日下部一家の一日
日下部拓也42、日下部千香38、智勇と由縁2、実1、田口裕太54、泊茂一50
田井純子27
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ここは我が家です。朝、5時30分です。「ジリリ・・カチ!」と目覚ましが鳴って止まります。
「ふぁーあ。朝か・・」という主人のあくびです。
「アイタ!」と言って子供用ベッドの低い天井で頭をぶっつけました。いつものことです。枕元のメガネをとって架けます。
我が家は3階が寝室です。3階には子供部屋と夫婦の寝室となっています。子供部屋だったところは主人の部屋だったのですが、子供達に3人に開け渡しました。3人には3段ベッドを与えており、夫婦の寝室で私か主人と一緒に寝るか、3段ベッドで寝るかを選ばせています。今日は3人とも私と寝ており、主人は子供用の3段ベッドで寝ていたのです。います。今年中に卒業する予定です。
主人はゴムバンドを口にくわえ、髪の毛を後ろで束ねつつトントンと降りてゆきます。そして、洗面所で顔を洗います。起きてすぐこのように機敏に動けるのは不思議です。まずは、洗濯物を仕分けして洗濯機にかけます。。
朝ご飯を作ります。朝はサンドイッチです。野菜を洗い切り刻みパンに挟んでいきます。6枚切り食パンをさらに半分に切り開く包丁技は神業です。朝の寝ぼけた頭ではとてもできません。さらに、野菜サラダもつけており、ウチはウサギのように野菜を食わせる家庭です。最近は、包丁の音がリズミカルになってきました。但し、出来上がった葉っぱはよく繋がっていますが、気にしません。それも、主人の愛情です。
6時30分に私がおきます。目覚まし時計は30程前から鳴っているですが、子供達も私もなかなかおきません。5分おきの数回のベルの音に耐えて、眠り続けるのは大したものです。さすが、私の子供達です。
「お早う。」
「お早う。起きたか!僕が子供達を起こしてくるよ。これたのむ。」
そう言って、手渡されるのは小さな紙切れには、今朝に無くなった食材が書かれています。
「了解」
6時50分に子供達を起こします。主人の子供達を起こす作業は過酷です。ふとんをはがし、直射日光を顔に当て、くすぐったりします。
毎朝の子供達の洗顔と歯磨きはひと苦労です。それが終わってやっと食卓です。もともと無口の主人はだだ笑っているだけなんですが、子供と私は弾丸のようにしゃべります。さすが、私が育てた子供達です。よく誤解されるのですが、家事と育児の大半は私がしているのです。おしゃべりな私に育てられた3人はやっぱりおしゃべりです。主人に育てられたら寡黙な子供となっているはずです。
どうだ!私が育てた証拠だ。自慢になるかどうか微妙だけど・・・
7時30分になると主人は身支度に立ち上がります。主人はスェットを脱いで、穴あきのパンストを履き、その上からパンティ・・いえ、男物だからパンツか・・を履きます。主人はなぜか、パンストのマチをくりぬいて、パンツの下に直履きするのです。化粧して、スーツを着て、スカートを履いて降りて出てきます。夏場おおむねスカートです。
「パパ!」、「パパ!」と2匹がハイヒールを履いたセクシーな黒パンストの足にまとわりついています。教育上どうなのかと思いますが、まだ、色気づいてもいないから大丈夫でしょう。
朝の確認です。
「定期、財布、携帯、ハンカチ、カギ、ブラジャー」と私が唱えます。
「ある、ある、ある、ブラジャー・・うん、している。OKだ。」
いまだにブラジャーを忘れるとんでもないヤツです。子供達はまだ保育園ですが、学校に行くようになると主人と同じようにこれを唱えてもらうことになるでしょう。
「保育園は1人で大丈夫か?」
「パパが出て行ったらおとなしいものよ。大丈夫。」
そして、朝の口づけです。子供の前だからと言って恥ずかしがっては、朝早起きしたかいがありません。このために、眠気に耐えておきたのです!違うか・・
子供達にお別れ挨拶をして、主人は駅に向かいます。私は食事の続きです。その後、朝食の片付けをして、子供達を保育所へ連れて行きます。子供達も慣れてきました。お別れも大丈夫です。ちょっと、さびしいですが・・
9時30分です。ここは、会社です。主人が出勤してきました。いつものメガネ美人です。始業時間を過ぎていますがだれも何もいいません。なんだか遅いのが当たり前になっているみたいです。
「おはようございます。」
「おう、おはよう。」と泊さんがうれしそうに挨拶します。
「おはよう。日下部、ちょっと、頼みがあるんだが・」
「はい、なんでしょう。」
「これなんだが、ちょっと、この分野の売上を調べられるか?」
「いいですよ。」
コンピューターのデーター解析は得意です。
10時です。洗濯物を干しています。多い日にはもう一回洗濯機を回すことがあります。さすがに5人家族となると増えてきました。その後は片付けと掃除です。
12時です。主人は地下の食堂でみんなと食べています。
「おい、うどん?? まさか・・」と驚く村井課長です。
「違いますよ。本当に、ダイエットですよ。」と笑う主人です。
「ああ、びっくりした。2回もあったからなあ。」
14時です。夏場はそろそろ洗濯物取り入れ時期です。広い家の掃除や片付けはまだ終わっていません。大変です。植木鉢の世話もあります。
15時です。テーブルの上で私は寝ています。いい夢を見ています。主人は会社で分厚い本を見てうなっています。主婦は気楽な商売です。
16時です。ピアノの生徒が来ました。本日は練習不十分でなかなか進みません。17時には子供を迎えに行かねばならず焦ります。
17時40分です。いつも早く帰るはずの主人を見て、田井さんが言いました。
「先輩、まだ、残っているんですが、大丈夫ですか。」
「おっと、こんな時間か。帰らないと・・」
時計を見て驚く主人です。主人は在宅勤務が可能なため、10時から15時のコアタイム以外は自由に帰れます。いい身分です。
18時20分です。主人は電車に揺られて帰宅途中です。すわって、難しい本を読んでいます。ふっと立ち上がりました。
「どうぞ。赤ん坊を抱いて大変でしょ。」
見れば子供を抱いたお母さんです。ついこないだまで妊婦だった主人です。つらさはよくわかるようです。
「ありがとうございます。」と小さく会釈をしてすわりました。
19時、駅に着きました。近所のおばさんが立ち話をしています。主人は笑顔で頭を軽く下げています。おばさんも軽く頭を下げて、おしゃべりを続けています。
我が家は、3階建てです。主人はガレージの隣の階段をコツコツというハイヒールの足音を立ててあがます。一方、私は子供をしかりつけていました。
「こら、由縁!!!」
「だって、智勇が・・・あ、パパだ!」
「パパだ!」
子供達はこの音に敏感です。私に負けずに不思議とよく聞こえるようです。
「ただいま。」
「パパ、お帰り!」
子供より先に抱きつくのは私です。一番は私ですが、家族で取り合いです。
「パパ、パパ」と由縁と智勇が主人の足に絡みつきます。
「だぁ!」とベビーベッドの実まで立ち上がります。そして、身を乗り出す実です。
「うぁ!危ない!」と私が抱きとめました。
一方、主人はしゃがみ込んで、由縁と智勇を抱きしめていました。
「ごんはできてるでぇ。早う食べや。」と言う私です。
「うん、着替えてくるね。」
そう言って、主人は絡みつく二人をふりほどき、奥の部屋に消えました。
しばらくして、ホットパンツにTシャツというラフな格好で、主人が出てきました。由縁と智勇は、また主人にまとわりつき、話をします。
「パパ、あのね・・・」
「サトルは、今日ね・・」
「ちょっと、待ってねえ。パパはこれからごはんだから・・」
そう言って、食堂のテーブルについて、ご飯を食べ始めます。
しかし、二人はしつこいです。交互に主人に話しかけます。
「パパ、今日のにんじんなあ。」
「ふんふん、どうしたの?」
「これ食べていい?」
「ああ、いいよ。」
「今日、あのね。保育所いったらね。」
「ふんふん。」
「パパ、わんわんがねぇ!ねぇ聞いてる?!」
「聞いているよ。犬がどうしたの・・」
「ねぇ、こっちも聞いてよ。」
「わかった。あーん!だべられないよ。千香!助けて!」
「・・・・」
「千香!なんとかしてよ。」
「ママなら。ねとるでぇ。」
「え!?・・・寝てる?」
その頃、子供の相手にエネルギーを使い果たした私は、テーブルのそばで寝入っていました。主人が帰ってきたことで安心して・・
「だぁ!」と実が返事するのみです。
「電池が切れたか・・・」と言って主人は苦笑いしています。
19時40分、実を抱いて、由縁と智勇の矢のようなお話を主人をにこにこして聞いています。なんとか、食べ終えたようです。
「ねえ、あのね。今日・・・」
「へぇ、ずごいね。」
「サトルねえ。姉ちゃんと・・・・」
「ふーん。そうなんだ。」
ちゃんと、しかも、真剣に二人が満足するまで聞いています。
「ねぇ、ねぇ・・あなた。今日ね。」
「ふん、ふん・・こら!ママは夜に時間があるでしょ!」
「あはは・・ごめん。それより、お風呂沸いたわよ。」
「そうか。由縁と智勇、パパと入るか。」
「うん、入る!」
「僕も!」
20時10分、お風呂です。長い栗色の髪を半分湯船につれけて、由縁と実と一緒に浸かっています。たぷんとしたおっぱいを見て、智勇が言いました。
「ほんまに、おっきなおっぱいや。」
「そうだろう。おまえ達が散々吸ったんでぞ。」
「僕もこんなになるの。」
「智勇は男だからそのままだよ。」
「パパも男でしょ。」
「パパは特別なんだよ。女の由縁はパパみたいになるかも!」
「本当?」
「ママに似るとわかんないけどね。」
「ママは、ちっこいものね。」
「子供はどちらかに似るというからね。」
「どうなるかわかんないの? パパに似ると綺麗でおっきなおっぱいになるの。」
「僕がパパに似るとどうなるの。」
「おチンチンがこんな風におっきくなるよ。それにハンサムになれるかもね。」
「わーい。パパがいい。」
「ママだって綺麗だよ。それに元気で明るいからね。後は・・うーん。何あったかな。」
そこで詰まるな!まだ、まだ、あるでしょ!
20時30分、寝室です。主人の添え寝で二人は眠りにつきました。
「早くひとりで寝るようになってくれると良いんだけど・・」
そう言って、主人はそっと布団からでます。そして、コンピューターに向かいます。やっと、大人の時間です。私の時間です。
「パッパぁ」と言って抱きつく私です。
「あのぉ・・仕事なんですけど。それとアイロンもあるし・・」
「ははは、ちょっとだけ・・」
21時20分、ジャーという水道の音です。私は洗い物をしています。明日の準備をしつつ、主人と私の会話が続きます。メールを大体確認し終えた主人は、アイロンかけています。
「パパ、今日ねえ。あの石井さんとねぇ・・」
「へぇー。それで・・」
主人は真面目に聞いてくれます。子供もそうなんですが、主人に今日一日にあったことをのこらず報告します。
22時です。やっと、2人の時間です。私は主人の膝の上で寝ながら話していますが・・やがて・・眠りに・・ああ、もたない!主人はそっと膝枕を座布団に代えました。そして、パソコンで仕事を夜遅くまで続けいました。