プロローグ 鮮血の玉座
捕らわれて、王国に連れていかれたクウガ、ゼハースは罰として後始末に任された。本人が不服そうだが、さすがにヴァルガンにはかないません。渋々受けたそうです。そして、場面は城へ移ります。
帝国王城、作りが濃く、この世界でも類に見ない左右非対称なつくりをしている。城の天辺には巨大な皿があるような大きなつくりをして、左側には城と同化し、右に巨人の石像が支えているように作ってる。王城に入ると、広い円状の内部に右に天使の石像で、左に悪魔の石像が配置している。そして所々線が入っている。
反魔法石の手錠で拘束されたクウガがミヨに引かれて連れている。
「ね、逃げないからこれ外してくれない」
「。。。。」
「いやあ、本当に逃げないからさ、痒いんだよこれ」
「。。。。」
「ちぇー」
駄々こねるクウガでしたが、それを全スルーと決めるミヨ。それをみて男は笑った。
「ぬははははは、小僧、やっぱおめえは大物じゃあ、この状況でよう気が抜けることを抜かしおるわい!」
「父様!」
「構わんよミヨ、それに小僧、そろそろ黙っておるじゃぞ、御前じゃ」
そこには、あきらかに人間が推せるものではないと思わせるドアがある。
ゴーーーーーーーーーーーーーン
長い中低音を鳴り響き、ドアが開き始める。
そこには、外とは全く別世界のように、真っ黒な世界が広がっていく、まだ外が明るいのに、ここでは月の月光で照らしてるような雰囲気でした。そして、なによりも、周りが暗いせいか、余計に目立つ、血に染めた玉座を。そして、その玉座に座っている影がいる。
パーン
やがて、全ての魔石が光、玉座を照らす。そこには、金髪の帝王が現れた。
「皆の衆、此度我が国に仇す賊を捕らえることを、民に代わり礼を言う。大儀である。そして」
帝王がクウガに目を向けた、
「余はタリアン・D・カエサル・ヴァルノ。ヴァルノ帝国第13代国王である。貴様は件の賊か?」
「さあ、賊といわれるとどれが、くう!」
クウガが無気力な返事をしようとしたが、すぐさまミヨに後頭部殴られ、顔面が地面に叩き込まれた。
「貴様、陛下の御前だぞ、分を弁えろ!」
「くう」
反魔法石のせいで、身体強化もままならないので、もろに受けた上に、反撃もできない状態。だが、クウガはまだやりたいことがある、そのため、気絶だけが絶対にしてはいけない。だがその前に、
「構わん、ミヨ、下がっていろう」
「は」
帝王の命令で、ミヨがあっさり下がって再び膝を付いた。そして、帝王が信じられない行動をとる。
帝王が玉座から起き、階段から降り、クウガの前に立ちました。さすがの光景でみんな驚きましたが、みんなが動く前に、帝王がそれを制止した。
「クウガ、といったな、そなたの力が欲しい、どうだ、帝国の為に、王国を裏切ってくれないか?」
「。。。。」
「陛下!」
さすがのことで、ミヨが声をあげた。
「お言葉ですが、その者のせいで、兵が大勢犠牲になり、リンドブルー要塞をも放棄せざるを得ないことに、さらに休戦中にも拘わらず我が国への不法侵入。もはや処刑すべき人物かと」
「確かに、だがミヨよ、もし、こやつが我が国を滅ぼそうとしたなら、リンドブルー要塞の時点で全員その場で消えていたし、この町も、最初から消えることになるでしょう。」
リンドブルー要塞のもっとも簡単な攻略法は、要塞ごと消すこと。当然クウガがそれができるし、むしろ橋も潰せて、西部への侵攻を不可能にすることができる。これで、全兵力を西北へ集中できるし、現王国最強のダイナ騎士団と連携して、残りの領土奪還も可能であろう。
「それに、先町での戦いで、こやつが民間人を気にし、所々民をかばい戦っていると、シュベルが言ってたので、だから、余がこやつが欲しいと」
あんまり、あんまりにも真っすぐな答え、卓越したカリスマ。外見年齢が20前後なのに、対したもの、と、クウガが心底思う。
「どうだ、クウガ、余の力にならないか?」
「その前に、一つ」
クウガが質問しようとみて、ミヨが動き始めたとき、帝王が片手挙げることで止められた。
「聞こう」
「なぜ王国へ攻めようとする。」
現在、帝国が王国へ攻めるメリットがそれほどありません。
町の様子から、帝国が王国より遥かに豊かで、侵攻しなくとも生活に事欠かない。それでも侵攻するのはなぜか、これがクウガの目的の一つ。
「そうか、知らないんだ。ならば教えよう、」
「陛下!」
「構わん、此度の侵攻は、リヴォノ王国の終わらせて、真の大陸統一を果たすためである。」
「。。。。何のために、お言葉ですが、侵攻前、関係は友好的だと聞いてます」
「あ、同盟国である。だからこそだ」
帝王が少し険しい顔をして、クウガがまだ何かあると感じた。
「含みがあるいい方だね、そこは詳しく」
「劇を最後まで見ないと、結末は分からいことだ。」
「いや、それでは、、、」
「どころで、余からも質問だが、いいかね」
「。。。。どうぞ」
帝王がすぐさま話題を変える姿勢に、クウガはこれ以上聞くことができないと知り、帝王の質問を受ける
「姫様が息災かね」
この質問にクウガが絶句した、何かが悟った。そして、
「ええ、元気でやってますよ、戦争がなければ今頃お茶会するどころでしたよと、ぼやけていました。」
「ぬはははは、それはすまん事をした、王制を排したらいくらでもやってくれ。」
それをみて、クウガが何かを察した。だが、まだ掴み切れってない。
(食えない方だ)
「では、返事を聞こうか」
「悪いが、断る。」
「。。。。。そうか、残念だ」
「ええ、全くだ」
「こやつを牢屋へぶち込め、処刑は後日にする」
「は」
それを聞き、ミヨがクウガを立ち上がらせて、謁見の間から出そうとした時、
「姫様によろしくな」
帝王がそう言った。クウガはそれを聞いて、退室した。
地下牢にて、看守が二人、クウガは牢屋で天井を見上げてベットの上に横たわってた。
〔メイくんメイくん、おおいい聞こえるか〕
『念話で聞こえるかと聞かれると困ります』
〔よし〕
牢屋には反魔法石で出来ていた不安があったが、その不安が消えた。どうやら、まだ魔法使いが杖なしだと魔法使えないと考えていた頃で作られた牢屋で助かる。
「甘い甘い」
『口に出てますよ、ご主人様』
〔メイ城内に連れまわされてるだろう、今どこ〕
『研究室ですね、どうやら私を解体したいそうだが』
〔おい、大丈夫かそれ〕
『はい、自動防衛システム作動しました。触れないように電流を流しました。』
〔ハイテクな相棒で助かる。〕
『今、どうやら分析の魔法で解析しようとしてます。』
〔ならばその前に、脱出だ、話はあとで聞く、場所は?〕
『ご主人様の真上です』
〔よし、こい〕
ドーーーーン
激しい音と共に牢屋の天井が穴空いた。看守がすぐさま集まり、そこにはすでに罪人の姿がなく、天井には空まで見渡せる穴が空いていた。
空を飛び、王国へ向かったクウガ。
「で、どうだった」
『新しい武器がありました。ご主人様の考えた通り』
「そうか、このままだと、王国が負けるね。」
『その武器をコビーしました。王国に材料があれば再現可能です。』
「でかした!例の仕掛けは?」
『今回はありません、それを付ける空間がない模様。』
「ならば可能だな、せめて拮抗までもちたいですが、、、」
「ほうほう、その話、詳しく聞かせろうや」
不意打ちのような言葉に、クウガがすぐさまその方へ顔を向ける。
そこには、高齢な爺さんが同じ速度で飛んでいる。
帝国最強の三人、その最後の一人
帝国宰相、大魔法使い・ミドラー。
タリアン・D・カエサル・ヴァルノ
身長 178cm
体重 78kg
特技 テライマ(西洋のチェスとほぼ同様)
ヴァルノ帝国第13代国王、若くして国王の座を手に入れ、腐敗で怠惰な王族を廃嫡、歯向かうなら粛清を行い、現在生き残れた王族は国の為働くか、領地を任せられ、そこで暮らすかの二分にわけた。玉座の血の跡は、処刑の際に、玉座の椅子の前に行われたためである。そして、タリアンはその前に座り、処刑を見届けた。赤い服を着てるように見えるが、その実、処刑した者の血で染めた礼服である。
大魔法使い・ミドラー
年齢 89歳
身長 154cm
体重 45kg
特技 魔法
帝国宰相、3代前の国王から国に仕える身。3代前の国王とは親友同士である。魔法を探求し続けて、今や帝国最強の魔法使いと呼ばれている。