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④愛玩の舞姫  作者: 邑 紫貴
預言者

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見据えたもの

見据えたもの



一人の小さき者が、宿を出て振り返る。

中立国ルシャン……警戒態勢を感じるような灯の多さ。異常な光景に、旅の目的地を背に城門をくぐった。

門番はいたが、日中のロストを見ていたのもあるのか、もしかすると王の命令なのか、警戒もなく通してくれた。


足を速めてロストは階下に近づく。そこには見覚えのある人物……

「……クライン。」

タイドフの戦士だった。

階上には、ルシャンのチャイエ王。中立国ゆえの状況……黙って見ている。

クラインは剣を取り、ロストに向けて構えた。

ロストは上着から短刀を取り出す。しかし、構えることなく、様子をうかがうように太ももの位置で、左手は腕を下ろした状態だった。

ロストの戦意のない態度にも、クラインは闘志をむき出しで殺気立っている。

そのクラインに、ロストは理解できず自分の知識の中で答えを探す。

「ロスト……最後の者よ。そうだ、ミャーダの生き残りとして今、ここで消えるが良い。貴様は知らずに、俺を覆してきた……その知識の欠如ゆえに滅ぶがいい。」

声を荒げ、怒りに震えるような、冷静さを欠いた戦士。

それに対して、ロストは告げた。

「いつの時代も、身を滅ぼすのは怒りや妬み。不の感情に、己を律することなき者。」

「うるさい、黙れ!」

剣を大きく振り下ろし、ロストを切りつけた。

そのスピードにも係わらず、ロストは身軽に避ける。そして素早く、間合いを詰めてクラインの喉元に短刀を突きつけた。

先端が皮膚の表面をかすり、赤い血がジワリと浮かんで首を流れる。小さな一筋……

首を持ち上げ、何が起きたのか理解できない……そんな表情から、一瞬で青ざめ命乞いを始めた。

「ロスト、誓う!もう二度と、命を狙わないと。頼む!」

クラインの言葉の途中、ロストの空いた方の手が腰にあったナイフに伸びる。

視線が上にあったクラインには見えなかった。一瞬のロストの動きの後、激痛に崩れ落ちる。

「……ぐっあぁっ!はっ……はぁぁああ~~」

ロストの右手に持ったナイフが、クラインの左足に刺さっていた。クラインの首元にあった短刀を、身を守るように構えるロスト。

クラインは床に転がり、襲ってくる様子もない。ただ、命乞いの時とは違う……命を狙っていた時と同じ敵意。

その視線を受けて、ロストは背を向ける。走って、その場を離れた。


クラインの叫び声に似た聞き取れない言葉も、耳に入れることなく。目指す先は、大国タイドフ。

『一番安全』だとカイディールが告げた場所。

答えを導く知識もないまま……ロストは、中立国ルシャンを後にした。



その城では、中立のチャイエ王が命令を下す。

「……セイラッドよ、殺せ!我は強運を見た。答えは明白。国を覆す預言者、ロストに敵成す者を始末するのだ。預言者が告げた通り『未来は変わらない、中立であるが故。』」


…………



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