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神が宿る世界でー外伝ー能力者が行き交う世界で  作者: 斑鳩
第2章 創造主の意のままに(クリエイト・メイカー)
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電子磁石(エレクトロ・マグネット)

「何かあったの?」


転移魔法で現れた浴衣は琴音の表情から何かあったのかと気がつき、尋ねる。


「……なにも無いわよ。そろそろ、始めましょう」

「うん。確信したいんだけど、あそこにいるナギアには手を出さないほうが良い?」

「……ナギアに手を出すな。と、言われてないからね……まぁ、後々うるさいから手を出さずに」

「うん。分かった」


二人はナギアへの攻撃をしない方向で戦闘を開始する事を決める。


「それじゃ、始めましょう」


琴音は右手に青色の電気を纏わせる。

琴音の右手を電気に纏わせた事によって、愛花、長谷川は琴音が電気系統を扱うと把握する。


「まずは、どうしようか?……取り敢えず」


琴音は右手に纏わせた青色の電気を周りの建造物等にぶつける。

琴音のその行動が全く理解出来なかった愛花と長谷川は琴音が何をしたのか電気が纏われた建造物を見つめる。建造物の全体には青色の電気が絶えずに流れ、纏われていた。


「何?」


愛花は琴音が自身への攻撃をせずに、建造物へ向けて電気を放った事に疑問を示す。


「……そう焦らないで。勝負は始まったばかり」

「随分と冷静ね」

「……貴女達と違って何度も経験してるからね。壮絶な戦場でね。今回は戦場とゆうよりもお遊びに近いけどね」

「……ふざけるなぁ」


愛花は怒りに任せて、魔法陣を出現させると、直ぐ様魔力を魔法陣に送りそれを一瞬で圧縮させると、直ぐに放つ。

一連の動作を見て、琴音はため息を溢す。


「……がっかりね。浴衣今回は私に狙いを定めているみたいだから」

「うん。分かってる。転移魔法で飛ばす?」

「必要ないわ」

「そっか」


琴音は右手に覆わせていた青色電気を体全体まで広げる。

体の全体が青色電気に覆われた琴音は一瞬にして近くにあった青色電気に覆われていた建物に吸い寄せられる。

琴音がその場から居なくなった事によって愛花の放った一撃は空振りに終わった。

攻撃が外れた事に驚きながらも、愛花は直ぐに琴音が居る建物に目を向ける。

琴音は建物の壁に何食わぬ顔で立っていた。

その光景に驚いた愛花と長谷川を見て、吹き出しそうになった為に慌てて、手を口元へと移動させ、なんとかこらえた。


「……そんなに不思議?毎回驚きの連続じゃあ命が幾つあっても足りないわ。私も最初の頃は驚きの連続だったでもね。命をかけた殺し合いになってからは、驚いている暇なんて無かった」


琴音の話を聞いて、驚いていた自身を慌てて隠しながら平然を装う。

しかし、琴音のその堂々としたその態度と余裕なその表情からそんな自身の強がりが全て見抜かれているのでは無いのかと疑問を抱く。


「……なんで私が建物の横で落下するとこ無く、立って居られるのかそんなに不思議?そんなに不思議な事でも無いのよ。その証拠にナギアなら、私の能力を把握出来ているから、当然の事だと思っているでしょう?」

「はい。鳴上琴音の能力は電子磁石エレクトロ・マグネットであり、貴女が放った電気を浴びたものに磁力を与える事が出来る。磁力を与えられたもののN極とS極は自在に変化させる事が出来るので、吸い寄せたり、吹き飛ばす事も出来る能力です。ですが、電気を受けなければ、何も問題はありません」

「そうね。でも、当たれば……私が思うがまま」


琴音は右手から青色の電気をナギアへと放つ。

ナギアは避けようとするものの、避けるには至らず体中に青色の電気に覆われていた。

これにより、ナギアの全身は磁力を持つ他、本来の雷属性としてのダメージが加わる他、体の至る所が痺れていた。


「電気を受けなければ、問題は無い。だっけ?電気受けたけど……この場合は……問題ありだよね?」

「……ぐうの音も出ないようね」


琴音はナギアの全身は覆われていた青色の電気の磁力を操作する。

それによって、ナギアの体は後ろの建物に勢い良く吸い寄せられる。

防御が出来る訳も無く、ナギアは背中を強打すると共に壁に張り付けられる。


「……さっきと違って話す事も出来なそうね。それともこれだけ、離れているから、聞こえないのかも。こっちに来て貰うわ」


琴音は能力を使用して、ナギアの全身に覆われていた青色の電気の磁力を変更させる。これによって、今まで壁に吸い寄せられていたナギアだったが、急に吹き飛ばされ、琴音が伸ばしていた右手へと吸い込まれる様に宙を飛んで行く。

ナギアは琴音の右手に激突すると、鈍い音が響き渡る。


「……この感覚からして、内臓、肋骨がかなり破壊出来たかしら」

「……」

「もう。話す気力も無いか?……これは驚いた。人造人間と言って血が出るのね」


琴音は磁力によって右手に吸い寄せられるナギアの口元から流れる血を珍しい物を見る様に見つめていた。


「ナギアちゃんを返せ!」


愛花は建物の横に立ち尽くす琴音に怒りをぶつける。

今までとは違った表情の愛花を見て、琴音は全身に纏わせていた青色の電気を消す。これにより、建物と自身の体に纏わせていた青色の電気による磁力によって立っていられた琴音自身の体から青色の電気による磁力が無くなった事によって地面へと落ちていく。

大した高さでは無かった為、琴音はなんの問題も無く着地に成功する。

そんな琴音の右手には青色の電気に覆われたナギアが離れる事が無く、くっついていた。

琴音はそんなナギアがくっついている右手を愛花に向ける。


「分かったわ。直ぐに返すわ。しっかりと受け止めてね」


不適な笑みを浮かべた琴音が磁力によって、飛ばす事は直ぐに理解出来た琴音は受け止める準備を整える。魔法陣で受け止める事も考えたが、魔法陣の強度から衝突した場合、ナギアの体を傷つける恐れがある為、愛花は素手で受け止める事を決める。


「止めるんだ。無理だ!」


長谷川は愛花の左肩に手を置き、受け止めようとする愛花を制止させる。

そんな長谷川の行動に愛花は苛立ちを隠す事なく、苛立ちを剥き出しにして左肩に置かれている長谷川の手を退ける。


「邪魔をするな。ナギアちゃんを助けるんだ」

「……後ろを見て」


長谷川に言われるがまま、愛花後ろを確認する。

後ろを確認した愛花は後ろの建物が琴音の青色の電気に覆われている事を把握する。現在、琴音が磁力によってナギアを吹き飛ばそうとしている事は理解出来ていた愛花だったが、後ろの建物の青色の電気は最初にナギアを貼り付けにされていた事を思い出した愛花はその後、ナギアがどうなったのか思い出した。

後ろの建物に貼り付けに去れたナギアはその後、琴音によって後ろの建物の磁力を操作して吹き飛ばされ、琴音の右手の磁力に吸い避けられ、ダメージが膨れ上がり、ナギアにそれなりのダメージを与えていた。

現在琴音は右手にくっついているナギアを磁力を変換させ、吹き飛ばし、愛花にぶつけるつもりであり、それを愛花は受け止めようとしていたが、飛んで来るナギアは後ろの建物の磁力に吸い寄せられ、スピードが増幅するだろう。そんなナギアを受け止めようとすれば、どうなるかは愛花は想像出来ていた。


「……どうするの?この子受け止めるの?それとも……この子見捨てて、壁に激突させるの?」

「……受け止める」

「この子がどういった存在か理解している?」

「……」

「何も答えられない?そんななにも知らない子の為にそれまでする価値あるのかしら?」

「あるその子はチーム[リベンジャー]の一員だから」

「……そう。プロジェクト・ナギアの事も知らないのに……チームメイトで片付けるのね。良いわ貴女のその覚悟に私も答えましょう。手加減は出来ないからね」

「さっさとしなさいよ。こっちはいつでも仲間なら何が何でも受け止める覚悟は出来ているのだから」

「……良い覚悟ね」


琴音は右手に纏わせていた青色の電気の磁力を変化させて、右手に居るナギアを愛花に向けて、吹き飛ばす。

琴音の右手から離れたナギアは真っ直ぐ、愛花の元へと飛んで行く。

愛花へと飛んでいるナギアは愛花に近づくに程にスピードが上がっていく。

最早、目で追う事も出来ないナギアを愛花はなんとか受け止めようと両手を広げ、どこからでも受け止められる様にするものの、どこから来るのかは分からなかったが、これぐらいしか出来ない愛花はただ、ナギアが来るのを待っていた。

ナギアは愛花の腹に直撃すると愛花とナギアは後ろの建物に吸い寄せられる。そんな愛花は防御も取る事も出来ずに建物に激突する。

腹にはナギア、後ろには建物があり、愛花は板挟みに合う。まるで冷蔵庫に紙を磁石によって取り付けられているかの様に、愛花は身動きが取れない状況になった。


「……琴音ちゃん。やり過ぎだよ」

「浴衣。貴女は女には甘いのよ」

「そんな事は無いよ。でも、これで二人は戦えないよ。もう解放してあげて」

「……ほら、甘いじゃない」

「どのみち、あの二人は戦えないよ。これに琴音ちゃんも能力の維持が大変でしょ?」

「全く問題無いけど」


琴音から満足行く答えが出ない事にリスの様に頬を膨らませる。

そんな浴衣を見て、琴音は諦めながら、ため息を溢す。


「ありがとう。心配してくれて、確かに能力をコントロールするのは疲れるわ。貴女の言う通り、解放するわ。彼女達もう戦力にならないでしょうから」

「うん」


満足いく答えが聞けた事に浴衣は満面の笑みで返事をする。

そんな余裕な二人に対して長谷川の表情は優れない。

無傷とは言え、琴音一人すら勝てるとは思えない長谷川は更に隣に居る浴衣の存在もあるため、この勝負勝てない事は明白だ。

琴音はチーム[ハンド]のメンバーだが、浴衣はチーム[ハンド]の副リーダーを務めている程の人物だ。そんな浴衣は事実チーム[ハンド]のNo.2の実力がある事は長谷川でも理解出来た。

琴音よりも強い力を持つ浴衣とも戦わなければ行けないこの状況で長谷川が出来る事は限られている。

二人とやっても勝てないなら、逃げるしか無い。逃走する事しか考える事が出来なくなった長谷川は後ろに居る愛花とナギアをどうやって連れ出すか、考えたが、満足いく答えを出すことは出来なかった。

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