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10 晴と霧雨の戦略会議

 汐音と茉莉が帰った後、晴と霧雨は先程の「まだ、付き合っていない」発言について、会議を開いていた。

 さっきまで勉強に使っていた机で、ニヤリと笑みを浮かべて腕組みている晴と、同じくニヤリと笑みを浮かべている霧雨が向かい合って座っていた。


「霧雨さんや、さっきの二人の発言についてどう思うかね?」

「さっさと付き合えばいいと思います。」

「うむ、やはりそう思うか。我々が付き合うように誘導するには時期尚早(しょうそう)だと思うかね?」

「いえ、寧ろ(むしろ)遅いくらいかと…。」

「よろしい。それでは作戦を詰めていくとしよう。」

「それがよろしいかと。して、具体的にはどの様にいたしましょうか?」


晴は急変した様に普段と同じ様にからりと笑い腕組みを解いたかと思うと、


「んー、どうしよっかなぁ〜。」

「お兄、急に素に戻るのやめてよね。今までのが恥ずかしくなる。」

「なんか疲れた。これもきっと勉強したせいだ‼︎」

「お兄が普段から勉強しないからでしょ。いっつもテスト前にしか勉強しないんだから。それよりも茉莉ちゃん達をどうやって付き合わせるか考えよっ」

「そうだなぁ、そうするか…。」


こうやって、真面目4割、ふざけ6割の会議が夜まで開催されるのだった。


──────────


「んー、疲れたー」

莱表家を後にした汐音が軽く伸びをする。茶々を入れるように横から茉莉が、

「お疲れー、汐音にしては珍しく真面目に勉強してたもんねー」

「"しては"は余計だろ。普段から真面目に勉強してますぅー」

「うっそだー、昔からテスト前にしか勉強しないくせに」

「でも、今回は真面目に勉強したからいいの。」

「ふぅ〜ん」

「何だそのにやにや笑いは」

「別にぃ〜」


こうなったら茉莉は何をいっても教えてくれないと分かっている汐音は追撃を諦める。


「あっ、そういえばさぁ来週どうやって行く?」

「来週?何かあるの?」

「晴くんから聞いてない?勉強の場所変えるから図書館行くんだって汐音も来るって聞いてるんだけど」

「何それ、聞いてない」

寝耳に水の汐音が、晴に確認するべくスマホを開くと、「悪い。伝え忘れてたけど来週の勉強会はここ集合な。予定空いてるだろ?」と、来週の勉強会開催地のURLと共にメッセージがあった。


「ほんとだ。メッセージあった。でも、どうやって行くってどういう事?」

「私も場所よく見てないけど近くに駅もバス停もないんだって」

「何でそんな場所を選んだんだ…」

「人があんまりいない穴場のスポットなんだって」

「へぇー」

汐音も地図を開いてみれば少し田舎の方にある図書館が示されていた。

汐音一人だったら何とか自転車で行ける距離だが、茉莉には少し厳しいだろう。この時期は暑いし尚更だ。

「お兄ちゃんに汐音も一緒に送ってもらえるか聞いてみるね」


茉莉には歳の離れた兄がいる。

汐音達とは6歳以上離れているせいであまり会ったことがない。

本当に送ってもらってもいいのかと汐音が悩んでいるうちに、


「お兄ちゃん、送ってくれるって。」


兄と連絡が取れたらしい茉莉が報告してくる。

連絡がついたならと、汐音は来週の送迎をお願いする事にした。

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