芒種
高校2年になった井野嶽幌は、高校にいた。
「あっつー」
そこへうちわをあおぎながら、友人の星井出包矛がやってくる。
「暑そうだな」
笑いながら幌が見ている目の前で、襟元を空けて、そこから服の中へと風を送り込む。
彼のすぐ後ろでは、宮司宮司も暑そうにしている。
「今日は芒種だったな」
宮司が荷物をおいて、幌が座っている席に近寄って話しかける。
「そっか、もうそんな時期なのか」
「芒種って何だ」
星井出が、すぐに二人に聞く。
「麦とかを撒くころの季節だっていうことなんだ。まあ、実際には、これよりも早く種まきをするけどな」
幌の説明を引き継いで、それから宮司が言った。
「そして、西日本では梅雨入りの宣言が出る頃でもあるんだ。今年はまだっぽいけどな」
「通りで蒸し暑くなってきたわけだ」
今年も、もうすぐ梅雨の時期だ。