神の異形な手(ゴッド・イレギュラー・ハンド)
全ての空間を埋めていく竜の手に京は黒いオーラを右手から放出させる。
「ちっ!やっぱり、無効化出来ねぇ」
「……京。ここは一旦撤退しよ」
「出来るかよ。あいつはここで倒す!」
「冷静になって。ここで引かなければー」
「分かってる。でも、ここで引いたら、俺は管理する神から永遠に逃げ続ける事になる」
「今回だけだよ」
「俺はお前を守ると決めた。その決意は揺らぐ事は無い。それを今ここで証明する」
「京の気持ちは分かったから、ここは引いて」
京はナギサの説得を試みようとしたその瞬間、京の目に光が入り込む。
「神の全身。なんであいつがここに?」
「渡辺京。ここは任せて貰う」
「安藤和真。何をしに来た?」
「君の出来ない事をと、言っておこう」
「あっ?」
「まぁ、見ているが良い」
和真の背の左右から白と黒の翼が交互に十枚生えていく。
そんな十枚の翼を羽ばたかせる。それによって無数の羽が竜の手に接触する。次の瞬間、竜の手は全て消え去り、玲愛の足元に竜のキーホルダーが落ちる。
「……玲愛ちゃんの神の異形な手の手を無力化させるなんて」
「それぐらいは出来るでしょう。相手は安藤和真なのだから」
「玲愛ちゃんのほうが強いもん」
「そうね。貴女のその期待に応えないとね」
二人に向けて、和真は言い放つ。
「これ以上の争いは無用。お前たちの目的は神の全身の存在の確認の筈。その存在を確認出来たなら、ここは引いて貰おう」
和真のその提案に浴衣は玲愛に確認を取る。
「どうするの?」
「……ここは引きましょう。目的は済んだのだから」
「うん。それじゃ、私の転移魔法で離脱しよう。八重ちゃんと琴音ちゃんも転移魔法で連れていくから」
「そうね」
浴衣の転移魔法によって、玲愛と浴衣はその場から離脱する。
そんな二人の存在がその場から消えた事によって、和真は翼を消すと同時に口を開く。
「侵入者は消えた。後の事は、佐山に一任する」
「かしこまりました」




