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愛玩の舞姫  作者: 邑 紫貴
世界は揺れる
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消える町

時は一国の圧政に、安定しているかのような時期。激動の前触れ。一つの消えた町が残した一人の知識。

物語は、始まる。終わりを目指して……


消える町


レンガ造りの町並み……整然と整備され、水や風が循環し秩序を保つ。計算されたすべて。

どこが始まりなのか、知る者が消える。

特別な知識は形がない。理解できないものは、恐れの対象。望むのは一つ……手に収まる力。


制御できないものは要らない。


その町は知っていた。いつか、その時が来ることを。

それでも願うのは幸せ……身近な者の。普通の生活。普通の人としての歩み……望みは当然のもの……

時は来る。


長たちが寄り合い、日ごとに緊張が増していた。

近隣の諸国の連合が、この町の知識を求め、攻め入るのだと。

増えた家族……守れるはずはない。消されるのは力ある男たち……手に余る力は要らない。残せる胎……力のない女……狙うのが、目に見える。


この町に、未来はない。

逃げ道も塞がれていた。しかし、抜けることは可能だろう。犠牲を払うなら……

町は決断する。“共に”滅びることを。滅ぼすものが、滅びを被るように……意図的な工作。

残りわずかな期限の幸せを、少しでも長く願う。


すべての終わりと始まり……

長たちは、一人の少年を呼び寄せた。

彼に薬を飲ませ、数人の長たちが次々、少年の頭に手を置き、語る。

【預言】

最後に、重なる声は言う。

「……小さき者よ……すべてを、お前に託そう。未来は、無限……切り開くのは、小さき少年。心許すな。自分を守るため、愛するものを護るために……もし、護るなら……選べ。自らの死を……」


夕暮れに染まる赤も霞む血の海……

少年は、その町の最期を記憶に目を閉じた。



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