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モデル『 』-2
「そういえばさー」
着替えながら皆川さんに話しかける。
「今日一緒に仕事したリリアっているじゃん?
なんか転校するらしくて悩んでるみたいなんだよねー。
あんなに可愛い子でも友達出来るか不安になるなんてちょっと驚いちゃったわ」
可愛い女の子と友達になりたいと思わない人なんてこの世にいるのだろうか。
少なくとも俺は可愛い子とはすぐにでも友達になりたいタイプだ。
なれるなれないは別として。
「年頃の女の子は悩み事でいっぱいなのよ。
あんたとは違ってね」
またもやこっちを見ないで言ってくるから、少し傷ついてきた。
「俺だって悩み事のひとつやふたつあるのに」
しょんぼりすると、「…例えば?」と皆川さんが聞き返してくれた。
「うんとねー、今日の晩ご飯何にしようかなーとか、明日の昼ご飯は何食べようかなーとか」
「…所詮あんたはそんなとこよね」
盛大な溜め息をついて仕事に戻る姿を見て、実はあまり好かれてはいないんじゃないかと何度目かわからない疑問を抱いた。