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神が宿る世界でー外伝ー能力者が行き交う世界で  作者: 斑鳩
第3章 神の義手(ゴッド・ハンド)
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神の義手(ゴッド・ハンド)

迫り来るその炎を造り直し(リメイク)によって造り直しを試みようとしたが、それを発動させるには触れる必要がある。しかし、この炎には触れる事は難しく、浴衣は次の方法を考える。

黒魔銃は魔力を送り、それを放つ事が出来る以外にも能力や異能を銃に込めて放つ事が出来る。能力、異能を込められて、撃たれた場合その能力、異能の特徴が現れる。浴衣の能力を込めれば、その一撃が当たれば、その当たった箇所を造り直しが可能となる。

しかし、佐山が放ったその炎は魔力を込めた一撃を一瞬にして、かき消した事から、能力を込めて撃っても効果があるとは考えにくい為、浴衣は違った方法でやることに決めた。

それは覚醒だ。能力である造り直し(リメイク)を覚醒させ、異能となった創造主の意のままに(クリエイト・メイカー)で炎を対処する事を浴衣は決めた。

覚醒した浴衣は両手を握りしめると、その両手からはあふれる様に黒い雷の様なオーラが溢れ出す。

その黒い雷の様なオーラが佐山の放った炎に触れた瞬間、浴衣はその炎をかき消した。


「……凄いですね。私の殺伐の豪炎(キリング・フレイム)は私が対象にしたものを消滅させるまで消える事の無い炎なのですが……それを消すなんて、正直驚きました」

「私も驚いたよ。最初から覚醒を使う事になるなんて思ってなかったから」

「……貴女にそこまで言わせる事が出来るなら、嬉しい限りです」

「覚醒を使ったからには本気で行くよ」


身を乗り出した浴衣の服の襟を掴む様にして静止させた一人の女性の登場に佐山は警戒心を強める。


「……玲愛(れあ)ちゃん。止めないでよ」

「止めるわよ。覚醒は禁止よ。そんなに簡単に使っては駄目よ」

「分かったから、離してよ」

「分かったわ」


玲愛が浴衣の襟を手離した事によって、浴衣は元気に動き回る。


「これで自由に動き回れる。本番はこれからだよ」

「覚醒は使用せずに、能力と魔法だけにしてね。ここからは私もやるから」

「本当?久しぶりだね。二人でやるのは」

「ええ、私の覚醒なら問題無いしね」

「それじゃ、背中は預けたよ」

「……後ろには誰も居ないわよ。敵は目の前だけ、引くこともお互いに目の前の敵を倒すだけ」

「……後ろに誰も居ない事位分かっているよ。私が言いたいのは、お互いにサポートしようって言いたかったの」

「……」


苦しい言い訳をする浴衣の顔を玲愛は無言でじっと見つめていた。


「……本当だよ。言い間違いはしたかも知れないけど、意味としては合っているでしょ?」

「そう言う事にしておくわ」

「……玲愛ちゃんの意地悪」

「ごめんなさい。思わず、虐めてしまったわ。これからは気を付けるわ」

「玲愛ちゃんじゃなかったら、許して無かったよ」

「……分かったわ。もうしないわ」

「絶対だよ!」


二人の言い合いを黙って聞いていた佐山はため息をつく。


「もう良いでしょうか?」


佐山のその声に思い出したかの様に玲愛は対応する。


「ええ、いつでも大丈夫よ」

「では、行きます」


佐山は右手を大きく振るう。それと同時に炎が出現し、玲愛の元へと向かっていく。そんな炎を玲愛は手へと変化させる。


「……神の義手(ゴッド・ハンド)ですか。厄介ですね」

「それを分かっていても、やるの?」

「相手が誰だろうが、やるのが今回の任務ですから」

「……死ぬわよ」

「構いませんよ!」

「そう。では、殺すわ」


佐山の炎を手に変化させた玲愛はその手を狭山の元へ移動させる。

迫り来る炎の手に佐山は右手から炎を放出させる。

しかし、狭山の放った炎は玲愛が操作している炎の手によって握り潰される。


「無駄。貴女の炎がこの炎の手を上回る規模になったとしても、再び私がそれを手に変化させれば、問題ないからね」

「……何をしても手に変化される。これでは何をしても無駄って事になりますね」

「そこまでは理解出来ているようね。で、どうする?」

「それでも、私は続けます!」

「何も理解出来ていない様ね」

「理解しています。私が死ぬか、貴女方が死ぬかのどちらかですよ」

「そう。死ぬのは、貴女になるけど良いのかしら?」

「覚悟は決まっています」

「……では、始めましょう。殺し合いを」


玲愛は操作していた炎の手を佐山の元へと向かわせる。

そんな炎の手に黒いオーラが衝突する。


「……この禍々しい黒いオーラは……」

「知ってるの?浴衣ちゃん」

「うん。さっきまで戦っていたからね」


炎の手をかき消した者は金髪の子供を引き連れながら、佐山の隣に立つ。


「チーム[チャレンジャー]のリーダー渡辺京で、良かったかしら?」

「あっ?そうだけど、あんた誰?」

「……」

「……誰だ?」

「目上の者には敬語を!」

「それで、どなたですか?」

「私は神奈川支部防衛局副局長を務めています。佐山奏多と申します」

「そう。俺の事は知っているみたいだし、自己紹介は省きますよ」

「構いません。それで、こんな所に来たからにはそれなりの覚悟は出来ているんでしょう」

「何の覚悟もしてねぇよ。でも、やることはしっかりとやる」

「子供に何が出来るのですか?」

「関係ねぇよ。年齢の差なんて、この一瞬で埋め尽くしてやるよ」

「……分かりました。局長が認めたその力に頼りましょう」

「……それじゃ、ここからは好きにして良いんだな?」

「構わないわ」

「それから一つ頼みたいんだけど」

「なにかしら?」

「ナギサを頼む」

「ナギサ?神の頭脳(ゴッド・ブレイン)がどこに?」

「何を言っているんだ?隣に居るだろ?」


京に言われるがまま、佐山は隣を確認すると足元に一人の子供の存在に気がつく。


神の頭脳(ゴッド・ブレイン)って子供だったの?」

「うん。子供だよ。よろしくね」

「ええ」

「京の邪魔にならない様に離れよう」

「分かったわ」


佐山は世界一の頭脳を持ち、考えただけで全ての事柄の答えを導き出す事の出来る神能力者が子供であるその事実に戸惑いながらも、ナギサの指示通り、京の背後へと移動を開始する。


「……神の全身(ゴッド・ボディ)に会いに来たのだけど……神の頭脳(ゴッド・ブレイン)にも会えるとは、でも管理する神(マネジメント・ゴッド)は貴女の存在を否定したわ」

「うん。知っているよ」

「そう。そこで満足?」

「うん。ここが私の居場所だから……貴女の居場所は何処?」

「……さぁ、ずっと探し続けているんだけどね」

管理する神(マネジメント・ゴッド)には無いの?」

「答える必要は無いわ。だって、貴女には分かっている事でしょ?」


ナギサと玲愛はしばらく見つめ合う。


「……もう良いのか?」


二人の会話が途切れた事によって、京は割ってはいる。


「ええ、もういいわ」

「それじゃ、始めるか」


京は両手に黒いオーラを纏わせる。


「黒いオーラは覚醒や黒魔術(オーバーロード)黒呪術(ハイパーロード)の象徴と言われるけど……貴方のその黒いオーラはどれにも当てはまらない様ね」

「……これは能力向上(レベルアップ)だ」

「そう。どれでも構わないわ。やることは何も変わらないから」

「そうか。来いよ」

「……その黒いオーラは手に変換出来ないわね」

「全てを無効化出来るからな」

「……なら、神の義手(ゴッド・ハンド)では倒せなそうね」

「……なら、ここで引けよ」

「貴方が能力向上(レベルアップ)が使える様に私にも出来る事があるわ」

「そうか。なら、それを叩き潰せば良いんだろ?」

「出来るかしら?」

「やってやるよ。早くしろ」


京のその言葉によって、玲愛の全身から黒いオーラが溢れる。


神の義手(ゴッド・ハンド)は能力だ。その黒いオーラが出たのは、覚醒って事で良いんだろ?」

「その通りだけど?」

「そうか。それを叩き潰す!」

「出来ると良いわね」


玲愛はポケットからペガサスのキーホルダーを手に取る。


「……なんだ?そのおもちゃは?」

「これが武器になるの」

「……炎の手を造った事から、また手に変えるなにかだろう、どうせ」

「正解。でも、貴方が口に出した程簡単なものでは無いわよ」


玲愛がペガサスのキーホルダーを握り締めると玲愛の拳の間から黒いオーラが溢れ出す。

玲愛が手を開くとペガサスのキーホルダーは無くなっており、黒いオーラは禍々しい黒い手が現れていた。


「なんだ?」

「……これは憤怒の悪魔(サタン)の異能によって造られた手よ」

「……あっ?憤怒の悪魔(サタン)の異能力者なんてどこにも居ないだろ?」

「その通りね。でも、ペガサスのキーホルダーに異能力者を手に変えていたら?」

「……異能力者をペガサスのキーホルダーに?何を言っているんだ?」

「……私は母をペガサスのキーホルダーに入れているのよ。だからこそ、憤怒の悪魔(サタン)の力を持つ手を造り出せる」

神の義手(ゴッド・ハンド)は生物以外を手に変える事ができ、覚醒はキーホルダー内に入れていた異能力者の力を持つ手を造り出せるって訳か?」

「少し違うわ。異能力者だけでは無いわよ。魔法も能力も可能よ。ただし死んだ人間限定だけどね。それが神の義手(ゴッド・ハンド)の覚醒神の異形な手ゴッド・イレギュラー・ハンドよ」

「ちっ!ふざけやがって」

「無効化させる貴方も同じね」

「同じにするな」

「……そうね。無効化も意味をなさないからね」

「あっ?」

「……生物以外を手に変換した場合は無効化出来るだろうけど、私の神の異形な手ゴッド・イレギュラー・ハンドによって、出した手は消える事は無い。この意味が分かるかしら?」

「……なんとなくなぁ。で、その力をさっさと見せたらどうだ?」

「そうさせて貰おうかしら」


玲愛はポケットからドラゴンのキーホルダーとフェニックスのキーホルダーを両手に握る。すると、ドラゴンのキーホルダーはドラゴンの手に変換し、フェニックスのキーホルダーは炎の手へと変化する。


「ドラゴンの手は竜の兵隊(ドラゴノイド)の能力。炎の手は炎の裁きフレイム・ジャッジメントの能力の手だからね」

「教えてくれるなんて、親切だな」

「何も知らずに、死ぬなんて嫌でしょ?」

「……構わない。それに関しては問題無い!」

「……死ぬ事は無いと?」

「嫌、逆だな」

「ずいぶんと面白い事を言うのね」

「何が面白かったんだ?俺は事実を述べているだけだ」

「そう。では、死の淵に立たせてから、もう一度聞くわ。そんな戯言をほざけるとは思えないけどね」


玲愛はドラゴンの手の能力である竜の兵隊(ドラゴノイド)を発動させ、竜の手を無数に造り出す。狭いその場所において、その無数の竜の手はその場の空間を埋める事にそう時間はかからなかった。


「……竜の手を隙間無く、埋める事によって俺達を圧殺するつもりか?」


京のその言葉にナギサは直ぐ様返答する。


「うん。無効化されないこの竜の手は厄介だしね」

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