第11章 双頭の魔女 登場人物
※11章までのネタバレを含みます。
ロザリー゠エル゠フリードリッヒ
17歳。物語の主人公。かつての戦争において、マレフィカで一人生き残った少女。
死線をくぐり、それでも諦めずに相手の心へと呼びかけた事が新しい力を得るきっかけとなった。これこそが、後にマレフィカを統べるに値する力となるだろう。
【異能】 感応
第四段階・衝突。その同一化は相容れないはずである他者との和解にすら至る。
【進化異能】 触媒
マレフィカの意識を共有させ、あらゆる事態に対応する。有効範囲は対象の魔力を感じられる程度の範囲で、それが強ければ強いほど長くなる。
パメラ゠クレイディア
15歳。物語のヒロイン。ガーディアナ教国の象徴である聖女。
聖女としての自覚に目覚め、その振る舞いにさらに慈愛が感じられるようになった。
心の声は自らの意思で消えてしまったが、彼女にとってソフィアという大切な存在が生まれた事は救いかもしれない。
【進化異能】 浄歌
力を歌へと乗せ、聴く者の心を安らかにする。その際、負の感情や魔の力を浄化させ、生まれた情動をも後に信仰とする。
ティセ゠ファウスト
16歳。世界を変える願望を抱くマレフィカの魔法使い。
普段から大きな事を言うだけに、足手まといとなる事を極端に嫌う。それだけに、今回はどこか冷静さを失っていた。自身の負傷よりもむしろ、そちらの方が彼女にとっては堪えたであろう。
【技能】 ファイア・マグナム
レベル6の炎魔法。質量を持った炎を速射する。新大陸の武器、銃を参考にした魔法。
【技能】 ファイア・ブレス
レベル7の炎魔法。ドラゴンの息のごとく広範囲を焼き払う。
琴吹桜子 (コトブキ サクラコ)
14歳。東方、イヅモ国の忍び。幕府お抱えの隠密組織、紅の陣所属。
不殺の精神を持ち、どんなに不利な状況でもそれを貫いた。恐怖を受け入れ、それでも仲間のために戦う強さを見せる彼女こそ、メリルにとって最も恐ろしい存在だったのかもしれない。
須藤真琴 (スドウ マコト)
16歳。救世主として日本からはるばる異世界へやって来た女子高生。
まだまだ冒険者としては新米であり、ロザリーを手本に勉強中の毎日。持ち前の委員長気質で、もっと仲良くなるためのオリエンテーションをあれこれと企画している。
ソフィアや双子の更正も順調で、そのまっすぐな明るさはロザリー達もにいい影響を与えている。
【奥義】 ジャスティスハート・マックス
極限まで高めた救世の力を解き放つ。受けた者の精神によって、それは破滅的な威力と化す。
アンジェラス゠ベル
17歳。マコトのお付きとして天界から派遣されたという天使。
空回りはご愛敬だが、ようやく天使としての自覚が少しずつ芽生え始める。特に心優しいサクラコとは波長が合い、その影響からか今回はさらに一回り成長する事ができたようだ。
メリルについては、怪我させたホーリーアローの事を怒ってないかまだ少し怖いらしい。
【技能】 ヒーリングオーバー
治癒能力の低さをカバーするため、やけくそ気味に重ね掛けする。これでようやく傷薬くらいの効力にはなった。
【技能】 ホーリーアロー
神聖魔法と弓術を組み合わせた天使の初級スキル。効果を一点集中させるため力が弱くとも高い威力を発揮できる。鉄板なだけあって優秀な技。
ソフィア゠エリン
15歳。絶世の美少女。実は、第二のガーディアナの聖女でもある。
ロザリー達によって闇の支配からも抜けだし、素直な少女となった。自らの行為が多くの仲間を傷つけてしまった事に苦悩するも、パメラの愛を受け少しずつ笑顔を取り戻しているようだ。
【技能】 エレメンタル・ブリザード
冷気を広範囲に吹かせる。水たまりなどはたちまち凍り付くが、殺傷能力は低い。
メリル゠フェルデナンド
16歳。双蛇の双子、姉。やせた子供のような姿。
徹底して暗殺者として育てられたため、もはや更正は不可能であるかと思えたが、マコトによる奇跡の力が彼女を変えた。いや、本当はずっと変わりたいと思っていた気持ちを、彼女が後押ししてくれたのかもしれない。ばかばかしくも愛しい毎日に、今は日々心をほだされている。
【技能】 ギロチン
ジャマハダルの刃を交差させ、迷い無く首を狩り取る。その刃に幾人もが犠牲になった。
シェリル゠フェルデナンド
16歳。双蛇の双子、妹。グラマラスな成人女性のような姿。
生まれてから今日まで、姉だけが彼女の拠り所であった。しかし、マレフィカ達の愛に触れ、もう一つの居場所を得る。これからは何かに依存する事なく、孤独になりがちな姉の支えとなってくれるだろう。
【技能】 結界
侵入者を防ぐ結界を張る。外から中の様子はまるで見えなくなり、その内部は術者に筒抜けとなる。広範囲に設置可能。
【技能】 呪術
やがて死にも至る呪いをかける。シェリルの最も得意とする技。
【技能】 鞭撃
容赦なく振るわれる鞭は、まるで触手のように主を守る。
ボルガード王
55歳。ロンデニオン国王。
王という不自由さを嘆くだけあってか意外と娯楽を愛しており、毎年自由都市で行われるお祭りを楽しみにしている。彼の祭り好きは本物で、記念日が終わった後もその趣向を凝らした出し物の数々にお忍びで参加する事もあるほど。そのため現在5つである都市をさらに増やしたいと思っており、やがては今回気に入ったイヅモやローランドの都市も作る気でいる。もはや、人類が一丸となった時代を知る彼に国境などはないのである。
フォルテ゠レイフォード
42歳。ロンデニオン騎士団、ラウンドナイツの副団長。
ロザリーの馬術における師匠的存在。その後に行われたメインレースでは、見事に彼も一着を決めた。彼の愛馬はラムレイという牝馬で、競馬大国のロンデニオンにおいても最速を誇る。ちなみに最強はボルガード王の愛馬、ドゥ・スタリオン。これらの名馬の前ではシュヴァイツァーも少し縮こまるという。
王゠ファレン
40歳ほど。自由都市デュオロンの市長であり、堕龍グループのボス。
ロザリーの活躍により牧場のオーナーとしてこれ以上ないスタートを切った彼は、さらに投資を進め、特に能力の高いと言われるクーロン高原地のウマを仕入れる事に成功した。その際、故郷との確執も解消したい彼は自身を救ってくれた魔女の始祖にあやかり、ダルクロードという名の貿易路を作り上げる事業にも着手した。これにより、閉ざされた国クーロンはやがて他に並ぶ程の経済国として成長していく事となる。
メイ゠プリエスタ
年齢不詳。自由都市アーカム、ならびに聖櫃神団の代表を務める女性。
これまで身分を隠し聖職者としてデュオロンに潜入していたが、ロザリー達が旅立った事で本格的にアーカムを取り仕切る立場へと戻った。冒険者仲間のヒロイックレジェンドは、彼女を失った事により失意の中、新たな仲間を探すため冒険の旅に出る事となったらしい。
ちなみにアーカムはガーディアナ系、中でも貧民であった者達による移民が多い。その祭りはとても粛々としたもので、孤児の子供達が歌を披露したり、王様を書いた絵をずらりと展示するだけのものであったという。これにより、さらにお布施が集まったという話もあるとか。
シュヴァイツァー
2歳、オス。自由都市デュオロン所属の競走馬。
世にも珍しい古代種と呼ばれる品種で、彼は神馬グルファクシの系統となる。彼はどういう訳かファレンの屋敷に訪れていたロザリーに一目惚れし、そのお尻を乗せる事に何よりの喜びを見いだす。実はロザリーの見せる抜群の安定感は尻の重心移動にあり、馬上で立ち上がるとむしろコントロールを失うらしい。
その後はロザリーの言いつけを守り、他の騎手を乗せレースに出ている。そしてサクラコのマギアをゴーストに、今日も新記録をたたき出しているようだ。
グラーネ
2歳、メス。自由都市アーカム所属の競走馬。魔馬スレイプニルの系譜。
彼女達古代種は、富裕層のみが参加する事ができる独自のルートにて少数が競売に出される。あれほど金回りの良かったファレンやメイでさえ手に入れる事が出来たのが一頭のみである事から、かなり希少である事がうかがえる。
彼女はその後、アーカムの人気ウマとしてシュヴァイツァーといいライバル関係を続けている。というより、意外にも彼にかなりの熱を上げているらしく、そのお尻にピッタリと付いては二着となる事が多い。これには馬主であるメイもさすがに困り果てているようだ。