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魔女裁判後の日常  作者: 一桃 亜季
104/121

魔女裁判後の日常104「チームごとの仕事」

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」

        ※


 次の日の朝食で全員が顔を合わせた時、各々思うところがあったらしく、昨日より和んでいた。袖触れ合うも多少の縁というのだから、好ましい変化である。

「何かあった?」

 横に座ったナンスに声をかけると、久しぶりに笑顔を見せてくれた。


「案外ラーディアとラーディオヌ一族は、これからも仲良く出来るかもしれない」

 僕は嬉しいよと、ナンスは感動している。

 昨夜は近衛兵と同室になったことに顔色を真っ青にしていたのに、何があったのだろうかとリンフィーナは思った。


「さぁ今日は重労働になるで、しっかり食べときや。あんた結構いい身体してるんだから」

 目の前でアキが声をかけているのは、これもまた昨夜同室同士であったウィンジンだ。

 ウィンジンは「わかっている」と応じている。


「アキ、おまえはだいたい今日やることをわかっているようだが、ウィンジンには別にやってもらうことがあるからな」

 食べ終えたサナレスが口を開く。

「アキとリンフィーナは私と来い。それからナンスとリュウセイはここ三年間で起こったことを港町で聞き込み、ウィンジンは海底に行ってユヴァスと連絡を取って欲しい。ウィンジンには芝が同行してくれ」

 一息で三チームに司令が出る。この寄り集めの一行で、天性で上に立つ者というかーー、その場を仕切れるのはサナレスぐらいのものだ。


「隊長、私も……」

「おまえにはここで中継役をしてもらう」

 ギロダイが自分も何か役割をと口にする前に、サナレスは間髪入れずに言った。


「三つのチームに分かれるということは、必ず中継役が必要なんだ。何かあればわたしに連絡してくれ」

 ギロダイが言ってくることも想定内であるらしく、有無を言わせずに承諾させる。

「おまえが肋骨をやってなかったら、本当は今日同行して欲しかった」

 本心かどうかはわからないが、煽てる言葉まで用意していた。


 ギロダイは深々と頭を下げて、中継役を勝って出る。

 人を使う処世術というものを習得したいなら、サナレスに弟子入りするのが早そうだと、リンフィーナは我が兄ながら感服した。


「それで兄様、私たちは何をするの?」

 同じく食事を終えたアキが、農作業の時に使うシャベルを三本持ってやってきたので、リンフィーナは少し嫌な予感と共に首を傾げる。

「ああ、検体を取らないとと言っただろ? プルセイオン王の墓を掘り起こすんだよ」

 だよね、兄様。


 リンフィーナは兄サナレスという人をよく知っていた。

 ラーディアの次期総帥として勇猛果敢で一挙三反なサナレスだが、それは功績が高く積み重なった今でこその評価である。

 科学というものをラーディア一族に取り入れるまで、サナレスへの風評はひどいものだったと聞いたことがあった。


 皇子のくせに遊び人。

 奇天烈なことばかりに夢中になっている変人。

 武芸ばかり励行するならず者。


 サナレスがラーディア一族を豊かにするまでに、どれほどの浮名を流したことかは聞いたことがあった。

 兄はやると言ったら引き下がらない。

 墓、掘り起こすのね。リンフィーナは肩を落とした。

「力仕事だ。おまえは無理しなくていいぞ。手が傷ついたら大変だし。ーー出てきたご遺体を摘んで保管するならおまえにも出来るだろう?


「シャベル貸してちょうだい」

 心に受けるダメージの方に気がついて欲しいが、妹というよりもどちらかというとメンタル弟として育てられたリンフィーナは深く納得して、アキからシャベルを受け取った。

魔女裁判後の日常:2021年2月12日

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