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④愛玩の舞姫  作者: 邑 紫貴
共同生活

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人選

人選



一週間が過ぎ、二十人の集会が実施される。

ロストには、百人の情報がすべて流れた。事細かに。その情報で選り分け、望む人材が多いグループを集める。他の二十人のグルーブも、同様。

そう、今日の目的は、五人構成の変更。適した人材を、二十人に絞るためのもの。

3週後には五十人の集まり。確実に選り分けられる人材。

セイラッドの目に、取るに足りない者が多くいた。

ロストの重視する事が何なのか。ただ、観察を続ける視線。

そして、ロストたちのグループに変更はなかった。偶然なのか必然なのか……ロストの予測にはない事だった。

セイラッドは、それを楽しむように見ている。

集まりを、ただ……ロストも見つめる。


人の波。小さな……命。

未来を願い、自分の命を保つのに必死な者たち。家族の為ではなく、自分の命を護ることに執着する者。

ロストには何が見えていたのか、ワタシは知らない。そして、心にあるのが何なのかも。

ロスト自身が、復讐を思い……想いに気付かずに……


集まりを短時間で終了させ、そこにいた二十人を五人に分けて移動させた。行先は……

「酒屋!うっほ~~~~。綺麗な、ねぇちゃんがいるぜぇ?」

秩序も、保ち続けていたのでは歪が出る。

調整の息抜き。ロストの提案だった。

王カイディールが、学び舎の時と同様、紛れていた。影で、ロストを呼び寄せる。

セイラッドは、他の者たちと共に赤ブドウ酒を飲む。楽しむ中、鋭い視線で……ロストたちを見ていた。

ロストは、カイディールに語る。

「……ここに、居るべきではない。二度と、相談なく来ないと誓ってください。油断が命取り。すべての……」

冷たい視線に、カイディールは苦笑い。

「彼女が心配していた。安全は保障する。ただ……」

カイディールは口を閉ざし、ロストの表情に、目を疑った。

「ロスト……その表情は、無意識なのか?」

問いかけたが、ロストが首を傾げるので無意識だと知る。

「彼女の命に、否定的な言葉になった瞬間、殺されるかと思ったぞ?……安心した。そうか、君の舞姫。恨むなよ、約束は守るが……俺は」

ロストに突き刺さるような視線を向けた。

「手段を択ばない。俺の守りたい者の為なら。覚えていてくれ、先に謝る……悪いな。」

ロストには、意味が分からなかった。

静かに、騒ぎに紛れて城へと戻るカイディールの後姿。周りの雑音も、聞こえないぐらいに意識が集中する。

『約束は守る。手段は択ばない』

ブレシニー……君の命は、保障されている。


不安ではない、何かが引っ掛かる。そう、それを知るのは……彼の存在が消えた時。

そして……がっかりするの。

あなたは理解する。この時の会話の意味と、失望の想いを。

それを、ワタシは受け止める。

愛するロスト、あなたへの想い。会いたい。あなたの為に舞うわ。受けた愛情……だから……


人選は、この夜にも行われていた。

ロストは見つめる。酒と女に溺れる男たちを。欲求は、当然のモノ。それを否定はしないが、ほんの少しの希望の為に。

時間と共に、その酒場から姿を消す者たち。三日間の休養を与えられ、欲望を満たす為に……暗闇へと消える。

そして、店に独り。セイラッドの姿もなかった…………


ロストは、支払いを済ませ店を出る。

夜空に瞬く星々。その星を見ながら、心に浮かぶのはブレシニー。

「無事なら良い。ブラウンドも元気だろうか?」

胸に手を当て、服を掴む。

握り締める力は、強く……押し当てる胸は、痛むように感じる。外側なのか、内側なのか……それとも別の処なのか。


「あら、お兄さん。良い男なのに、真っ新?ふふ……夜を共にしませんか?」

一人の女性に見つめられ、ロストは、ため息。

「時間がないんだ。」

「三日も、お休みなのに?」

すり寄せる身体は柔らかく、穏やかな甘い匂いがした。

「……何者だ?場違いな匂い……」

「ふふ。くすくすくす……密偵よ。」

「そう。腑抜けた男たちに、闘志は感じた?報告をすればいい、戦の前の静けさだと。ほんの少しの夢。小さな希望。」

ロストは、表情を変えずに話す。

女性は、ロストから離れクルクル回る。

「んふっ。愛玩の舞姫。あなたの弱点を手に入れるわ。」

「見つけて、保護してよ。俺は、彼女の身の安全だけを願っている。」

「面白くないわ。愛玩……の舞姫ね。あなたは、彼女を人質に闘うの?」

彼女の眼は、セイラッドと同じ試すような視線。

「そう。彼女と同等の忠誠、そう思えばいい。それ以上、情報が必要だろうか?」

「情報は、多いに越したことはない。」

「多くの事実は、時に真実を歪める。」

ロストの声に、彼女は何を感じただろうか。

迷い……自分の基準を無視して、情報も得ず。彼女は名を残して去って行く。

「私の名はエルミ。また、会いましょう。」

ロストは、彼女の後姿を見送る。

星は変わらずに瞬く。その日々と同じような永遠はない。月が静かに照らす輝きは、心を癒すような静けさを伴う。


ほんの一時……出来るだけ多くの時間を願う。幸せな時間。男たちの夜は、各々……

ただ、ロストにとっては静かな時間。城ではなく、いつも時間を過ごしていた森へと消える。

彼は、そこに、勝利のカギを隠していた。二十人で戦って勝てるモノ。それを受け入れる者だけを、選出していた。

戦力は一つ…………



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