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魔女裁判後の日常  作者: 一桃 亜季
107/121

魔女裁判後の日常107「では女同士で」

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


        ※


「まだやっておきたいことがあるんだ」

 サナレスはアキと自分を連れてナンス達が向かった市場とは違う方向へ歩き始めた。

 自分が抱えていた検体を入れた木箱をひょいと肩に担いで、前を歩くサナレスの後を自分とアキは追っかけている。


 足の長さが違うので、サナレスの一歩は自分たちの数歩になるので、小さい自分達は小走りになってしまう。

「兄様、どこに行くの!?」

「王妃のところ」


 異形に変わってしまった王を刺し殺したという王妃は、別邸に幽閉されていると言っていた。その場所を聞き出していたらしい。

「王妃と一緒に、何人かの女官も幽閉されていると言っていた。不可思議なことを解決するのに事情聴取は必要だろ?」


 それ……。

「トラウマ抉りに行くようなもんやんか」

 リンフィーナが言いたいことを、アキが声に出して代弁する。精神が可笑しくなってしまっている人から何を聞き出そうというのかと、普通は気後するものなので、アキの気持ちはわかる。


「おそらく男性は歓迎されへんと思うけどな」

「わかっているよ。でも貴族の皇女ならどうかな?」


 サナレスが足を止めたそこは、貴族の別邸のような高級な作りの館だった。

 急に指名されたことを感じ取って、リンフィーナは背筋を伸ばしで生唾を飲んだ。


「ここに王妃さん、いてはるんやな」

 アキの横に並んで館を見渡すリンフィーナは、重くなる足取りに活力をみなぎらせるために、自分の太ももを拳で叩いた。

 兄から役割を与えられるなんて名誉なことだと思っているから、行くよ。気が乗らなくても違うモチベーションで闘志を燃やす。


「いちお、聞いておくね。兄様は一緒に入ってくれないの?」

「何かあれば叫べ。呪術は禁止、剣を使って」

 剣術を習わない女性相手であればリンフィーナ一人でも大丈夫だと、笑いながら太鼓判を押されてしまう。


「何を聞いてくればいい?」

「わからない?」

 いえ愚問でした、と項垂れる。

 王が変形してしまうまで、どのような感じだったのかということの全貌、そばで見てきた女性の見聞きしたことを得る必要があるのだ。


「わい、ナンスみたいに女になれやんですまんな……」

 アキが気の毒なものを見るような眼を、リンフィーナの背中に向けてきて、大きく深呼吸した。兄の教えにより、水月の宮を出るときは護身用に探検を持ち歩くことを常としているリンフィーナなので、サナレスが言うように物理的な恐怖は感じていない。


 確かに自分が懇願して兄を同席させる方が、情報は得にくくなるし、女性の神経を尖らせることは想像できたので、ここは自分が行く他なかった。というか、旦那である王の手首とか目玉とか瓶詰めにした物を、この館に持って入ることはご法度だ。


「行ってきます!」

 リンフィーナは両手両足が交互に動かなくなるほど緊張しながら、館の扉を乱打した。

魔女裁判後の日常:2021年2月16日



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