プロローグ 凶星
魔法使い同士の戦い、意外にもクウガは反撃できずにいる。
ゴーーーーーーーーーーーーーン
爆音とともに、雷も指向性があるように、クウガの近くに落ちってくる。
もはや魔法使いと呼べるものではなく、意思を持つ災害そのもの。
クウガは、要素要素なところを防ぎつつ、基本防御に徹する。相手の情報が不足の今、下手におお振りをすると、魔法力を切らせたら、身体強化じゃあどうにもならない、かっと言って強化魔法を切ると、伏兵への対処が遅れる。故に攻めない。
「どうした、わっぱ、攻めてこないか」
「爺さん、年の割に、よく動く」
「若いだけの連中にはまけんさ、どれ、これでもかな」
ミドラーが杖をクウガの先に向かって、
「サオストーン」
と、瞬間、クウガの前に、砂嵐が形成され、鋭い風がクウガの服を切り裂いた。以前の炎の嵐よりも数段上の力に、クウガが瞬時避けましたが、
「グリンチ」
瞬時、クウガが木によって囲まれた。まさに檻の中の小鳥状態。
「どうじゃ、わしの魔法は」
「やるね、爺さん」
「貴様も魔法使いだそうだが、小賢しいすぎる。」
「あらら、身体強化の事かね、合理的だと思うが」
「例の黒い球体のことじゃ、」
「。。。。」
クウガが顔色が変わった、いままで、相手をおちょくりするような態度だが、一瞬険しい顔になる。
「あれは消す魔法ではなく、単なる転送魔法だ。」
「根拠は?」
「なに、例の場所を調べればわかる、消すという魔法なら、そこの魔力が著しく無に近いとなるが、実際あの後、わしはすぐに調査しに行ったが、驚くほどに変わっていない。」
「。。。。」
「そして、そこには、本来存在しない虫が湧いてくる、この意味が分かるかね。」
「。。。」
「貴様は単に部隊がいた空間を別空間と入れ替えただけじゃあ、これを小賢しいと言わずなんというかね」
「。。。。」
「ゼハースの報告を聞くまでは、まだ確信してなかっただが、どうじゃ、間違ってないだろう。」
クウガがまさかの名前で驚く
「なぜ、あの野郎の名が」
「あの狂人、感だけで言えば世界一じゃから、わしがそう作った」
「作った、だと」
「そうじゃ、そもそも、魔力全くなしに生まれる人間は存在しない。」
「。。。じじい、」
何かを察したクウガが怒りをあらわにする
「そう驚くほどのものではないわ。そこに可能性がある限り、探求するのが人の性よ、それに本人がそれを望んでいる。」
「。。。」
「さて、貴様を殺し、今度こそ、あの忌々しい王国に引導を渡してくれる」
「じじえ、てめえ」
「口をはさむな、王国のごみめ、あの愚王がいなければ、休戦など認めるはずがない!」
目の前の老人がこうも激高することに、クウガはすこしカマをかけることにした。
「帝国の一歩的侵攻の原因は、おまえか」
「。。ふ。。ふふふ。ははははははははははははははははははは」
大笑いだ、もはや隠す気すらないのだろう。
「知ってたか、開戦のきっかけは、あの爆発だけで、帝国も王国もみんな互いに侵攻だと思って派兵したのだ、今までの同盟が嘘のように、実に滑稽じゃあ」
「。。。。。」
「そして、死人がでれば、もう国がどうしようが、戦争するしかなくなる。国とはそうゆうものだよ。」
「。。。。」
「意外なのが、あの愚図がこの戦争を容認したということだ、何かを企んでいるかはわからん。」
「。。。。」
「だが好都合じゃ、これでやっとあのごみを一掃するのじゃあ、ふふふふ、ははははは」
「良く回る舌だな」
クウガは静かにキレて、心の中に明らかに何かが壊れた音がした。
「あの世への手向けじゃ、精々感謝しながら逝きな!ギガサンターズ(雷上級魔法)!」
雷は木の檻を突き破って、クウガに届く、ように見えるが、徐々に雷が収まり、しかし
「バカな、、、」
雷が消えたが、クウガの体には何一つ傷がなかった。
「、、、わしの魔法を、、喰ったのか」
「。。。。」
クウガは答えなかった。ただ、杖をミドラーに向けて、
「返すよ」
全く同じ魔法をミドラーにぶつけた。ミドラーは瞬時防御魔法を展開し、辛うじて防げたが、魔力切れで下へ落ちた。
クウガはそのまま近づき、うろたえる老人を見つめて、
「は、は、ふはははははは、殺せるものか、ふははは、貴様、今まで人を殺したことがないそうじゃ、ふふふ、は、は、己の手で血を染めるのがそんなに怖いか、ふぁ、ふぁ、ふぁ、ふはははははっは、この卑怯者が、殺せるわけがない。
「。。。。」
クウガは杖を前につきさし、しかし、魔力を込めれなかった。
「ふん、やはり」
とその瞬間遠くからなにか来ると察知し、防御態勢に移した直後
カーーーーン
金属の音が鳴った、クウガは何かがぶつけてきた感触をし、余波で後ろへ下がった。目の前には、馴染みな黒髪と大太刀を持つ女性がいた。
「おおおヴァルガンの、はよう、あやつを殺せ」
ミヨは答えなかった。
「なにをする、はようせんか」
「ミドラー様、国王陛下からの命令です、速やかに撤退との事。よって、彼との戦闘行為ができません。」
「何をバカな、あやつを今殺さなければ、帝国は。」
「ミドラー様、失礼します。」
と申し訳なそうな顔で、ミヨがミドラーを担いでクウガに一瞥する。
そして、ミドラーの罵声を受けつつ、速やかにその場から離れた。
クウガは内心ほっとしていて、先の戦いで、防御魔法がそれなりに剥がれて、最後の切り札の一つも使い、正直連戦をしたくない。だが。
ミドラーを殺せなかったことに、すこし思うところがある。
『ご主人様』
「大丈夫、とりあえず、城へ帰ろ、王女殿下にも報告と確認をしないと」
クウガは、なんとも言えない気持ちで、リヴォノ王国へ帰還した。
ヴァルノ帝国、謁見の間
「陛下、なぜ見逃す、あやつは脅威、始末しなければ」
「よい、ミドラー、あやつのことなら放っておけ。それに奴の対処がすでにシュベルに任せておる」
「あやつができるわけなかろう、それに、」
「余はよい、と言っているのだ」
「っくう」
帝王の恫喝に、さしもミドラーも反撃ができない。
「では、予定通り、2ヶ月後、王国へ攻め入れる。安心するがいい、ミドラー、貴様が心配しなくとも、王国を滅ぼす。余は必ず」
「。。。。仰せのままに、陛下」
そして、大きな転換点でもあるガッサ平原の戦いが始まろうとしている。