第22章 真紅の魔女 登場人物
※22章までのネタバレを含みます。
ティセ゠アルテミス゠ファウスト
17歳だが、現在の姿は14歳。一度はアルテミス女王となったが、再びロザリー達と旅をするために母に王位を還した。そして今はアルテミスだけでなく世界丸ごと平和にする、世界女王を目指している。
今回の修行でマレフィカとしても覚醒し、名実ともに最強に近い存在となった。
【神魂】 贄の魔女カペラ
かつてスケープゴートとして神に捧げられた少女。大いなる魔力を秘めるが、精神的には幼い。人生というものに未だ未練が多く、ティセの中で過ごす内にアルテミスの文化にどっぷりとハマる。そのため暇な時は自前の魔力で異次元から空間を繋げ、「カペラちゃんねる」と称する動画配信を行っている。
【進化異能】 想像詠唱
脳内でイメージした魔法を自身の習熟度に関わらず放つことができる。そのためには別の卓越した使い手を想像するのが手っ取り早いらしい。
【神化異能】 絶対魔法領域
自身を中心に、魔法のみが許された領域を展開する。物理攻撃はもちろん、マギアですらも遮断するが、攻撃性のないものは通してしまう。カトリーヌの狂化に打ち勝ったのは、彼女自身の心の力である。
【奥義】 ガイア・バーニング
土属性と火属性を掛け合わせた、ティセのオリジナル魔法。相性の良い属性は、こうやって組み合わせる事で更なる力を発揮する。
【奥義】 ライトニング・サンダー
雷属性のレベル11に相当する大魔法。天からの雷をあらゆる地点へと落とす。操作には高い技術が必要。
【融合】 絶対女王
カペラの力を借り、山羊の頭骨を頭に乗せた悪魔的な出で立ちへと変貌する。肌に刻まれたタトゥーや、その扇情的なスタイルは魔法少女からの卒業であり、魔女への誇りを表すものである。
ディーヴァ゠ギルガメス
19歳だが、現在の姿は16歳。アバドン国一の部族、ギルガメスの女戦士。別名、暁の勇者と呼ばれる。
一度は折れた心だったが、偶然、闘争の力を持つ魔女カトリーヌの力によって闘志を呼び覚ます事ができた。彼女と一夜を共にした際にはその弱い部分を全て目の当たりにし、同情する気持ちを強く抱く。奇しくもヘクセンナハト、そしてワルプルギスという対立する両組織と最も深い関係にある人物となる。
エトランザ゠マリアロッタ
9歳。ガーディアナ第三司徒。教皇の次の位である、マリア家の筆頭。
子供ながらに自分の立場や世界の変化を見極め、強引にでも教皇を変えるために動く決意をする。表向きにはただの仕返しのようにも見えるが、憎しみも愛情の裏返しというように、未だ教皇を諦めた訳ではない。よってパメラの結婚は全力で祝福するつもり。
【進化異能】 次元移動
この世に存在する違う次元世界へと旅をする事ができる。まずは異次元の存在を知る必要があるため、今行ける場所はカオスの世界ネビュラのみ。
【奥義】 デイアフタートゥモロー
空間ごと切断する事によって、いかなる強度を持つ物質であろうと真っ二つに切り裂く。それぞれが明後日の方向へと離れる事からこの名が名付けられた。
カトリーヌ゠メディア
19歳。ガーディアナに隣接する小国ソレイユの若き女王。ワルプルギスの一人。
どこまでも冷たい女帝たる彼女の本質は、王であった父による過剰な教育によって形成された。母は早くに死別したため、その代わりを求められる事もあった。昼と夜とで全く違う人間の二面性を物心つく以前に思い知る。ある魔女の手引きによって絶望の中にあった彼女は救い出されたが、すでに彼女の道徳観は著しく欠如し、血塗られた覇道を歩む一人の美しき怪物となっていたという。
今回の敗戦でソレイユはアルテミスの支援を受ける事となったが、ガーディアナの裁きを受けたカトリーヌの行方は依然として知られていない。
【神魂】 闘神シャウラ
争いの絶えない世界で、常に狡猾な手段による計略にて勝利を収め続けた英雄。蠍と同化したような異形は、神の怒りに触れた罰によるもの。
【異能】 闘争
一定の戦闘力を持つ者の闘争心を掻き立て、仲間であろうと死ぬまで争わせる。勝利と引き替えに正気へと戻る。
【進化異能】 逃走
一定以下の戦闘力を持つ者の逃走を手助けする。これによりどんな難局でも助かるため、カトリーヌは最強の弱者であり得た。
【神化異能】 狂化
自身が見定めた真の戦士に狂戦士としての力を授ける。対象は主人に対し従順な獣となるが、敗北をトリガーに正気へと戻る。
バルホーク゠リッター
28歳。ガーディアナ第四司徒。教皇を崇拝する若き騎士。
ピーターの影響により教会の忠実な犬であった自身に疑問を抱き、本当の信仰とは何かを考えるようになる。常に戦争の犠牲となる子供達を目の当たりにし、そもそも魔女への弾圧が妹を死に追いやった事も含め、その胸中に複雑な感情を抱えながらも、結局は教皇の元へと帰っていった。
ピーターと共に戦争孤児達の孤児院をアルテミスに作ったり、子供が関わると人が変わったように好青年となる。
【神魂】 超越者アステリオン
雷光の名を冠する古代の王。存在する次元が違うためにその姿は見えない。バルホークの場合、ガーディアナへの信仰心がカオスとの契約を妨げるために、本来のカオスの所有者である妹がマギアを発動させ手助けする。血の繋がる兄妹だからこそ出来る芸当。
【異能】 逆行
対象者の肉体を、時の次元に存在する過去の同一の肉体と入れ替える。精神までは操作できないため、経験は残る。重ねる事で幼児にまで退行させる事も可能。
【進化異能】 加速
自身に流れる時を極限まで加速させる。使ったのはソレイユ軍を倒した一度だけであるが、その経験がバルホークの潜在能力をさらに引き上げる結果となった。
キャナリー゠リッター
享年7歳。バルホークの妹で、セフィロティックアドベントの被験者。
弾圧厳しいガーディアナにおいて、魔女として生まれる。リッター家は代々騎士の家柄という事もあり、それを苦にした母親が焼身による心中を図るも、その異能により彼女のみがなんとか生き延びていた。そこをバルホークの才覚に目をつけていた教皇により儀式の第一号にされ、彼は永遠の忠誠を誓う事となる。
長い間冷酷に変わり果てた兄に絶望していたが、マコトとの接触をきっかけに心で通じ合えるようになった。現在は力を使いすぎたため眠りについている。
ピーター゠マルゴ
アルテミスに派遣されたガーディアナ第八司徒。同性愛者で構成される魔術軍を率いる。
ガーディアナに居ながらにして平和を愛する理想主義者。男性が好きというよりも、性自認が女性に近いため、それが自然な事のように思っている。
現在はガーディアナを辞め、アルテミス魔法軍を束ねる存在となった。
【神魂】 女神ペイトー
交渉を得意とする女神。ピーターに移植されたカオスは、両性具有という性別が分からないマレフィカのものであった。協会は失敗作のカオスだと処分を決定したが、マイノリティの悲哀を知るピーターが儀式によって救ったのである。
そんな背景もありカオスとの親和性は高く、ピーターは無敵の交渉術を得る事となった。
【異能】 交渉
有利な条件で交渉を成功させる力。平和的な使用に限られる。
【進化異能】 調和
いかなる攻撃性であろうと鎮め、その場を平和的に取り持つ。攻撃を受け付けないティセの能力とは違い、そもそも戦闘を起こさないようにする力。
【奥義】 ドラゴニック・フレア
ファイア・クラスタのレベル14にあたる大魔法。大魔法ともなると使い魔の協力は不可欠だが、ピーターは使い魔の代わりにドラゴンを利用する事によって放った。
メトル゠ブランドー
41歳 (見た目は30ほど)。ティセの父でレジェンドでもある魔導師。
終戦後、女王とめでたく再婚した。離婚の原因はメトルの浮気であったが、それはもともと憧れの人がいるにも関わらず女王が強引に結婚を取り仕切ったせいでもある。ともあれ、成長したティセの存在が改めて二人を結びつけたようだ。
彼の師匠は古代にアルテミスを建国したという魔術の賢者ルーンであり、彼女は100層からなるディープラビリンスの最奥に今も若いままの姿で存在するという。彼女こそがメトルの本当の思い人だったが、当人は手の掛かる子供くらいにしか思っていない。
【奥義】 イモータル
掛けた相手を不老不死とする時魔法。消費する魔力も大きく、効果が切れたときの揺り戻しが大きいため、最終手段として使う。本来は賢者クラスのみが扱える。
アルテミス19世 (ディズィー゠アルテミス゠ファウスト)
42歳 (見た目は30ほど)。一時は引退したが、アルテミス現女王に返り咲いた。
ティセが幼くなった事や戦争の恐ろしさを知った人々の世論を鑑みて、再び平和主義の彼女が表舞台に立つこととなった。ティセの存在はアルテミスの防衛の要として、公には今も国内にいる事になっている。さらにシネマジカ、魔法少女ティセはアルテミスを救った守護神としてめでたく解禁され、国策としてよく似た子役による続編の制作も決定したという。今度はエトランザによく似た子役と二人で変身する魔法少女ものになるというが、後の長寿番組になる事を今は誰も知らない。
ストラグル
享年80歳。偉大な魔導師であり、ティセのお世話役。
戦いにより肉体を失ったものの、彼の人格をベースとした魔動人形であるエースパペットにその精神を宿した。常に老い先は短いと思っていたが、皮肉にもこの国の行く末すらも見守る事が出来るようになり、ティセの子も、その末代までをも面倒見ると奮起しているらしい。
【奥義】 アース・クエイク
アースクラスタのレベル12大魔法。一帯の地盤を粉々になるまで揺らし、敵を大穴へと埋める。相性の問題でミハエルには通じなかった。
ミハエル゠ハーミット
28歳。隠者とは聞こえがいいが、実際の所は若年無業者の青年。
徴兵されたガーディアナで同性愛を理由に島送りになり、世捨て人となる。失う物など何もないと思っていたが、拾ってくれたストラグルを殺めた事から本当にまっとうな道へと引き返せなくなった事が彼の不幸の始まりであった。ガーディアナ、アルテミス、カトリーヌ軍を転々とした中で、今はこんな自分に生きる道を与えてくれたティセに恩義を感じ忠誠を誓った。あまりの自虐意識により、叱ると喜ぶ変態。
彼はカトリーヌにも気に入られていたため、その後ソレイユ国に大使として派遣された。
【技能】 アイス・エクステンション
レベル11の氷魔法。氷嵐が敵を襲う。ティセのファイア・エクステンションとはほぼ互角の威力。
【奥義】 フリージング・ブリザード
レベル13の氷魔法。吹雪と共に無数の氷の剣が降る。相手は死ぬ。
トゥインクル
ティセの使い魔の黒猫。今回、どちらかというとメスだという事が判明した。好物はニャオちゅるーん。
本来のティセの魔法力を維持するために今は同化しており、時々気ままに出てきては、いつものようにティセとケンカしているようだ。トカゲのサラはどうも怖くて好みではなかったが、ティセが名付けたというサクラコの忍犬、威武の事が今は気になっているようだ。
グリフォニア
メトルの使い魔のグリフォン。
レジェンドの魔力を受けた存在だけあって相当強いはずだが、戦う機会に恵まれない。ラビリンスでの仕事もなくなり、今はグリフォンライドという絶叫系アトラクションを担当している。常識人であり苦労人。
サラ
ピーターの使い魔のサラマンダー。四大精霊と言われる存在を生み出したというだけあり、彼女の主人ピーターはティセ以上の炎魔法の使い手である。彼女も主人に負けず情熱的な性格で、グリさんやトゥインクルに熱烈なアタックを繰り返している。現在は結局ピーターと同様独り身のまま。
マッキー
女王の使い魔の黒いネズミ。女王は、人類はどんな困難も克服できるというメッセージを込めて、黒死病を思わせる存在をスターに変えた。そのルックスは時代に合わせて今では人型に変化しつつあるらしい。ちなみに、ティセが使い魔を猫にしたのは母に対抗しての事。
学園長
ティセの母校ルーンアカデミーの学園長。ヒゲが異常に長い。
アルテミスが平和を取り戻した際に学園は再開され、ティセを初めとする同級生達の卒業式が行われた。今後は再び魔法使いの育成に力を入れ、脅威に対する抑止力とするべく指導している。
司祭エイプリル
62歳。アルテミス国ガーディアナ特別区を担当する司祭。
自らの容姿にコンプレックスを抱き、若く美しい女性を嫉んでいる。その矛先は、裏のコネクションを通じて手に入れた少年少女達へと向かっていたらしく、普段の温和な仮面とは裏腹に醜く、ただれた精神にてこの地に一つの地獄を形成していた。
【技能】 恨印
教皇が授けた裏の秘蹟。呪いの力を元とした黒魔術であり、本人の恨みの力を原動力としている。魔素で出来た粘着性のある触手により、捕らえた者にあらゆる苦痛を与える。