第20章 孤独の魔女 登場人物
※20章までのネタバレを含みます。
パメラ゠クレイディア
15歳。物語のヒロイン。ガーディアナ教国の象徴である聖女。
一度は敵対したヴァレリアをその身を犠牲にして救い出した。心を救う事こそ真の救済。それが聖女である自分にできる、精一杯の務めだと。だがその負荷は15の少女にとって大きく、確実に心を蝕みつつある。
ヴァレリア゠グリューエン
16歳。かつてジューダス率いるマレフィカの軍、夜明けの旅団に所属していた少女。
父の影に自分は何を見ているのか。怒り、怯え、もしくは憧れ……。ヴァレリアの自我は崩壊寸前となり、ついには自らもオブリヴィオと化してしまう。
【進化異能】 記憶の断罪
命を奪った対象が存在していたという記憶すらも人々から失わせる能力。オブリヴィオと化した姉達の名誉も、一応はこれで守られる事となった。
【忘却化】 偽神ヴァレリア
無こそが生命に与えられる最善の救済であるという信念のもとに、触れるもの全ての存在を消滅させる悪夢と化す。ある深い闇を知るカオスにとって、絶望を知らずに済む事は救いなのである。
アリア゠ロンド
19歳。破滅の魔女と恐れられた、真の魔女。
それぞれが仲間のために命を賭けて戦う。そんな世界を目の当たりにして、心の闇が浄化されていくのを感じている。何か自分に出来る事はないかと、熱い感情に揺さぶられている。
コレット゠ルビー
20歳だが肉体年齢は10歳。宝石商、ルビー商会の元締めであり、現冥王。
実はかなり前からリユニオン計画の総指揮を努めており、発表出来る日を心待ちにしていた。地元において10年近く引きこもり魔女であったイメージを払拭すべく、全力でこの事業に当たっている。
リュカ゠レイフォン
17歳。クーロン国の仙者になるため修行中のマレフィカ。
空想の存在であるはずの孫悟空をイメージして修行していたら、それらしい技を使えてしまった。次は如意棒と觔斗雲だ! と息巻いているリュカを、猿神アルニタクは懐かしさと共に眺めているという。
【技能】 一体分神
髪の毛に限らない体の一部分にカオスの力を宿らせ、小さな猿神へと変化させる技。ある程度コントロールでき、その力も屈強という便利スキル。
クリスティア゠ローランド
17歳。ローランド王族の生き残り。晴れてリトルローランドの女王となった。
ロンデニオンとの交渉にあたり、チートクラスの才能を発揮しているという。戦闘よりも遥かに有用な能力であるが、気高くも勇ましい彼女は最後まで前線に立ち続けるだろう。
ディーヴァ゠ギルガメス
19歳。アバドン国一の部族、ギルガメスの女戦士。暁の勇者と呼ばれる。
ワルプルギスの企みから、己の全てを賭けてヘクセンナハトを救い出した。彼女の懸念は誰も救えずに終わる事であり、この程度の犠牲は想定内である。
【神化奥義】 エアの剣
天と地を分けるほどの力を見せるという神の業。見せたのは未完成のものであるが、それでも鉄の馬車を微塵も寄せ付けなかった。
【神化】 風神ディーヴァ
融合からさらに存在する高みを上げ、風の神そのものとなる。あらゆる風を自在に使いこなし、味方には風の加護、自身には竜巻のバリア、敵には立つ事もできない程の突風を浴びせるなど、まだ未完成ながらマレフィカの最終到達点とも呼べる能力を持つ。
ムジカ゠ファーガス
11歳。獣人の少女であり、偉大な獣王の血を引くマレフィカ。
ディーヴァとマリエルを救えずに終わった今回の戦いで、子供だとどこか甘えていた自分に気づく。ひとしきり泣いた後、みんなを助けてあげられる強くて優しい王になる事を誓った。
グリエルマ゠マニュエル
30歳。十二賢者の一人、万理の賢者の末裔。
魔女といえど、背負うものはそれぞれ違う。今回現れた勢力についてどこか心当たりがある彼女は、最悪の想像を拭いきれない。ただ、この子達ならば彼女らにも救いをもたらす事もできるはずだと、密かに期待もしている。
メーデン゠バレンタイン
20歳。元、聖女専属の侍女。現、懲役百年の政治犯。
どういう原理かは不明だが、彼女に触れているだけで異能の類いは無効化してしまう。けれど心を開いた者の友好的な能力は受け取る事ができる。人、それをご都合主義という。
ロザリー゠エル゠フリードリッヒ
17歳。物語の主人公。魔女の軍勢、ヘクセンナハトのリーダーを務める。
留守番をしていた間はサクラコとリハビリに励んでいた。ノーラはじめ、コキュートスの子らも四六時中まとわりついてくるため休まる暇が無かったという。だが結果的に、いつもの調子を取り戻す事ができたようだ。
琴吹桜子 (コトブキ サクラコ)
14歳。東方、イヅモ国の忍び。幕府お抱えの隠密組織、紅の陣所属。
実は留守番中にちょっとした事件があった。砂漠の夜盗一団が豊かになった集落を狙い奇襲をかけたのである。しかし彼らは次に気がつくとアルベスタンの獄中にいたという。その夜何があったのか、彼らは決して語ろうとはしなかった。
クロウ゠デニール
40歳。伝説級の槍使い。元ローランド国親衛隊隊長。
ディーヴァの取った行動に、本来あれは自分の役目だったと後悔せずにはいられない。だが彼には姫の側を片時も離れてはならないという、鉄よりも固いローランド王との約束があった。ディーヴァならばと、今は信じるのみである。
マリエル゠ミゼラブル
18歳。イデアの塔に囚われたマレフィカの中で、アリアに次ぎ、最も長くいた少女。
アリアの魔力が注がれた事により、本来の力を超えて解き放たれた幻覚の力。それはあまりに美しく、仲間を救うと共に、貪欲な者の目にもとまってしまう。このまま悲劇に彩られた道を歩むとすれば、あまりにも悲しい人生である。
マリス゠キティラ
16歳。真の魔女の集団、ワルプルギスの総統。特権階級のお嬢様。
聖女やディーヴァなど自分より優れた魔女に対し、かなりの嫉妬心を持つ。ただ、ワルプルギスには一人だけ素直に負けを認める人物がいる。彼女に対しては、マリスも借りてきた子猫のようになるという。
【神魂】 魔女プレイオネ
空間が裂けたような隙間から漏れる後光と共に覗く巨大な人間の目。それはどこか猜疑的であり、何かから隠れ、常に脅威を監視しているようにも見える。
【進化異能】 真実の目
嘘偽り、まやかしの類いに属する全ての力を見抜く能力。処世術としても有用であり、彼女を出し抜く事は不可能に等しい。
ペトラ゠ミューズ
17歳。マリスを慕うメイドであり、文武に長けた魔女。
地味で個性も主張もなく、他者を模倣するカオスすら持つ彼女は、確固たる自我を持つマリスへと惹かれた。自分とは何かと悩んでいる時にマリスに教えられた、我思う、ゆえに我ありという言葉は数少ない彼女の支えである。
【異能】 模倣
少し見ただけで、相手の技能、魔法の類いを完全にコピーする事ができる。しかしマギアに関しては不可能。相手を煽る目的で使うため、基本、興味の無い技は使い捨て。
マルクリウス゠バルトロナイ
67歳。ガーディアナ第二司徒であり、ガーディアナ枢機卿を務める政治家。
彼は学者でもあり、世界中に弟子を持っている。ローランドに派遣されていた司祭オーガストもその一人であり、彼が殺害された際には、聖女と誘拐犯の仕業であるとおおよその見当をつけていた。だが教皇の考えにより事件は握りつぶされ、一人、マリス達を利用し魔女達へ復讐を考えるに至ったという。
ロバート
?歳。死神の館を建て替えたルビー砦を守るアンデッド執事。
ゾンビからスケルトンを経て、この度ようやく元の姿を取り戻した。わりとキリリとしたナイスミドル紳士であった事も、執事スキルがカンストしていた事も、特に主人や皆の眼中にはなく、いつか認められたいという野望を抱いている。
カイ゠フランチェスカ
11歳。コキュートスの切り込み隊長。ツンツン赤髪の不良っぽい子。
子供の中では肉体派であるため、特にサクラコからこき使われている。マコトに憧れ不良の更正を目指しているサクラコは、真面目すぎるゆえに人格矯正レベルのカリキュラムを組んでしまい、カイはいつしかその存在に震え上がるようになったという。
ジュディ゠シャノワーヌ
10歳。コキュートスの後方射撃担当。二つ結びのタカビーな子。
割と良く集落のお手伝いを進んでやっている。しかしその裏では、お年寄り達にお小遣いをせびり、子供達をも派遣制度に登録し上前をはねるというお手伝いビジネスを展開していた。もちろんそれはサクラコに壊滅させられ、しばらくタダ働きを強いられる事となる。