1/4
その男ピンチ!
「桂花。一目会いたかったよ。」
この男の名前は加子【カシ】。真名は典【テン】。今にも首を刎ねられそうな状況で彼は呟いた。着ている服はボロボロで斬られて出血もしているようだった。手も後ろで縛られ膝立ちの絶体絶命の状態で…でも目線だけは今にも剣を振り下ろそうとする加子よりも一回り大柄な男を睨んでいた。
「死ねやぁ!」
男が加子の目に気に食わず剣を振り下ろした。
刹那…
「さようなら。」
この状況に不釣り合いな優しく…でも冷たい声が聞こえた。
「えっ…」
加子は目の前の状況に目を丸くする。
ドサッ。
既に加子に今剣を振り下ろそうとしていた男の首が地面に転がり、大量の血が広がっていた。
「策殿ぉ!」
そしてまた先程と違う大きな声が辺りに響いた。