第1章 叛逆の魔女 登場人物
※備忘録としてどうぞ。1章までのネタバレを含みます。
ロザリー゠エル゠フリードリッヒ
17歳。物語の主人公。かつての戦争において、マレフィカで一人生き残った少女。そこで多くの仲間を奪った宿敵、ガーディアナ教国を誰よりも憎んでいる。
現在はレジスタンス組織、逆十字の部隊長であったが、聖女暗殺作戦の際に再び一人生き延びる。そして様々な葛藤の果てに聖女を救い出す事を選択し、敵地ガーディアナからの逃亡をはかった。
【異能】 感応
第一段階・本能。自己と他者の境界を曖昧にする力。これにより、ロザリーはまれに他人の心を読み取る事ができる。まだ制御不能で突発的なものだが、その可能性は未知数。
【幻像】 黄金の女騎士
厳しくも優しげな瞳をした金髪の女性。黄金の鎧と長身の剣を持つ。今はただ、そっとロザリーを我が子のように見守り続けている。
【技能】 ブラッディダガー
百発百中の短剣投げ。聖誕祭にて披露する大道芸のため、血のにじむような(主にギュスターが)特訓により獲得した。
【装備】 ブラッドソード
父ブラッドが娘のために鍛造したロングソード。無骨な造りで非常に重く、鍛錬によってようやく操れるようになった。
【装備】 踊り子の衣装
踊り子だった母の形見である衣装をロザリーでも着られるよう改造したもの。暗殺用として脚のベルトには6本もの短剣が忍ばせてある。初めは着るのに抵抗があったが、最終的に彼女はこれを下着代わりとして愛用しているようだ。
【装備】 逆十字のロザリオ
蛇の巻き付いた逆さ十字という、逆十字のシンボルをかたどったロザリオ。元々はギュスターの剣に取り付けられた意匠だったが、今は彼の意思を受け継いだロザリーの胸を飾っている。
聖女セント・ガーディアナ
15歳。物語のヒロイン。ガーディアナ教国の象徴である聖女。強大な力を持ってはいるが、その罪の意識により自ら死を願う。
幼少期から行われた洗脳教育により、無機質で攻撃的な人格を有する。しかし、普段は年相応の多感な少女にすぎない。ロザリーとの出会いによって愛という感情を知り、心の内から謎の声が聞こえるようになった。彼女の正体については、聖女としてもどこか心当たりがあるようだ。
【異能】 浄化
命を持つもの全てに作用する、生命力や魔力など、ありとあらゆる力を瞬時に奪い去る能力。マレフィカの中でもほぼ、完全無欠とされる力。
【幻像】 黒天使リゲル
聖女としての力を解放する際に現れる、中性的な姿をした顔のない天使。人の形をしているものの、そこに意思があるかは定かではない。
【技能】 戦術護霊
浄化の力を応用し、その身を完全に守る光を纏う。自身を超え、大きく展開するほど魔力の消費が高い。
【技能】 光あれ
回避不可能な光の天球を展開し、そのまま閉じ込めた相手を衰弱させる。無駄に血を流さないための慈悲の力。
【装備】 聖女の聖衣
あらゆる加護が込められた、ガーディアナでも二つと無い婚礼用の高級ドレス。高位の僧により長い年月をかけ祈祷された霊糸が使われており、魔を払う絶大な力が秘められている。
ギュスター゠レイクレフォン
65歳。逆十字団長。以前はローランド王国の騎士団長をしていた。
敗戦後、一からレジスタンスをまとめ上げた気さくで情の深い男性で、ロザリーの祖父代わりの存在でもある。
だが、その情の深さゆえに誰よりもガーディアナを憎み、最終的に邪教の甘言に乗るという過ちを犯してしまった。
【技能】 兜割り
その巨大な体躯から振り下ろされる鉄塊は、無慈悲にも敵の頭部を粉々に破壊する威力を持つ。ほぼ視界外からの攻撃となるため、彼の相手をする者は何が起きたかも分からずに葬られる事となる。
キリーク゠シュバイツァー
29歳。逆十字副団長と作戦参謀を務める、ロザリーの想い人。
まじめで優しい性格をした美男子。ロザリーの父、ブラッドの教えを受けたという剣の腕も上の上で、その卓越した機転も合わせ全体的な戦闘能力は極めて高い。
ロザリーに対しては本人も好意を抱いているが、明確な意思をもって最後までそれに応えることはなかった。
【技能】 インペイルコア
瞬時に状況を見極め、敵の急所を一撃で貫く刺突剣。彼に掛かればどんな重装の兵でも、かすかに露出した無防備な部分を貫かれるだろう。
ジャン
20歳。逆十字における一兵卒で、ロザリーと最も年が近い青年。
隊長であるロザリーに恋しており、どこか常にその姿を追い求めている。意気込みは充分だが、剣の才能には恵まれない。その代わりと言っては何だが、パン作りが得意。いつかこの戦いが終わった時には彼女に思いの丈を告白し、叶うのであれば一緒に小料理屋を開くつもりであった。
リュミエール゠クレスト
年齢不詳。ガーディアナ教国の最高権力者である教皇。
聖女に対し多大な愛情を見せるが、それ以外に対してはきわめて冷酷。底知れぬ全能の力を持ち、まるで神の代理であるかの様なふるまいを見せる。
今回の事件に際し、愛ゆえに聖女の自由を許した事を激しく後悔している。もしロザリーがいなければ、聖女にとってこれまでの比ではない地獄の日々が待ちうけていただろう。
【技能】 聖火
人体を自然発火させる。それは神の火と呼ばれ、償いと共に消えると言われる。
【技能】 洗霊
洗礼という形で、他者に対し様々な能力を付与する事ができる。これを授かる事ができるのは基本的に上位の神徒のみ。
【技能】 終癒
細胞を活性化させ、人体を強制復元させる加護の力。教皇への信仰が続く限り効果があるが、即死等には抗えない。
マルクリウス゠バルトロナイ
67歳。ガーディアナ第二司徒であり、教皇の補佐である枢機卿を務める。
聖女の教育係を一手に引き受け、その人格形成に大きな影響を与えた。
魔王の時代を知るがゆえに、まだ幼い人類にはガーディアナという力が必要だと断じている。そのための標こそ聖典なのであり、不安定な聖女の力に対しては本当の所やや疑念を抱いている。
侍女メーデン
20歳。聖女の世話を特別に任された、数少ない侍女。
一見しとやかで母性的に見えるが、聖体賛美を良い事に聖女とのスキンシップを密かに楽しんでいる節がある。しかし少し度が過ぎており、聖女からはやや呆れられているようだ。それでも聖女にとってはガーディアナにおいて唯一の信頼できる存在。
エトランザ゠マリアロッタ
9歳。ガーディアナ第三司徒。教皇の次の位である、女教皇を名乗るマリア家の筆頭。
その出生にはある呪われた秘密があると言われる。そのために聖女を憎み、日々その心を追い詰める少女。教皇と聖女の婚礼の儀に際し、水面下で一人何かを企んでいた。
邪神アルビレオ
年齢不詳。教会と対立する邪教団イルミナの教祖。
巨大な化け物の様な面をかぶっているが、声は幼い少女のもの。教会に捕らえられた魔女を密かに保護し、その異能にて聖女の暗殺を企む。
【異能】 空間転移
別の空間を繋ぎ、自由に出入りすることができるゲートを作り出す。遠隔操作も可能。
ノーラ
12歳。ウィンストンの地下牢に捕らえられていた、大人しげなお下げの子。
子供達の中でも年長の彼女は、ロザリーが来るまで他の子達の世話を献身的に行っていた。子供の割にどこか達観しており、対極的にどこまでも人間的なロザリーの心に惹かれていく。そのためロザリーの願いにより邪教団へと引き取られた際も、彼女の邪魔になる事を嫌いそれを受け入れた。
メア
年齢不詳。ウィンストンの地下牢に捕らえられていた、長髪のこじきの子。
知能にやや問題があり、片目は機能を失っている。そのため悲惨な境遇に置かれていたはずだが、誰より他人を思いやる心を持つ。いつも舐めているあめ玉は、放っておくといつも騒がしくする彼女を静かにさせるため特別に看守から与えられているようだ。
カイ
11歳。ウィンストンの地下牢に捕らえられていた、ツンツン髪の不良の子。
素行に問題があり、異能の目覚めと共に速攻で教会にケンカを売り捕まった。ケンカ番長らしくロザリーに対しても簡単にはなびかなかったが、母ちゃんの愛にだけは弱かった。どういうわけか、彼女の金的は百発百中。
ジュディ
10歳。ウィンストンの地下牢に捕らえられていた、育ちのいい二つ結びの子。
教会に捕まった事で完全に心が折れており、少し自暴自棄となっていた。それもそのはず、彼女はこれまで何不自由ない暮らしから一転、マレフィカの烙印を押されこの地獄へと送り出されたのである。自己中心的な性格だが、なにげに子供達の中で一番器量がいい。