プロローグ 大戦準備
帝国から帰還する。
王女の執務室、クウガの報告を受けて、頭が抱えた二人がいた。王女殿下と軍の総司令である、シーラー公爵である。
「。。。。すみません、相手に口実を与えってしまった。」
「無事でなにより、それよりも。」
「はい、あの王様は意思が硬いようで、ミドラーがまた別で王国を滅ぼしたいとの事。」
「ミドラーね、お爺様の代から因縁な相手よ。」
「というと、」
「元々仲よろしくない両国だが、タリアン陛下と父によって国交正常化された。それを一番反対したのがミドラーだよ。」
「あの帝王が国交正常化を承認するとは」
「。。。口ではそう言っていますが、全く驚いていないわね。」
「ま、やりそうな人だと思ってました。それに、王女殿下のことを気にしてましたし。」
「あ、そう、でしたわね」
意外の表情、これは何かあったと考えてた方がいいかなと、げすい考えをしたクウガでしたが、王女殿下はすぐさま反論した。
「まだ戦争前に両国の舞踏会で数回お相手しただけの関係だし、それほど親密ではなかったわ。それに」
「それに?」
「ともかく、そういう関係ではありません。」
そして、ラオルも
「姫様をいじめないでください。それに、戦争前、二人の結婚話もあったんだが、タリアン陛下が辞退したらしい。」
「初耳だ」
「結果論からして、戦争の為かもしれませんが、姫様が否定なされた。理由は不明です。」
それはそれで面白いかもしれませんが、状況が冗談を許さなかった。
「それよりも、クウガ、これはなに?」
「帝国の新兵器、そのコピーでございます。」
二人は、テーブルの上に置いている物を凝視している。それは長い棒のような、奇妙な形をした。クウガからしたら銃とも呼べる存在。厳密には、銃ではありません、帝国の特産の魔鉱石を加工して、炎の魔法を魔術で刻み、そして、使用者の僅かな魔力で反応し、銃身を沿って、狙った方向に炎魔法をぶつける仕様です。
「これがあれば、魔法使いでもない一般の人も攻撃魔法を使えるということだ。」
「これは脅威ですね。」
「脅威ところか、王国が滅びかねない代物ですよ。」
「次の戦争で間違いなくこれが投入されるでしょう。半年の時間はこれの調整だと思います。」
事実そうであった。この魔法銃は最初、持ってるだけでも魔法が放たれる不良品でした。それを創意工夫して、やっと安全装置が開発できた。そして、精密度に関しては、最初20メートルしか届かない距離でしたが、1kmに伸ばし成功させました。こういった開発は、帝国だからこそできる技である
(正直漢服しかないんだよ、あの国は)
「この武器、我が国でもできるでしょうか?」
「無理ですね、魔鉱石が足りないし、何より、魔鉱石を加工し、術式を書く人材が王国に居るかどうかも。だとえ言ったとしても、恐らく間に合わないでしょう。」
現に、複製に使う魔鉱石が、帝国の町から輸入したもの、メイに匿っていたまま王国に持ち替えた。
現在、王国には魔鉱石自体がなく、敗戦時の時占領された町から回収されたものが多く、王国の下町は魔鉱石自体見たことがないのが現状。
元々産業と生活水準が異なる国同士、その認識の差が大きい。
「ではどうしたら。」
現状、王国の変化は、リンドブルー要塞奪還により、要塞内に残った敵武装を解析して、新しい鎧と武器を開発することに成功し、防御面は以前確認できた帝国の水準に並ぶことができた。これはすごいことである。しかし、帝国も日々成長してる。今の技術が通用できるかは不明。そのうえで新兵器の存在。さすがのシーラー公爵は難色してた。
「それに姫様、敵の軍力がこの新兵器だけとは思えない、隠し兵器の存在も考慮しべきかと。」
「それなら、一つ思い当てることがあります。」
「頼む」
クウガがシドニーの会話を思い出し、ゼハースのことを述べた。
「なんと、人間を作っただと。」
「ゼハースの場合だと、恐らくベースがそのまま、魔力だけ抽出されて、改造を施したと推測できる。ただ、問題はそれだと新兵器が使えない。」
「それでも脅威です。そこで、クウガ殿のあの魔法で最初の攻撃として、相手の兵力を削ぐのはどうでしょう。」
「いいですが、すでにミドラーに仕組みを解析されたので、相手が対抗策を講じるでしょう。期待しない方がいいと思います。」
「そうでしたか、」
「それでもやります。どのような策か、確認しないといけません。」
「わかりました。」
もはや手詰まり状態。あの魔法を先にみせたのが良くなかった。もっと効率を考えないといけません。ただ、くよくよしても結果は変わらない。なにか考えないと。
執務室が重い空気が漂った。
『ご主人様』
クウガが返事しなかった。ただ頷くだけで返答した。
『解析の結果、恐らくこの武器は一日一回限りで、しかも一般の使用者の魔力を根こそぎ使う仕様になってます。』
クウガが驚いた。そして、メイが続く
『どうやら、この魔鉱石が無限に魔力を吸う性質があり、一旦吸うと、中々切断ができなくなる。』
だから、王国も積極的に輸入しなかった。乱用すれば、国が機能しなくなる可能性もあります。けど、クウガ自身も複製品を作る際魔鉱石を触れたがなんともなかったが。
「ご主人様の魔力量が違います。魔法使いの魔力量なら、問題なく使えるようですが」
それを聞いてクウガは思った、そして。
「公爵様、帝国の魔法使いの数はどのくらいかと、」
「そうだな、今までの戦いで大勢が討ち取られたので、恐らく全部で小隊規模、増えてなければ。」
大陸魔法業界が帝国と組まない限り、魔法使いが増えることがないだろう。自国も研究を重きに置き。恐らく、戦争で魔法使いの総数が更に低下してるだろう。この銃がその証明。魔法使いを頼らず勝利する帝国の意思を感じる。
「となると、最初の一発を躱せばあとは何とかなると。」
「可能性の話だ、だが、もしかしたら、一発の欠点を解決する工夫を用意するかもしれません。それを考えて作戦を狙わないと。」
「。。。。」
「ここで提案です。最初の一発、いやあ、二発、僕は何とかしよう。」
「。。。可能ですか?」
「やってみないと分かりません。ただし、僕の部隊は別行動を許可していただきたい。」
「。。。分かった。だが方法を聞かせてくれ」
「それが、、、、、」
クウガは説明し、シーラー公爵は半信半疑でしたが、クウガは実演をし、納得させた。
そして、クウガは次の戦いの場、ガッサ平原へ到着した。まだ開戦が先ですが、地形を確認したいと思ってた。
『丘の上に、リヴォノ軍で下はヴァルノ軍になるでしょう。』
「だな、展開しても、別部隊が配置しづらい地形ですね。」
『以前のように、横からの攻撃も期待できません。』
「とりあえず、魔法を一発打ってから出方を伺うのが定石かな」
『空からの攻撃はいかがでしょう。』
「今回、間違いなくあのじじいがくる。」
『前回ご主人様が煽りましたから』
「返す言葉もないが、別に煽ってない」
今回の戦い、間違いなく不利を強い入れられることでしょう。なにより、帝国の技術力が目新しい。
現状、王国に勝ち目がない、だとえあの作戦がうまく機能したとしても。
ガッサ平原がそもそも奇襲に不向きな地形で、守りに特化した場所。今まで通りなら、切り抜けることができるでしょう。ただし、銃の存在が大きすぎる。それだけでも、今までの常識を覆る程。
「いっそ魔法を、、、、、」
『ご主人様、それが、』
「分かってる、言ってみたくなっただけさ。」
『ご主人様、やはりフォースを』
「それはだめさ、だとえ今は良くても、将来かならず弊害となる。」
『わかりました。』
ですが、打開策がないまま、クウガは今一つ、決めきれないまま。そして、遠くから自分を呼ぶ声がした。
そこには大柄の鎧姿がある。
「ごぎげんうるわしゅう、クシュリナーガ伯爵」
「ロイズでいいよ、クウガ殿、事前視察を」
「まあ、そんなところ」
「、、状況が悪いか」
「まあね、」
「聞くと、例の新兵器が厄介な代物らしい、」
「あ、一発キリの炎魔法と考えた方がいい。」
「それはすごい、」
「魔法使いが使うと無限に飛んでくる」
「ええ、それは」
「あれを封じたいが、中々」
「炎の魔法か、」
「?」
「いやね、魔法が厄介ならば、魔法無しでやればいいのでは?」
「おいおい、ロイズの部隊まで、魔法の恩恵が受けられなくなるだぞ」
「うちの兵をなめるな、もとより魔法で戦ってきたわけじゃない。あの鎧がなくとも、今まで戦ってきただし、問題ない!」
そう自信満々に答えるロイズを見て、クウガは少々うらやましくなる。
「それに、どうせ博打だ、やってもやらなくてもどうせ敗色濃厚だろう、ならばやった方がいいに決まってる。」
「ぷ、はははははははははは」
的外れな言い回しだ。脳筋のくせに難しい言葉を使ったからだ。だが、妙に気持ちがいい
「博打か」
そして、クウガは決意した。
翌日。
シーラー公爵も呼び、王女殿下の執務室でクウガはある物の有無を確認し、至急集めようと二人にお願いした。その夜
『ご主人様、よろしいでしょうか?』
「あ、どうせ博打だ、やってから後悔することにした。」
『ですが、』
「なに、大丈夫だ、帝国でもみたでしょう。何とかなる。」
そうさ、きっとうまくいく、この博打、すべてをベットしてても、
勝つさ。
シーラー公爵
年齢 53歳
身長 178cm
体重 85kg
特技 采配
王女殿下の叔父さんにあたる人物で、前国王の実の弟にあたります。王座に興味がなく、早々に公爵の座につき、以後戦場で活躍してます。平和の時期に、人の才能を見抜くことに長けって言ったため、部下からの信頼が厚い。
クウガの事が王女殿下のお墨付きで、また今までの功績、帝国の新兵器の入手から、信頼している。