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モデル『リリア』-2
「あ、そんな深刻な事ではないのですが、ちょっと父の都合で転校しなくてはいけなくなってしまって…」
「あぁーなるほどね。
友達が出来るか不安なのかな?」
「そうなんです。
少し人見知りなので不安なんですよね」
あはは、と少し困り顔で笑うと「こんな可愛いリリアちゃんなら皆友達になりたいと思うよ!」と励まされた。
違うんです。
普段の『私』とモデルの『リリア』は全く別人なんです。
リリアと友達になりたい人は多くても、『私』と友達になりたいと思う人がいるかどうか…。
お父さんの仕事の都合だから仕方ないけど、本当に大丈夫なんだろうか。
そんな不安を抱えていると、不意に背中をとんっと叩かれ「お疲れ様ーっ!」と元気な声が聞こえてきた。
考え事をしていたから思わず「わぁっ!」と驚いてしまった。
「リリアびっくりしすぎじゃない?」
「ごめんごめん。ちょっと考え事しててね」
「えーどうしたの、悩み事?
そんなときはこの『ゆう』サマに言ってみなさい」
不安そうな私をみかねてか、『ゆう』が相談に乗ってくれようとしている。
…気持ちは嬉しいんだけど、ちょっぴりおバカなんだよな、この子。