うかのように茉莉の口へたこ焼きを突っ込む。
「んぐ!」
「あっごめん」
「ひょっひょひおへ、ひひほひふよふひふ。」
「悪かったって」
モグモグしながら必死に抗議してくる茉莉に謝っていると隣から、
「相変わらず仲のいいことで。」
「本当にねー。ところでさっき茉莉ちゃんなんて言ってたの?全然聞き取れなかったんだけど」
「『ちょっと汐音、勢い強すぎる。』って言ってたよ。ねぇ?」
「うん、そうそう」
いつの間にか飲み込んでいた茉莉も会話に参加してくる。
「ところで汐音、貰ってばっかりじゃ良くないからお返しに私のオムライスあげるよ」
「いや、良いよ。」
「遠慮しないで良いからさ。はい、あーん。」
「いや、自分で食べられるから」
「…はい、あーん」
有無を言わさぬ茉莉の表情に気押されて思わず口を開く。
「あ、あーん」
茉莉はさっきの抗議をするかのように少し勢いよく口の中にスプーンを押し込む。
「美味しい。」
「えっ?汐音、もっと味の感想とかなんかあるだろ。」
どうやら晴的には味の感想まで必要だったらしい。
「えっと…。卵がフワフワでモチっとした米との相性が良い感じ。ただ、何故かたこ焼きの香りが…。」
ここまで発言して今更ながら、汐音は間接キスだと気が付いた。
茉莉もどうやら気が付いたらしく段々と顔が赤くなっていく。
「二人ともどうしちゃったの?今更間接キスで顔赤くなって。」
「べ、別に間接キスくらい普通だし。何ならこの前もクレープ二人で分けたし。」
「えっ、何それ。そんな面白い話聞いてないんだけど。茉莉ちゃん説明して!」
「えっいや、ただクレープを二人で食べただけだよ?うん、普通に!」
「その時もあーんってしてもらったの?何クレープ?美味しかった?」
「霧雨、そのくらいにしといてあげな。市田さん真っ赤になってる」
晴が諌めてくれて良かったと思う。
今の茉莉はゆでだこも顔負けになる程に顔が真っ赤になっている。
頭から湯気が出てきてもおかしくなさそうだ。
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ご飯を食べ終え、少しお店を見て回った後帰路に着く。
疲れたけれど、良い休日だったと思う。
先週投稿出来なかったのでほんの気持ちだけ長めにしてみました。
(っ´∀`)╮ =͟͟͞͞ 投稿‼︎




