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神が宿る世界でー外伝ー能力者が行き交う世界で  作者: 斑鳩
第2章 創造主の意のままに(クリエイト・メイカー)
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魔法固定砲台

神奈川支部内に侵入したチーム[ハンド]を向かい打つ為に待機していた愛花、長谷川、ナギアの三人はチーム[ハンド]が来るのを息を殺しながら待っていた。


「チーム[ハンド]が来るのは分かってるけど、誰が来るのかは分からないみたいだし……対策することも出来ないよね」


長谷川のその言葉に誰も反応する事なく、時は流れていく。

長谷川は思わず二人を見つめる。愛花とは目が合ったものの、愛花の目は冷たくこれ以上、話そうものなら攻撃されるのではと思わされる様な目だった為、長谷川は口を硬く閉ざす。

気まずくなった長谷川はなんとかしようと考えていたが、愛花に話かければ、嫌な顔をすることは目に見えていた。

その為、長谷川はナギアに話かける事にした。


「そう言えば、ナギサとナギアって名前も似てるし、それになによりも顔が似てる。……双子なの?」

「違います。私はナギサをベースに造られた人造人間です」

「……そう、なんだ」


長谷川は質問を間違えたと強く後悔していた。

しかし、人造人間とゆう強すぎるキーワードに好奇心を押させ切れなかった長谷川は更に聞くことにした。


「人造人間には見えないけど」

「……日本でも優秀な人材が集まり造られたので目視だけでは、人造人間だと判断することは難しいですよ」

「そんな技術日本にあったんだね」

「ありますよ。人造人間を造るさいに最も活躍したのは坂口家でしたよ」

「坂口家?」

「はい。コピー系統の能力も多く私達ナギアを多く造る事に成功しましたから」

「……私達?」

「はい。一万を越えてますよ」

「……どうやら、僕なんかじゃ考えられない程の研究が行われていた様だね」

「……そう言えば、何故長谷川さんはチーム[リベンジャー]に入ったのですか?」


ナギアからのその質問に長谷川は驚く。

長谷川はナギアのその無表情な所やあまり話さない所から他人との距離を取る様な子供だと思っていた為、ナギアから話しかけられるとは想像すらしていなかった。そんなナギアから質問に戸惑いながらも、長谷川は答える。


管理する神(マネジメント・ゴッド)相手に戦ったからね。その後どうなるかは、想像も出来ない。それなら、管理する神(マネジメント・ゴッド)とも戦える戦闘力を身に付けたいと思ったんだよ」

「そうですか。でも、チーム[リベンジャー]に入らなくても、方法はいくらでもあると思いますが?」

「……力を付けるには東京本部中等部では限度がある。でも、実戦主義の神奈川支部のほうが良いと思ったんだ。それに日本中の暗殺や戦闘を行うチーム[アサシン]を指揮する安藤和真の元なら短期間で強くなれると思えたんだ」

「そうですか。……愛花さんはどうしてチーム[リベンジャー]に入ったんですか?」


長谷川から話を聞き終わったナギアは次に愛花に同じ質問をする。

愛花は少しだけ間を置くとナギアの質問に答える。


「私は管理する神(マネジメント・ゴッド)の山瀬準って男を殺したからね」

「山瀬準と言えば、空間移動(スペース・ムーブ)の能力者でしたね」

「ええ、最終的には異空間移動ディファレント・ムーヴに覚醒してたけどね」

「それでは、山瀬準を殺さなければ、チーム[リベンジャー]には入っていなかったのですか?」

「どうだろうね。分からない」


愛花のその表情を見て、ナギアはこれ以上の質問をする事はなかった。

沈黙が続く中、愛花はスマホを手にして時間を確認する。


「そろそろ、時間ね」

「……位置と時間を指定されたけど、正確なのかな?」

「どうでも良い。敵を倒さば良いだけ」


長谷川は愛花のその言葉を否定も肯定もしなかった。

しかし、長谷川は理解していた。

管理する神(マネジメント・ゴッド)に日本を任されているチーム[ゼロ]から優れた女性だけで編成されたチーム[ハンド]は近年力を増していると聞いた事があった長谷川は愛花とナギアの力を合わせても勝てるとは思えない長谷川はここに居る三人だけでどうやって戦うのか考えていた。


「来た」


愛花のその言葉によって、ナギア、長谷川は戦闘体勢に移る。

やって来たのは二人。

一人目は小柄で青髪で黒いとんがり帽子を被り、黒いマントを羽織っており、なるでその姿は魔女そのものだ。

そんな小柄な魔女姿をした少女の隣には短めの銀髪の少女が歩幅に合わせて歩いていた。

そんな二人の目の前に愛花は飛び出す。

その行動には長谷川もナギアも驚いていた。

長谷川は機会を伺って不意打ちを狙った攻撃を考えていたが、愛花が飛び出した事によって成功率が下がってしまった為、諦めた様に物陰から出てくる。

一人残されたナギアは勝率の低いこの戦いをどうやって戦うのか興味本位で長谷川の後に続く。


「まさか、出てくるとは思わなかったわ。どう見る、浴衣?」

「……真っ正面から戦いたい戦闘好きの集まりかな」

「相変わらず、能天気ね。罠の可能性もあるでしょ?」

「そうかもしれないけど、罠でも対処すればいいだけでしょ?」

「面倒な事よ。それって」

「問題無いよ。琴音(ことね)ちゃんには迷惑かけないから」

「随分とやる気ね。浴衣」

「……実戦で初めて使うから」


浴衣は黒い拳銃を取り出す。

その拳銃には取り替えるカートリッジが存在しない拳銃であった。

その拳銃は四月四日にチーム[ハンド]が当麻家から奪い取った黒魔銃と呼ばれる拳銃であり、魔力を拳銃に与える事によって圧縮した魔力を放出させる事が出来る拳銃である。

そんな拳銃を浴衣は握る。


「いきなり、実戦での使用で大丈夫?」

「大丈夫!」

「与えた魔力によって威力も変動するのよ。本当に大丈夫?」

「琴音ちゃんは心配し過ぎだよ」

「……大丈夫なら、貴女に任せるわ。副リーダーの浴衣にね」

「副リーダーって言ってもチーム[ハンド]皆平等だよ」

「分かってるわ。でも、副リーダーを名乗る者としての自覚位持って欲しいの」

「分かった」

「さてと、一度確認するけど貴女達どうするつもり?」


琴音は確認を取る様にして愛花達に尋ねる。

答えに困る愛花に隣に居たナギアは小声で愛花に話かける。


「撤退してください」

「何故?」

「小柄な女性は北見浴衣(きたみゆかた)です。能力と魔法を扱いチーム[ハンド]の副リーダーをしている女性です。見た目と違って、実力は日本でもトップクラスです」

「それだけでは、逃げる理由になってない」

「……更に隣に居るのは、鳴上琴音(なるかみことね)はチーム[ハンド]の先陣を任される程の実力を持つ能力者です」

「二人とも強いって事?」

「はい。日本でもトップクラスです」


ナギアからの敵の情報を聞き、愛花は答えを出す。


「私は戦うわ」

「そう。それが貴女の答えね。チーム[ハンド]と聞くと皆逃げるのだけど……中々、見所がありそうね。貴女」

「ごめんね。ナギアちゃん。私は戦いたいの」


現状では勝てないと告げたナギアの忠告を無視した事に愛花は謝罪する。

ナギアは直ぐ様、答える。まるでこのタイミングでそう答える事を予期してきたかの様に 。

いきなり、戦闘になった事に戸惑いを隠せない長谷川はそれでも、敵である浴衣、琴音からは目を背ける事なく、見続けていた。


「なるほど、二人とも戦うってことで良いみたいね。浴衣、準備は良い?」

「うん。いつでも大丈夫だよ。でも、なんでナギアがそこに居るの?私達の拠点としているビルに居たナギアだよね」

「……ナギアは人造人間で造られたのは数万体とゆう話だからね。もしかしたら、神奈川支部で所有しているナギアかもね」

「……全く同じ様に見えるけど」

「ナギサを元に造られたナギアはナギサと同じ背丈で、顔や声なども類似していて、子供の様な姿よ。大きな理由としてはスペースを取らずに、自ら動き、移動の際もスムーズに行える様に造られた結果子供の姿になったみたいよ。見た目は子供だけど、その知識は神の頭脳(ゴッド・ブレイン)の能力者であるナギサの頭の情報から抜き取ったものをそのまま、ナギアの頭へと入れ込まれたそうよ。つまり、凄まじい情報量と演算能力を持っているそうよ。まぁ、オリジナルのナギサには勝てないらしいけど」

「……神奈川支部もナギアを所有してるんだ」

「私達には関係無い事だけどね」


二人が会話している時から、愛花は攻撃の準備をしていた。

魔法を扱う愛花は攻撃方法は魔法固定砲台だ。

魔法固定砲台とは、出現させた魔法陣に魔力を溜め込み、その魔力を圧縮させ、放出させる一連の動作を魔法固定砲台と呼称されている。

愛花はその一連の動作を後、放つだけの状態の魔法陣を目の前に置き放つタイミングを伺っていた。

魔法固定砲台は魔法の中でも一二を争う程の威力を誇るが出すまでの手間と魔法陣の中心に魔力を圧縮させる性質上前方か後方のみにしか放つ事が出来ない。魔法陣の出現場所によって出せる方向が決まる為、弱点も大きい。

浴衣と琴音はその魔法固定砲台を目にして少し驚く。

魔法固定砲台は魔法陣の魔力を圧縮させる事から単純で簡単なものと勘違いする者が大きいが、扱うものは極端に少ない。

魔法陣に留められるだけの魔力に設定して、その魔力を一定に圧縮させるその繊細な操作は難しく、戦闘の最中その動作を使うのは手練れでも難しい為、真っ正面で使おうとする者は少なく、背後からや距離がある場合等極めて限定的な条件下のみで使用するその魔法固定砲台を堂々と使う愛花のその行動は浴衣と琴音にとってはどうゆう意図で使用しているのかは理解出来ないものであった。

愛花は魔法陣に圧縮させていた魔力を放つ。

圧縮されていた魔力は一直線に浴衣へと向かって放たれる。


「浴衣。狙いは貴女よ」

「分かってる。琴音ちゃんも警戒してね」


浴衣はその言葉を言い残すと転移魔法によって魔法固定砲台からの一撃を避ける。琴音は微動だにすることなく、愛花、長谷川、ナギアから目を反らす事なく、見つめ続けていた。


「……魔法固定砲台をそんな簡単に撃てるなんて日本でも数人しか居ないわよ。まぁ、使えてもあえて使わないのが普通だけど……使っている所を見ると何か考えがあるのかな?」

「……さぁ?」


愛花が琴音の質問を軽くあしらったその直後、琴音の隣に魔法が出現する。

その魔法陣から浴衣が転移魔法を介して出てくる。

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