第一章 おはよう、世界
斗真とゼルの戦いは、半日を過ぎようとしている。
ひたすらゼルの攻撃を凌ぐ斗真だが、ゼルも斗真から一撃を警戒し続けている。
(ゼルの一撃一撃殺傷能力がないが、手数が多い、捌くだけなのにしんどい。)
(攻撃を全部捌き切れている。いい成長ぷりだ。しかも、反撃の一撃一撃が的確に急所へ狙ってくる。)
((やりづらい))
(だがこのままでは埒が明かない。)
(と斗真が思っているに違いがない。)
((ならば))
すると、ゼルが攻撃を止み、鎌の先端に光が集まっている。
それを見て、斗真が次で大技が来ると読んでいた。右手にエネルギーを集中させ、迎え撃つ。
と思わせて、左足にエネルギーを溜めさせていった。
そして、ゼルが鎌を振り下ろし、先端の光がどんどん伸ばして、鎌の形をするエネルギー体となり、斗真に切りかかろうとした。
斗真はすぐ右へ退避しようとしたその時、地面からチェーンが現れ、左足と左手を拘束した。
「なんだこれはああああ」
「詰みだ」
斗真の反応が少し遅れて、ゼルの技をもろに食らいました。
「ギガ、スラッシュ」
「な」
倒れる斗真、そして、その前に降り立つゼル。勝敗が決した、ように見えた。
「なんだ。」
「もらった。」
斗真は反対の方向から炎の剣で切りかかってきた。間一髪それを防いだゼル。だがわからない。
「何をした。」
「あそこの俺をよく見ろ」
目を倒れた斗真へと移り、その斗真が薄れて消えていた。
「蜃気楼か」
「ご明察、火を調整してできた一時期な幻影。」
「だがあの攻撃を」
「横一太刀、あれは痛かった」
どうやら斗真は太刀の方向へ反射的に飛び、即座に金の塊を出し、受けるダメージを最小限にした。
「チェーンを焼き千切りできなかったら終わってたぜ。」
「なるほど、だが、同じ手は」
と同時に再びチェーンを出した。
「おっと」
すぐゼルの鎌を払い、上へ飛んだ。
「同じ手は食わないよ」
「いいえ、そこだ」
突然、空間からチェーンが現れて、斗真の両手両足を拘束した。
「こんなもの、」
斗真はすぐにチェーンを炎で焼こうとするが、効果はなかった。
「先と同じだと思わない方がいい。そして」
ゼルが再び先の技を繰り出そうとする。
「今度は、決める」
「ぐ、、、」
もはや万策尽きた。が、
「な、」
ゼルがいきなり倒れて、落ちようとする頭を支えようとする。
(どういうことだ。)
「どういうことだ、て顔だね。」
体調不良により、チェーンの拘束を解いた。それでもそらに浮かぶ斗真が見下ろしながら満面笑みで説明する。
「やはり別世界の人間じゃあ、体の構想が大体同じでも効き目が違ってくるね。」
「。。。。どう、、いう、、ことだ。」
「一酸化中毒だよ」
「な」
「何故火で幻影を作ったと思う、一酸化炭素を作る為のカモフラージュだよ。今の君の状態は一酸化炭素を大量に吸った為のだからだよ。」
「。。。だが、、、、一酸化炭素は、」
「あ、密封状態じゃなければ、成立しない、だからだ。」
「。。。。。まさか」
「戦っている最中、俺たちを中心に、透明の箱を作った。」
正確に言うと、簡易な結界術である。我喰先生からやり方を教えてくれた。ドームくらいの大きさができなくも、1ルームくらいなら、訓練の成果で出来るようになりました。
「ここは結界の中、結界の気配ではわからなかった。だが、お前はつよい、結界を張る隙間を中々くれなかった。だから何回かわざと飛ばされて、その着地点でばれないように点を作る。」
「。。。くう。。。」
「そろそろか」
やがて、斗真は結界を解いて、更に風を使って毒を消し飛んだ。
「。。。。なんのつもりだ。」
「さすが異世界人、タフだね、普通は病院送りなんだけど。」
「。。。いいから」
「まあ、今回はリベンジだし、俺はそもそもお前を殺す理由なんてないんだ。勝負は勝った!これでチャラだ。」
差し伸べる手を見て、ゼルがとだんにやる気が失せた。そして妙に納得した。
「最強と戦っただけの事がある」
「いやいやいや、俺、ぼろ負けだぞ、何勝手に、あ、お前、強いな、みたいな雰囲気出してんの!いやだからね。」
「ああ、これで」
ゼルが、その手を取ろうとしたその時
”壊せ”
斗真が、別人になったように、ゼルを襲い掛かる。ゼルがすぐさま後ろへと飛んだ。
「なんだあれは」「斗真様!!!!!!!」
観客席でアリエスとアスカが違和感を感じ、不安の表情を示した。
「これは」
「。。。。」
気配を感じ中へ駆けつけた我喰と心総
「お前は、誰だ」
そして、戦闘態勢取りつつ、目の前の者に睨み合ったゼル。
「。。。。。。。。。。。。。名はない、壊した」
目の前の者は答えた。すでに体の構造が変わった斗真だったモノ。訓練で鍛えた体がみるみるうちに縮む。やがて優男となっている。
「けど、名前、名前か」
やがて彼はしばらく沈黙し、そして。
「そうだ、これからは、僕は、」
「ニヌルタと名付けよう」




